【新設】(非営利型法人が公益社団法人又は公益財団法人に該当することとなった場合等の事業年度)

1-2-3 非営利型法人が公益社団法人又は公益財団法人に該当することとなった場合等の事業年度は、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第38条第2項《事業報告等の提出》及び第50条の2第1項《認定取消法人等の計算書類及びその附属明細書に相当する書類の作成》に定める期間をいうのであるから、当該事業年度は次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に掲げる期間となることに留意する。

  • (1) 非営利型法人が公益社団法人又は公益財団法人に該当することとなった場合
    •  定款で定めた事業年度開始の日から公益認定を受けた日の前日までの期間
    •  その公益認定を受けた日からその事業年度終了の日までの期間
  • (2) 公益社団法人又は公益財団法人が非営利型法人に該当することとなった場合
    •  定款で定めた事業年度開始の日から公益認定の取消しの日の前日までの期間
    •  その公益認定の取消しの日からその事業年度終了の日までの期間

【解説】

1  平成20年度の税制改正において、公益社団法人・公益財団法人及び一般社団法人・一般財団法人のうち一定の要件に該当するものは非営利型法人として公益法人等とされたことにより、公益社団法人・公益財団法人及び非営利型法人については、収益事業を行う場合に限り法人税の納税義務が生ずる(法4)とともに、収益事業から生じた所得に対して法人税が課されることになる(法7)。ただし、公益社団法人・公益財団法人が行う公益目的事業は収益事業から除かれており(令52一)、公益社団法人・公益財団法人と非営利型法人の間で課税所得の範囲に差異が設けられている。

2  公益法人等が事業年度の中途において普通法人に該当することとなった場合又は普通法人が事業年度の中途において公益法人等に該当することとなった場合には、その事業年度開始の日からこれらの場合のうちいずれかに該当することとなった日の前日までの期間及びその該当することとなった日からその事業年度終了の日までの期間がみなし事業年度とされる(法14二十二)。
 したがって、非営利型法人がその要件に該当しなくなったり、公益社団法人・公益財団法人が公益認定を取り消されたことによって普通法人である一般社団法人・一般財団法人に該当する場合や、普通法人である一般社団法人・一般財団法人が非営利型法人の要件に該当することとなったり、行政庁の公益認定を受けたことによって公益法人等に該当する場合には、みなし事業年度が生じることとなる。

3  一方、非営利型法人が行政庁の公益認定を受けて公益社団法人・公益財団法人に該当することとなる場合や、公益社団法人・公益財団法人が公益認定を取り消されて非営利型法人に該当することとなる場合には、課税所得の範囲に変更が生ずるものの、法人税法上はいずれも公益法人等であること、また、みなし事業年度に係る法令上の規定がないことから、公益認定を受けた日又は公益認定の取消しの日の前後で事業年度が区切られないのかといった疑問が生じる。

4  この点、事業年度とは、法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(会計期間)で、法令で定めるもの又は法人の定款等に定めるものをいうこととされているところ(法131)、一般社団法人・一般財団法人が公益認定を受けた場合には、事業年度開始の日から公益認定を受けた日の前日までの期間と公益認定を受けた日から事業年度の末日までの期間とに分けて計算書類等(計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書)を作成することとされている(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則382)。また、公益社団法人・公益財団法人が公益認定を取り消された場合には、事業年度の開始の日から取消し等の日までの期間に係る計算書類及びその附属明細書に記載し、又は記録すべき事項を記載した書類を作成しなければならないこととされている(同規則50の21)。

  • (注) 「取消し等の日」とは、公益認定の取消しの日又は合併の日の前日をいうこととされている(同規則49二)。

   このように、一般社団法人・一般財団法人が公益認定を受けた場合又は公益社団法人・公益財団法人が公益認定を取り消された場合には、公益認定を受けた日又は公益認定の取消しの日を境にして、法令で会計期間が定められていることから、その定められている会計期間がそれぞれ事業年度となる。本通達では、このことを留意的に明らかにしている。

【新設】(公益法人等が普通法人又は協同組合等に該当することとなった日等)

1-2-6 法第14条第22号《みなし事業年度》に規定する「該当することとなった日」は、次に掲げる場合には、それぞれ次に掲げる日をいう。

  • (1) 公益法人等が普通法人又は協同組合等に該当することとなった場合 次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に掲げる日
    •  公益社団法人又は公益財団法人が普通法人に該当することとなった場合 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下1-2-6において「公益認定法」という。)第29条第1項又は第2項《公益認定の取消し》の規定による公益認定の取消しの日
    •  非営利型法人が普通法人に該当することとなった場合 令第3条第1項各号又は第2項各号《非営利型法人の範囲》に掲げる要件のいずれかに該当しないこととなった日
    •  社会医療法人が普通法人に該当することとなった場合 医療法第64条の2第1項《収益業務の停止》の規定による社会医療法人の認定を取り消された日
    •  法別表第二に掲げる商工組合(以下1-2-6において「非出資商工組合」という。)が法別表第三に掲げる商工組合(以下1-2-6において「出資商工組合」という。)に移行することとなった場合等、法別表第二に掲げる公益法人等(農業協同組合連合会を除く。(2)ニにおいて同じ。)が法別表第三に掲げる協同組合等(農業協同組合連合会を除く。(2)ニにおいて同じ。)に該当することとなった場合 移行の登記の日
  • (2) 普通法人又は協同組合等が公益法人等に該当することとなった場合 次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に掲げる日
    •  一般社団法人又は一般財団法人のうち普通法人であるものが公益社団法人又は公益財団法人に該当することとなった場合 公益認定法第4条《公益認定》に規定する行政庁の認定を受けた日
    •  一般社団法人又は一般財団法人のうち普通法人であるものが非営利型法人に該当することとなった場合 令第3条第1項各号又は第2項各号に掲げる要件のすべてに該当することとなった日
    •  医療法人のうち普通法人であるものが社会医療法人に該当することとなった場合
       医療法第42条の2第1項《社会医療法人》の規定による社会医療法人の認定を受けた日
    •  出資商工組合が非出資商工組合に移行することとなった場合等、法別表第三に掲げる協同組合等が法別表第二に掲げる公益法人等に該当することとなった場合 移行の登記の日

法第14条第17号及び第18号に規定する「該当することとなった日」についても、同様とする。

【解説】

1  平成20年度の税制改正において、公益法人等が事業年度の中途において普通法人若しくは協同組合等に該当することとなった場合又は普通法人若しくは協同組合等が事業年度の中途において公益法人等に該当することとなった場合には、その事業年度開始の日からこれらの場合のうちいずれかに該当することとなった日の前日までの期間及びその該当することとなった日からその事業年度終了の日までの期間をみなし事業年度とすることとされた(法14二十二)。
 本通達においては、法人の類型が変更になる態様に応じて、この「該当することとなった日」について明らかにしている。

 ○法人類型の変更とその事由

 法人類型の変更とその事由の図

  • (注) 中小企業団体の組織に関する法律454(注2)、463(注1)
      生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律49の84(注2)、49の9(注1)
      輸出入取引法164(注2)、172(注1)

2  なお、法人税法第14条第17号及び第18号に規定する「該当することとなった日」についても同様である旨を、本通達後段において明らかにしている。