【改正】(収益事業に属するものとして区分された資産等の処理)

15-2-3 収益事業を開始した日において、令第6条《収益事業を行う法人の経理の区分》の規定により収益事業以外の事業に属する資産及び外部負債につき収益事業に属するものとして区分経理した場合における当該資産の額の合計額から当該外部負債の額の合計額を減算した金額を元入金として経理したとしても、当該金額は、資本金等の額及び利益積立金額のいずれにも該当しないことに留意する。
 その後において、収益事業以外の事業に属する金銭その他資産につき収益事業に属するものとして区分経理した場合における当該金銭その他の資産の価額についても、同様とする。

  • (注) 収益事業に属するものとして区分経理した金額を、他会計振替額等の勘定科目により収益又は費用として経理した場合には、当該金額は益金の額又は損金の額に算入されない。

【解説】

1  公益法人等及び人格のない社団等は、収益事業から生ずる所得に関する経理と収益事業以外の事業から生ずる所得に関する経理とを区分して行わなければならない(令6)とされている。
 本通達では、この規定により、これらの法人が収益事業以外の事業に属する資産等につき収益事業に属するものとして区分経理した場合の処理について明らかにしている。

2  平成20年度の税制改正により、資本又は出資を有する法人が資本又は出資を有しないこととなった場合には、その有しないこととなった時の直前における資本金等の額に相当する金額は、資本金等の額から減算し、利益積立金額に加算することとされた(令81十五、91五)。また、資本又は出資を有しない法人で平成20年4月30日の前日に資本金等の額を有していたものは、平成20年4月30日に資本又は出資を有しないこととなったものとみなすこととされ、税務上は同日をもって残存する資本金等の額を利益積立金額に振り替えることとされた(平成20年改正法令附則52、63)。
 更に、公益法人等又は人格のない社団等の収益事業以外の事業に属していた資産及び負債が収益事業に属する資産及び負債となった場合には、その資産の価額としてその収益事業に関する帳簿に記載された金額からその負債の価額としてその収益事業に関する帳簿に記載された金額を減算した金額は、利益積立金額には含まれないこととされた(規別表五(一)記載要領3(1))。

  • (注) 法人税申告書の記載要領では、その資産の価額から負債の価額を減算した金額を別表五(一)の「繰越損益金(損は赤)(26)」の「増3」の欄の上段に内書として記載するとともに、「差引合計額(31)」の欄の記載に当たっては、その内書として記載した金額を「繰越損益金(損は赤)(26)」から減算して計算することとされている。

   これらの規定により、公益法人等及び人格のない社団等が、収益事業を開始した日において、収益事業以外の事業に属する資産及び外部負債(本支店勘定のような内部負債を除いた負債)につき収益事業に属するものとして区分経理した場合において、その資産の額の合計額からその外部負債の額の合計額を減算した金額を元入金として経理したとしても、その経理した金額は、資本金等の額及び利益積立金額のいずれにも該当しないことになる。
 この処理は、収益事業開始後において、収益事業以外の事業に属する金銭その他の資産につき収益事業に属するものとして区分経理した場合におけるその金銭その他の資産の価額についても、同様である。
 本通達の本文では、これらのことを留意的に明らかにしている。

3  なお、収益事業に属するものとして区分経理した金額を、他会計振替額等の勘定科目により収益又は費用として経理したとしても、上記2のとおり、当該経理した金額は益金の額又は損金の額に算入されないことから、当該経理により利益積立金額は増減せず、別表四において減算又は加算(いずれも社外流出処理)することになる。本通達の注書ではこのことを明らかにしている。