【制度の概要】

 この制度は、内国法人の株主(特殊関係株主等)が、組織再編成等により、軽課税国に所在する実体のない外国法人(特定外国法人)を通じてその内国法人(特殊関係内国法人)の発行済株式等の80%以上を間接保有することとなった場合には、その特定外国法人が留保した所得を、その持分割合に応じて、その特定外国法人の特殊関係株主等である内国法人の所得に合算して課税するという制度である(措法66の9の6〜66の9の9)。
 なお、その特定外国法人が、内国法人の特定外国子会社等に係る所得の課税の特例(いわゆる外国子会社合算税制)の対象となる場合には、その特定外国法人に留保された所得に本制度の適用はない。
 なお、連結納税制度についても同様の規定が定められている。

【新設】(特殊関係株主等である内国法人の特定外国法人に係る所得の課税の特例)

66の9の6-1 特定外国法人に係る措置法第66条の9の6から第66条の9の9までの規定の適用については、特定外国子会社等に係る66の6−1から66の6−24までの取扱い(66の6−12及び66の6−23の取扱いを除く。)に準じて取り扱う。

【解説】

  • 1  平成19年度の税制改正により、内国法人の株主(特殊関係株主等)が、組織再編成等により、軽課税国に所在する実体のない外国法人(特定外国法人)を通じてその内国法人(特殊関係内国法人)の発行済株式等の80%以上を間接保有することとなった場合には、その特定外国法人が留保した所得を、その持分割合に応じて、その特定外国法人の特殊関係株主等である内国法人の所得に合算して課税するいわゆるコーポレート・インバージョン対策合算税制が創設された(措法66の9の6〜66の9の9)。
     なお、その特定外国法人が、内国法人の特定外国子会社等に係る所得の課税の特例(措法66の6〜66の9、いわゆる外国子会社合算税制)の対象となる場合には、その特定外国法人に留保された所得についてはコーポレート・インバージョン対策合算税制の適用はないこととされている(措法66の9の67)。
  • 2  本通達においては、租税特別措置法第66条の9の6〜第66条の9の9《特殊関係株主等である内国法人に係る特定外国法人に係る所得の課税の特例》のコーポレート・インバージョン対策合算税制を適用する場合における課税対象留保金額の計算等については、いわゆる外国子会社合算税制に係る取扱いに準じて取り扱うことを明らかにしている。
  • 3  連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の93の6〜第68条の93の9《特殊関係株主等である連結法人に係る特定外国法人に係る所得の課税の特例》についても、同様の通達(連措通68の93の6−1)を新たに定めている。