5 特殊な資産についての償却計算(鉱業用減価償却資産の償却)

【改正】 (撤去資産に付ける帳簿価額)

7−6−10 取替資産が使用に耐えなくなったため取り替えられた場合には、その取替えによる撤去資産については帳簿価額を付けないことができる。この場合において、例えば、取り替えられた軌条をこ線橋、乗降場及び積卸場の上屋等の材料として使用したときのように新たに資産価値を認められる用に供したときは、当該撤去資産のその用に供した時の時価を新たな資産の取得価額に算入するのであるが、法人が備忘価額として1円を下らない金額を当該新たな資産の取得価額に算入しているときは、これを認める。

※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  改正前の本通達においては、取替資産が使用に耐えなくなったため取り替えられた場合の帳簿価額が付されていない撤去資産について、新たに資産価値が認められる用に供された場合には、その撤去資産の取得価額の5%相当額又はその用に供した時の時価とのいずれか低い金額を下らない金額を取得価額に算入することとされていた。これは、撤去資産といえども、再利用されるのであれば、何らかの資産価値があると考えられるため、本来であればその用に供した時の時価を取得価額に算入するのであるが、減価償却資産の償却可能限度額が取得価額の95%相当額までとされていた(旧令61)ことから、一種の簡便法として、撤去資産の取得価額から償却可能限度額を差し引いた金額である取得価額の5%相当額が撤去資産をその用に供した時の時価よりも低い場合には、その5%相当額を新たな資産の価値とすることも認めていたというものである。

2  平成19年度の税制改正により、撤去資産の取得価額の5%相当額の根拠である減価償却資産の償却可能限度額が廃止され、減価償却資産は備忘価額1円まで償却することが可能となったことから(令61丸1丸2)、本通達においても、本来の時価による計上を原則としたものである。
 ただし、その撤去資産はその使用に耐えなくなったことにより取り替えられたものであるという既定の事実もあることから、備忘価額である1円を下らない金額を取得価額に算入しているのであれば、これを認めることとしている。

3  連結納税制度においても同様の通達(連基通6−6−11)を定めており、同様の改正を行っている。