4 単体納税に係るその他の取扱い

【改正】 (事業年度が1年に満たない場合の償却率等

 5−1−1 減価償却資産の償却の方法につき旧定額法、旧定率法、定額法又は定率法を選定している法人の事業年度が1年に満たないため、省令第4条第2項又は第5条第2項若しくは第3項の規定を適用する場合の端数計算については、次によるものとする。

(1) 旧定額法、定額法又は定率法を選定している場合
 当該減価償却資産の旧定額法、定額法又は定率法に係る償却率又は改定償却率に当該事業年度の月数を乗じてこれを12で除した数に小数点以下3位未満の端数があるときは、その端数は切り上げる。

(注) 令第48条の2第1項第2号ロ《定率法》に規定する償却保証額の計算は、法人の事業年度が1年に満たない場合においても、別表第十に定める保証率により計算することに留意する。なお、当該償却保証額に満たない場合に該当するかどうかの判定に当たっては、同号ロに規定する取得価額に乗ずることとなる定率法の償却率は、上記の月数による按分前の償却率によることに留意する。

(2) 旧定率法を選定している場合
 当該減価償却資産の耐用年数に12を乗じてこれを当該事業年度の月数で除して得た年数に1年未満の端数があるときは、その端数は切り捨てる

※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  法人の事業年度が1年未満である場合の旧定額法、旧定率法、定額法及び定率法の償却率等については、それぞれ次によることとされている(耐令4丸2、5丸2)。

(1) 旧定額法、定額法又は定率法

償却率=耐用年数省令別表第九又は別表十に定められた償却率×(当該事業年度の月数÷12)

(2) 旧定率法
 次の算式により算出した年数に応ずる耐用年数省令別表第九に定められた償却率

 年数=法定耐用年数×(12÷当該事業年度の月数)

ただし、算出した年数が100年を超える場合の償却限度額の計算は次の算式による(基通7−4−1)。

 焼却限度額=耐用年数省令別表第九に定められた償却率により計算した焼却限度額×(当該事業年度の月数÷12)

本通達においては、上記のような償却率の調整計算を行った場合の端数処理の取扱いを定めている。

2  ところで、定率法により償却限度額を計算する場合には、その資産の期首帳簿価額に定率法の償却率を乗じた金額(以下「調整前償却額」という。)とその資産の取得価額に保証率を乗じた金額(以下「償却保証額」という。)を比較し、調整前償却額が償却保証額に満たないこととなった場合には、その満たないこととなる事業年度における期首帳簿価額(改定取得価額)に改定償却率を乗じた金額を償却限度額とする均等額による償却を行うこととされている(令48の2丸1丸5)。これは、定率法により償却した場合にも、耐用年数経過時点で全額償却できるよう(結果として備忘価額1円は残る。)に、一定の帳簿価額に達した時点から均等償却をすることとしたものである。
そして、この均等額による償却への移行の判断基準となる償却保証額は、その資産の耐用年数のうち一定の年数を経過した時点の償却限度額として調整前償却額と比較されるものであることから、調整前償却額と償却保証額との比較に当たっては、事業年度が1年未満であることによる保証率の調整計算は行わないのである。したがって、この償却保証額と比較する調整前償却額の計算に当たっても、事業年度が1年未満であることによる償却率の調整計算は行わないのである。
 本通達の(1)の注書ではこのことを明らかにしている。