第2 租税特別措置法関係通達(法人税編)関係
 第67条の5《中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例》関係

【新設】 少額減価償却資産の取得等とされない資本的支出

67の5−3 法人が行った資本的支出については、取得価額を区分する特例である令第55条第1項《資本的支出の取得価額の特例》の規定の適用を受けて新たに取得したものとされるものであっても、法人の既に有する減価償却資産につき改良、改造等のために行った支出であることから、原則として、措置法第67条の5第1項《中小企業等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例》に規定する「取得し、又は製作し、若しくは建設し、かつ、当該中小企業者等の事業の用に供した減価償却資産」に当たらないのであるが、当該資本的支出の内容が、例えば、規模の拡張である場合や単独資産としての機能の付加である場合など、実質的に新たな資産を取得したと認められる場合には、当該資本的支出について、同項の規定を適用することができるものとする。

※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  中小企業者等が平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間に取得し、又は製作し、若しくは建設し、かつ、当該中小企業者等の事業の用に供した減価償却資産で、その取得価額が30万円未満のものについては、その取得価額の合計額が300万円に達するまでは損金の額に算入できるという「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度」が定められている(措法67の5丸1)。

2  平成19年度の税制改正により、減価償却資産に資本的支出を行った場合には、原則として、その資本的支出の金額を取得価額とし、その有する減価償却資産と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとされたのであるが(令55丸1)、この場合の「取得」は、「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度」における「取得」又は「製作」若しくは「建設」に該当するのかという疑問が生じる。

3  今回の税制改正において、資本的支出の金額を取得価額として、減価償却資産本体と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとされたのは、減価償却資産本体に係る取得価額と区分して、資本的支出に係る費用を別の取得価額とすることにより、平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産に対する資本的支出についても新しい償却方法により償却ができることとされるなど、償却限度額の計算上の単なる取得価額の区分に関する特例であると考えられる。

(注) 資本的支出がその資産全体の使用可能期間の延長又は価額の増加といった効果を与えるものであること及び資産本体と物理的に一体であることは、従前と変わるところではない(令132)。

したがって、資本的支出については、「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度」における「取得」又は「製作」若しくは「建設」には原則として該当しないのである。本通達の前段ではこのことを明らかにしている。

4  しかしながら、資本的支出といってもその内容は様々であり、資産本体に単に付随して機能するようなものばかりでなく、その資本的支出自体が一個の資産として機能し、資産本体とは別個の資産として管理・償却を行うとしても問題のないものも見受けられ、既存の取扱いの中にも、そのようなものが存在する。そのような場合には、例外的に「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度」の適用を認めることを本通達の後段において明らかにしている。
 なお、本通達において例示している「規模の拡張である場合や単独資産としての機能の付加である場合など」としては、例えば、ソフトウエアのバージョンアップを行った場合であって、既存の機能の強化・拡充にとどまらず、それ自体機能的独立性が高い新機能を追加した場合などが考えられる。この考え方と同様の取扱いを租税特別措置法関係通達42の6−10の2《ソフトウエアの改良費用》及び42の11−2《ソフトウエアの改良費用》において定めている。

5 連結納税制度においても同様の通達(連措通68の102の2−3)を定めている。