【新設】(耐用年数短縮が届出により認められる資産の更新に含まれる資産の取得等)

7-3-24 規則第18条第1項第2号《耐用年数短縮が届出により認められる資産の更新の場合等》に規定する「これに代わる新たな資産(……)と取り替えた場合」には、規則第16条第1号《構成が著しく異なる場合の耐用年数の短縮》に掲げる事由又はこれに準ずる事由により承認を受けた短縮特例承認資産について、次に掲げる事実が生じた場合が含まれるものとする。

  • (1) 当該短縮特例承認資産の一部の資産を除却することなく、当該短縮特例承認資産に属することとなる資産(その購入の代価又はその建設等のために要した原材料費、労務費及び経費の額並びにその資産を事業の用に供するために直接要した費用の額の合計額が当該短縮特例承認資産の取得価額の10%相当額を超えるものを除く。)を新たに取得したこと。
  • (2) 当該短縮特例承認資産に属することとなる資産を新たに取得することなく、当該短縮特例承認資産の一部の資産を除却したこと。
  • (注) 本文の取扱いの適用を受ける資産についての令第57条第7項《耐用年数短縮が届出により認められる資産の更新》に規定する届出書の提出は、当該資産を新たに取得した日又は当該一部の資産を除却した日の属する事業年度に係る申告書の提出期限までに行うこととなる。

【解説】

1  平成20年度の税制改正により、既に法人税法施行令第57条に定める耐用年数の短縮特例の承認を受けている減価償却資産(以下「短縮特例承認資産」という。)について、軽微な変更があった場合として次に掲げる場合に該当するときは、改めて承認申請を行うことなく、申告期限までに変更箇所等の届出を行うことにより、みなし承認を受けることができることとされた(令577)。

  • イ 短縮特例承認資産の一部の資産について、種類及び品質を同じくするこれに代わる新たな資産と取り替えた場合(規181一)
  • ロ 短縮特例承認資産の一部の資産について、これに代わる新たな資産(以下「更新資産」という。)と取り替えた場合であって、次の(イ)及び(ロ)のいずれの要件も満たす場合(規181二)
    • (イ) その更新資産の購入代価又はその更新資産の建設等のために要した原材料費、労務費及び経費の額並びにその資産を事業の用に供するために直接要した費用の額の合計額がその短縮特例承認資産の取得価額の10%相当額以下であること。
    • (ロ) その取り替えた後の使用可能期間の年数とその短縮特例承認資産の法定耐用年数とみなされた使用可能期間との間に差異が生じない場合。

   大規模な製造設備等にあっては、製造計画や機械及び装置の改良等に合わせ、当該製造設備を構成する機械及び装置について随時取替え等を行いながら、事業供用されるのが一般的である。このような減価償却資産の一部の資産の取替えにより、既に短縮特例の承認を受けている減価償却資産の構成が変わる場合には、従来は、取替え後の減価償却資産について改めて短縮特例の承認申請を行う必要があったが、上記に掲げるような要件を満たす軽微な変更については、厳格な手続によらなくても特段の課税上の弊害は認められないことから、納税者への事務負担に考慮し、手続の簡素化が図られたものである。

2  ところで、短縮特例承認資産の一部の資産の「取替え」とは、一般的には、ある資産を除却した上でこれに代わる資産を新たに取得することをいうものと解されるところ、実務上は、その減価償却資産の更新計画の進捗等により、たまたまその事業年度においては、当該資産を構成する一部の機械の取得だけが行われ、あるいは、当該資産を構成していた一部の機械の除却だけが行われるということも見受けられるようである。そこで、このような場合に資産の「取替え」に該当しないことから届出制度によることはできず、改めて承認申請を行う必要があるのではないかとの疑問が生じる。
 この点、平成20年度の税制改正において届出制度の設けられた趣旨が、上述のとおり、耐用年数の短縮特例制度における手続の簡素化にあることからすれば、例えば、毎事業年度、更新計画に従って一部の機械の入れ替えをしている短縮特例承認資産について、たまたまある事業年度において一部の資産の取得しかなかったため、その事業年度だけは改めて承認申請手続を課すこととすると、納税者に過重な事務負担を課すのみであり、本制度が創設された趣旨にはそぐわないと考えられる。
 そこで、本通達において、短縮特例承認資産の一部の資産を除却することなく当該短縮特例承認資産に属することとなる資産を新たに取得した場合や、短縮特例承認資産に属することとなる資産を新たに取得することなく当該短縮特例承認資産の一部の資産を除却した場合であっても、届出制度の対象となり得る資産の「取替え」に含む旨を明らかにしている。
 なお、この取扱いは、当初の承認が法人税法施行規則第16条第1号《構成が著しく異なる場合の耐用年数の短縮》に掲げる事由によるものである場合に限られるのであるから、例えば、陳腐化が著しいなどの事由により短縮特例の承認を受けていた減価償却資産について、その減価償却資産を構成することとなる資産の取得のみが行われたような場合にあっては、従来どおり、改めて承認申請手続を要することに留意する必要がある。

3  連結納税制度においても、同様の通達(連基通6-3-34)を定めている。