【制度の概要】

この制度は、青色申告書を提出する法人で、次世代育成支援対策推進法の規定に基づき一般事業主行動計画を厚生労働大臣に届け出ているものが、平成19年4月1日から平成21年3月31日までの間に、その一般事業主行動計画に従って託児施設の取得又は建設をし、かつ、その託児施設が一定の基準を満たす事業所内託児施設に該当するものとして証明がされた場合には、その託児施設並びにこれと同時に取得又は製作をした遊戯具その他の一定の器具及び備品(事業所内託児施設等)については、5年間、普通償却限度額の20%相当額(法人が中小事業主である場合には、普通償却限度額の30%相当額)の割増償却ができるというものである。

  • 1 適用対象法人
     本制度の適用対象法人は、青色申告書を提出する法人で、次世代育成支援対策推進法の規定に基づき一般事業主行動計画(注)を厚生労働大臣に届け出ているものとされている(措法46の31)。
    1  本制度の対象となる一般事業主行動計画は、次世代育成支援対策推進法第2条に規定する次世代育成支援対策としてその法人の雇用する労働者が利用することができる託児施設の設置及び運営に関する事項が定められているものに限る(措法46の31)。
    2  本制度の適用を受けようとする法人が、次世代育成支援対策推進法第12条第3項に規定する中小事業主(※)以外の同条第1項に規定する一般事業主である場合には、その一般事業主行動計画の内容をホームページ等で公表しているものに限る(措令29の3)。
    ※ 中小事業主とは、常時雇用する労働者の数が300人以下のものをいう。
  • 2 適用対象資産
    • (1) 対象施設
       一般事業主行動計画に従って取得又は建設をした託児施設で適用事業年度(注1)終了の日において事業所内託児施設(注2)に該当するものが本制度の対象施設とされている(措法46の31)。
       なお、本制度の適用を受けるためには、その適用を受けようとする事業年度の確定申告書等に、法人の託児施設が事業所内託児施設に該当することを都道府県知事が確認した書類及びその確認に係る申請書の写しを添付することにより証明されることが必要である。
      1  適用事業年度とは、事業所内託児施設等をその用に供した日から同日を含む事業年度開始の日以後5年を経過した日の前日までの期間内の日を含む各事業年度をいう(措法46の32)。
      2  事業所内託児施設とは、その法人の事業所の敷地内その他これに類する場所に設置されていることその他財務省令で定める基準を満たしている託児施設をいう(措法46の31、措規20の191)。
    • (2) 対象設備
       (1)の事業所内託児施設と同時に取得又は製作をした遊戯具、家具及び防犯設備(託児施設を利用する乳幼児が犯罪により被害を受けることを防止し、安全を確保するために設置される器具及び備品)が本制度の対象設備とされている(措法46の31、措規20の193)。
  • 3 割増償却限度額
     事業所内託児施設等の普通償却限度額の20%相当額(法人が中小事業主である場合には、普通償却限度額の30%相当額)が割増償却限度額とされている(措法46の31)。
     なお、連結納税制度についても同様の規定が定められている。

【新設】(遊戯具その他の器具及び備品の同時取得等の意義)

46の3−1 措置法第46条の3第1項において託児施設と同時に取得又は製作をすることを条件として事業所内託児施設等に該当することとされている遊戯具その他の器具及び備品には、その託児施設の設置に当たり、当初から取得又は製作をすることが予定されていたもので、当該託児施設の取得等の前後相当期間内に取得又は製作をする遊戯具その他の器具及び備品が含まれるものとする。

【解説】

  • 1  本制度の対象となる遊戯具その他の器具及び備品は、一般事業主行動計画に従って取得等をした事業所内託児施設と同時に取得又は製作をしたものに限られる(措法46の31)。
     この場合の「同時に取得又は製作をする」ということの意義については、必ずしも具体的に規定されていないが、例えば、託児施設の建設の発注と同時に、託児施設において使用される遊戯具や家具、防犯設備といった器具及び備品(以下「遊戯具等」という。)を発注したが、それぞれのメーカーが異なるため、託児施設の建設と遊戯具等の取得が事業年度を異にして行われることが十分あり得る。この場合において、たまたま事業年度を異にしたという理由のみで、その遊戯具等の取得が託児施設の建設と同時でないとして本制度の適用を否定することは必ずしも合理的ではない。
     そこで、本通達において、託児施設を設置するに当たり、当初から取得又は製作をすることが予定されていた遊戯具等で、託児施設の取得等の前後相当期間内に取得又は製作をするものについては、本制度の適用があることを明らかにしている。
     ところで、この遊戯具等の取得又は製作が託児施設の設置当初から予定されたものであるかどうか及び託児施設の取得等の前後相当期間内に行われたものであるかどうかは、それぞれの個別的な事情に応じて具体的に判断することになるが、少なくともここでいう相当期間内であるかどうかは、託児施設の建設計画と遊戯具等の取得計画が有機的に結び付いていることを前提として、その取得又は製作のために要する期間として通常妥当な期間であるかどうかを参酌して判断することになる。
  • 2  連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の32《事業所内託児施設等の割増償却》についても、同様の通達(連措通68の32−1)を新たに定めている。

【新設】(中小事業主であるかどうかの判定の時期)

46の3−2 措置法第46条の3第1項に規定する償却限度額の計算に当たり、法人が同項に規定する中小事業主に該当する法人であるかどうかは、同項に規定する適用事業年度終了の日における現況によって判定するものとする。

【解説】

  • 1  本制度は、法人が一般事業主行動計画に従って託児施設を取得又は建設し、かつ、適用事業年度終了の日において当該託児施設が事業所内託児施設に該当するものとして証明がされた場合には、その事業所内託児施設並びにこれと同時に取得又は製作をした遊戯具その他の器具及び備品(事業所内託児施設等)をその用に供した日から5年間、その事業所内託児施設等の普通償却限度額の20%相当額(法人が中小事業主である場合には、普通償却限度額の30%相当額)の割増償却ができるというものである(措法46の3)。
  • 2  中小事業主とは、次世代育成支援対策推進法に規定する中小事業主をいい、一般事業主(国又は地方公共団体以外の事業主をいう。)であって、常時雇用する労働者の数が300人以下のものとされている(次世代育成支援対策推進法123)。
     本制度は、中小事業主について、それ以外の一般事業主よりも高率な30%の割増償却を認めていることから、この中小事業主に該当する法人であるかどうかをいつの時点で判定するかが問題となる。
     この点につき、本制度は、割増償却を受けようとする各事業年度(適用事業年度)の確定申告書に、法人の託児施設が適用事業年度終了の日において事業所内託児施設に該当することを都道府県知事が確認した書類を添付することが必要とされていることからすれば、中小事業主に該当する法人であるかどうかについても、これと同じ時点で判定することが相当である。
     そこで、本通達において、法人が償却限度額の計算に当たり、30%の割増償却を行うことのできる中小事業主に該当する法人であるかどうかの判定は、適用事業年度の終了の日の現況によることを明らかにしている。
  • 3  連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の32《事業所内託児施設等の割増償却》についても、同様の通達(連措通68の32−2)を新たに定めている。