第3 耐用年数の適用等に関する取扱通達関係
 1 通則

【改正】 (資本的支出後の耐用年数)

1−1−2 省令に定める耐用年数を適用している減価償却資産について資本的支出をした場合には、その資本的支出に係る部分の減価償却資産についても、現に適用している耐用年数により償却限度額を計算することに留意する。
 令第55条第4項及び第5項《資本的支出の取得価額の特例》の規定により新たに取得したものとされる一の減価償却資産については、同条第4項に規定する旧減価償却資産に現に適用している耐用年数により償却限度額を計算することに留意する。

※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  本通達の前段では、減価償却資産に資本的支出が行われた場合に、その資本的支出に係る部分の減価償却資産に適用する耐用年数は、資産本体に係る耐用年数からそれまでの経過年数を控除した残存年数によるのではなく、現に適用している資産本体に係る耐用年数によることを明らかにしている。

2  平成19年度の税制改正により、資本的支出を行った場合には、原則として、その資本的支出の金額を取得価額とし、その有する減価償却資産本体(以下「旧減価償却資産」という。)と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとすることとされている(令55丸1)。資本的支出の金額を取得価額として、減価償却資産本体と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとされたのは、減価償却資産本体の取得価額と区分して、資本的支出に係る費用を別の取得価額とすることにより、平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産に対する資本的支出についても新しい償却方法により償却ができることとされるなど、償却限度額の計算上の単なる取得価額の区分に関する特例であると考えられる。このため、資本的支出に係る耐用年数については、法令上も本通達の前段と同様に減価償却資産本体に現に適用している耐用年数により償却を行うこととされる。

3  ところで、新たに取得したものとされた資本的支出(以下「追加償却資産」という。)について定率法を採用している場合には、次のような取得価額の特例計算も認められている。

(1) その資本的支出をした事業年度の翌事業年度開始の時において、その時における旧減価償却資産の帳簿価額と追加償却資産の帳簿価額との合計額を取得価額とする一の減価償却資産を、新たに取得したものとすること(令55丸4)。

(2) 同一事業年度内に複数の追加償却資産の取得をしており、その種類及び耐用年数が同じである場合には、一定の要件の下、その追加償却資産の取得をした事業年度の翌事業年度開始の時における各追加償却資産の帳簿価額の合計額を取得価額とする一の減価償却資産を、新たに取得したものとすること(令55丸5)。

これらの特例計算は、複数の追加償却資産を個別の資産として管理・償却することの事務の煩雑さに配慮し、一の減価償却資産としてそれぞれの追加償却資産を加算・合算して償却限度額の計算を認めることとしたものと考えられる。

4  このように、上記3(1)又は(2)を適用して一の減価償却資産の償却限度額を計算する上で適用される耐用年数については、資本的支出を行った事業年度における各追加償却資産については、新たに取得したものであっても、本通達の前段どおり旧減価償却資産の法定耐用年数を適用するのであるが、一方、その翌事業年度において新たに取得したものとされる一の減価償却資産に適用される耐用年数は、再度、本通達の前段と同様に旧減価償却資産に適用している耐用年数によるのか、中古資産を取得した場合と同様に考えて経過年数を控除した年数を耐用年数とするのか疑問が生じる。
 この点、これらの特例計算は上記3に述べたように個別の資産として管理・償却することの事務の煩雑さに配慮して、一の減価償却資産として新規に取得したものとして償却を行うものであることから、当該一の減価償却資産に適用される耐用年数については、追加償却資産に適用される耐用年数と同様に、旧減価償却資産に適用している耐用年数によることとなる。本通達の後段ではこのことを明らかにしている。