【改正】 (被支配会社の判定)

16-1-2 被支配会社であるかどうかの判定に当たっては、1−3−1《株式会社における同族会社の判定》から1−3−8《同一の内容の議決権を行使することに同意している者がある場合の同族会社の判定》までの取扱いを準用する。

※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  特定同族会社の特別税率の規定の適用を受ける特定同族会社とは、発行済株式の50%超を1株主グループにより支配されている会社(以下「被支配会社」という。)で、被支配会社であることについての判定の基礎となった株主等のうちに被支配会社でない法人がある場合には、当該法人をその判定の基礎となる株主等から除外して判定するものとした場合においても被支配会社となるものをいうこととされている(法6712)。

2  本通達において、この被支配会社であるかどうかを判定する場合における議決権制限株式、名義株などの取扱いについて、同族会社の判定に関して定められた取扱い、すなわち法人税基本通達1−3−1《株式会社における同族会社の判定》から1−3−8《同一の内容の議決権を行使することに同意している者がある場合の同族会社の判定》までの取扱いに準ずることを明らかにしている。

3  なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通19−1−2)を定めている。

【新設】 (総資産の帳簿価額の計算)

16-1-9 令第140条第1項《総資産の帳簿価額》に規定する総資産の帳簿価額の計算については、3−2−5《総資産の帳簿価額の計算》から3−2−7《税効果会計を適用している場合に総資産の帳簿価額から控除する金額》までの取扱いを準用する。

※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  平成18年度税制改正により、特定同族会社の特別税率の規定を適用する場合において、期末時の資本金の額が1億円以下である中小特定同族会社については、留保控除額の計算に際して、自己資本基準額(前期末時の自己資本比率が30%に満たない場合におけるその満たない部分の金額に相当する金額)が新たに設けられた(法675四)。

2  この場合の自己資本比率とは、前期末時の総資産の帳簿価額に占める自己資本の額の割合をいうのであるが(法令140)、本通達においては、この総資産の帳簿価額の計算における取扱いについて、受取配当等の額から控除する負債の利子の計算に係る総資産の帳簿価額に関して定められた取扱い、すなわち法人税基本通達3−2−5《総資産の帳簿価額の計算》から3−2−7《税効果会計を適用している場合に総資産の帳簿価額から控除する金額》までの取扱いに準ずることを明らかにしている。

3  なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通19−1−8)を定めている。

【新設】 (自己資本の額を算出する際の負債の意義)

16-1-10 令第140条第2項に規定する「負債(借入金その他利子の支払の基因となるものに限る。)」には、例えば、その金銭消費貸借契約において利子の支払を約さないものであっても、その利子の支払を約さないことに合理的な理由がないものが含まれることに留意する。


※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  法人税法第67条第5項第4号の自己資本比率は、次の算式により計算される。

自己資本比率(%)=(前事業年度末自己資本の額/前事業年度末総資産の額)×100

   この算式の「前事業年度末自己資本の額」を計算する場合において、資本金等の額の合計額に加算する「当該特定同族会社の同族株主等に対する負債の額」は、法令上「借入金その他利子の支払の基因となるものに限る。」(法令1402)とされていることから、実際に利子の支払いのないものは、これに含まれないのではないのではないかという疑問が生じる。
 しかしながら、本制度における自己資本比率の計算は、特定同族会社の同族株主等からの借入金やこれと同様に一般に有利子により資金調達を行う負債(例えば、社債)を実質的に資本金等の額と同等に取り扱うこととしているものであり、特定同族会社と同族株主等の間で通常の取引が行われて発生した支払手形、買掛金、未払金等の一般に無利子となる負債を含まない趣旨の規定であると解される。したがって、たまたま利息を徴していない負債であっても、本来であれば利子を付すべき性質の負債である場合には、同族株主等からの資金提供は「借入金その他利子の支払の基因となるもの」に含めることが相当である。本通達においては、このことを留意的に明らかにしている。
 なお、この「一般に無利子となる負債」であるかどうかは、その勘定科目により判断するのではなく、その負債が生じたことの実質により判定する。

2  なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通19−1−9)を定めている。

【新設】 (自己資本の額を算出する際の株主等の意義)

16-1-11 特定同族会社の判定の基礎となる株主等と特殊の関係のある個人(令第4条第1項に規定する特殊の関係のある個人をいう。)又は株主等と特殊の関係のある法人(令第4条第2項に規定する特殊の関係のある法人をいう。)であっても、当該特定同族会社の株式又は出資を有しない場合は、令第140条第3項に規定する「同族株主等」には含まれないことに留意する。


※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  法人税法第67条第5項第4号の自己資本比率は、次の算式により計算される。

自己資本比率(%)=(前事業年度末自己資本の額/前事業年度末総資産の額)×100

   この算式の「前事業年度末自己資本の額」は、その特定同族会社の同族株主等に対する負債(借入金その他利子の支払の基因となるものに限る。)がある場合には、その負債の額を加算した金額とされている(法令1402)。
 この場合の同族株主等とは、特定同族会社の株主等のうち、法人税法施行令第71条第1項第5号イからハまで《使用人兼務役員とされない役員》の規定中「役員」とあるのを「株主等」と読み替えた場合に同号イからハまでに掲げる要件のすべてを満たしている者をいう。

2  ところで、特定同族会社であるかどうかの判定に当たっては、一の株主等には、その株主等と法人税法施行令第4条第1項に定める特殊の関係のある個人(例えば、株主等の親族等)及び株主等と法人税法施行令第4条第2項に定める特殊の関係のある法人(例えば、株主等の50%超保有会社等)が含まれ、その株主グループが有する株式の数又は出資の金額を判定の基礎とすることとされている(法2十、法令4)。このため本制度における自己資本の金額に加算する負債の判定に当たっては、この一の株主グループに属する者に対する負債の額も加算することになるのではないかという疑問が生ずる。
 しかしながら、仮に特定同族会社の判定に当たって、株主等と特殊の関係のある個人又は株主等と特殊の関係のある法人に該当し、一の株主グループとされる者であっても、その同族会社の株式又は出資を有しない限り、本制度における同族株主等には含まれず、その特殊の関係のある個人からの負債の額や当該特殊の関係のある法人からの負債の額があったとしても、算式の分子の「前事業年度末自己資本の額」に加算する必要はない。
 本通達においてこのことを明らかにしている。

3  なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通19−1−10)を定めている。

【新設】 (自己資本の額を算出する際の株主グループの所有割合)

16-1-12 令第140条第4項に規定する株主グループの所有割合の計算については、1−3−1《株式会社における同族会社の判定》から1−3−8《同一の内容の議決権を行使することに同意している者がある場合の同族会社の判定》までの取扱いを準用する。


※下線部分が改正部分である。

【解説】

1  法人税法第67条第5項第4号の自己資本比率は、次の算式により計算される。

自己資本比率(%)=(前事業年度末自己資本の額/前事業年度末総資産の額)×100

  この算式の「前事業年度末自己資本の額」は、その特定同族会社の同族株主等に対する負債(借入金その他利子の支払の基因となるものに限る。)がある場合には、その負債の額を加算した金額とされている(法令1402)。

2  自己資本比率の計算における特定同族会社の同族株主等とは、特定同族会社の株主等のうち、次に掲げる要件を満たす者をいう(法令1403)。

イ その株主等並びに特殊の関係のある個人及び法人のその特定同族会社に係る所有割合が50%を超えていること

ロ その株主等(その配偶者及びこれらの者の所有割合が50%を超える場合における他の会社を含む。)のその特定同族会社に係る所有割合が5%を超えていること
 ここでいう所有割合とは、次の区分に応じそれぞれ次の割合とされている(法令1404)。

(イ) その会社がその株主等の有する株式又は出資の数又は金額による判定により特定同族会社に該当する場合…その株主グループ(その株主等並びに特殊の関係のある個人及び法人をいう。以下同じ。)の有する株式の数又は出資の金額の合計額がその会社の発行済株式又は出資(その会社が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額のうちに占める割合

(ロ) その会社が議決権による判定により特定同族会社に該当することとなる場合…その株主グループの有するその議決権の額がその会社のその議決権の総数(その議決権を行使することができない株主等が有するその議決権の数を除く。)のうちに占める割合

(ハ) その会社が社員又は業務を執行する社員の数による判定により特定同族会社に該当する場合…その株主グループに属する社員又は業務を執行する社員の数がその会社の社員又は業務を執行する社員の総数のうちに占める割合

3  本通達においては、この株主グループの所有割合の計算をする場合の議決権制限株式、名義株等の取扱いについて、同族会社の判定に関して定められた取扱い、すなわち法人税基本通達1−3−1《株式会社における同族会社の判定》から1−3−8《同一の内容の議決権を行使することに同意している者がある場合の同族会社の判定》までの取扱いに準ずることを明らかにしている。

4  なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通19−1−11)を定めている。


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