【新設】 (重要業務の執行の決定に関与し、かつ、重要執行部分を自ら執行する場合)

67の12−3 組合事業に係る重要業務(措置法令第39条の31第2項第1号に規定する重要業務をいう。以下同じ。)の執行の決定に関与し、かつ、重要執行部分(同号に規定する重要執行部分をいう。以下同じ。)を自ら執行する組合員は措置法第67条の12第1項に規定する特定組合員(以下「特定組合員」という。)に該当しないのであるが、法人が組合員となった時から当該事業年度終了の時までの間において、組合事業に係る重要業務の執行の決定及び重要執行部分の執行が行われていない場合には、措置法令第39条の31第2項第2号に掲げる組合員に該当しない限り、当該法人は特定組合員であることに留意する。

【解説】

1 組合事業に係る損失がある場合の課税の特例制度の適用対象法人は、特定組合員に該当し、かつ、組合事業について相応のリスクを負っていない場合に該当する法人とされている。この場合の「特定組合員」の範囲からは、次のイ及びロに掲げる組合員を除くこととされている(措法67の121、措令39の312)。

イ 組合事業に係る重要な財産の処分若しくは譲受け又は組合事業に係る多額の借財に関する業務の執行の決定に関与し、かつ、当該業務のうち契約を締結するための交渉その他の重要な部分を自ら執行する組合員(すなわち、実質的な関与度合いが高い組合員)

ロ その組合員のすべてが組合事業と同種の事業を主要な事業として営んでいる場合の組合員(いわゆるジョイントベンチャー)

2 このイに掲げる要件については、重要業務の執行の決定と重要執行部分の執行に継続的に参加することを求めるものであるため、法令上、既に行われた重要業務の執行の決定に関与せず、又は当該重要業務のうち重要執行部分を自ら執行しなかったものを除くこととされている(措令39の312一かっこ書)。すなわち、新たに法人が組合員になって以降に行われたすべての重要業務の執行の決定に関与し、かつ、その重要業務のうちすべての重要執行部分を自ら執行していることが必要となる。

3 したがって、既に行われた重要業務の執行の決定に一度でも関与しなかった場合、又はその重要業務のうち重要執行部分を一度でも自ら執行しなかった場合には、この要件を満たさないこととされるとともに、法人が組合員となった時から当該事業年度終了の時までの間において、組合事業に係る重要業務の執行の決定及びその重要執行部分の執行そのものが行われていない場合にも、いわゆるジョイントベンチャーに該当しない限り、当該法人は特定組合員となる。
 本通達においては、このことを留意的に明らかにしている。

4 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連措通68の105の2−3)を定めている。

【新設】 (明らかに欠損とならないと見込まれるときの判定)

67の12−4 組合事業が措置法令第39条の31第7項に規定する「明らかに欠損とならないと見込まれるとき」に該当するかどうかは、当該組合事業の形態、組合債務の弁済に関する契約、損失補てん等契約その他の契約の内容その他の状況から判断するのであることから、例えば、損失のうち少額の求償を受ける可能性があることや、相対的に発生の蓋然性の低い事由により生ずる損失が補てんされないこと等の事実のみをもって、当該組合事業が「明らかに欠損とならないと見込まれるとき」には該当しないこととなるものではないことに留意する。

【解説】

1 組合契約を締結している法人組合員のうち「特定組合員」で一定の場合に該当するものが、1その組合契約に係る組合事業について債務を弁済する責任の限度が実質的に組合財産の価額とされている場合等には、その法人の組合損失額のうちその組合事業に係る出資の価額を基礎として計算した金額(以下「調整出資金額」という。)を超える部分の金額に相当する金額(以下「組合損失超過額」という。)をその事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しないこととされ、2その組合事業が実質的に欠損とならないと見込まれるものである場合には、組合損失額に相当する金額の全額をその事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しないこととされる(措法67の121)。
 この2の「実質的に欠損とならないと見込まれる」とは、「組合事業の最終的な損益の見込みが実質的に欠損となっていない場合において、当該組合事業の形態、組合債務の弁済に関する契約、損失補てん等契約その他の契約の内容その他の状況からみて、当該組合事業が明らかに欠損とならないと見込まれるとき」とされている(措令39の317)。

2 通常、組合事業に損失の発生の可能性がある場合において、その損失のリカバリーとして損失補てん等契約等が締結されるときがある。このような場合、例えば、あらかじめ100の損失が生じた際に99のリカバリーを契約上付加したことをもって、欠損となる見込みがあるというのかという問題が生じ得る。
 ところで、この2の措置は、実質的に組合員の出資元本が保証されている場合には、その組合事業のリスクを負担していないといえることから、その出資元本相当額の損金算入を制限するものである。
 したがって、損失補てん等契約等が履行されても損失の一部分に補てんされない部分があることが明らかだけでなく、同時に、その損失補てん等の対象となる状況が一定の蓋然性をもって発生し得るものである場合には、元本リスクがあるといってよいものであり、基本的に「明らかに欠損とならないと見込まれるとき」には該当しないと考えられ、元本相当額までの損金算入は認められると考えられる。
 しかしながら、損失のほぼ全額に等しい金額が補てんされるがその欠損のわずかな部分に補てんされないような部分がある場合、具体的には、例えば、損失のうち少額の求償を受ける可能性があることや、相対的に発生の蓋然性の低い事由により生ずる損失が補てんされないこと等の事実のみでは、必ずしも「明らかに欠損とならないと見込まれるとき」には該当しないこととなるものではないと考えられる。
 本通達においては、このことを留意的に明らかにしている。

3 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連措通68の105の2−4)を定めている。


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