第2 租税特別措置法関係通達(法人税編)

【制度の概要】

 平成16年の税制改正により、独立行政法人都市再生機構が都市基盤整備公団から承継した業務のうち国土交通大臣の認可を受けた計画(以下「認可計画」という。)に係る業務が施行される場合において、その認可計画の施行区域内の一定の土地等を有する法人が、平成16年7月1日から平成21年6月30日までの間に、その認可計画に従って、その土地等と独立行政法人都市再生機構の有する一定の事業用地との交換をしたときは、その交換により取得した用地につき、一定の限度額の範囲内の圧縮記帳を認めるという制度が創設されている(措法65の15)。

(1) 適用対象となる認可計画
 この制度の適用対象となる認可計画とは、独立行政法人都市再生機構法附則第12条第3項の規定により、国土交通大臣の認可を受けた計画(同条第6項の規定による変更の認可があったときは、その変更後のもの)をいう(措法65の151)。

(2) 適用対象となる交換
 この制度の適用対象となる交換とは、その法人が有する土地又は土地の上に存する権利(棚卸資産を除く。以下「土地等」という。)のうち、認可計画の施行区域内の都市計画施設の用に供される土地等(以下「交換譲渡資産」という。)と独立行政法人都市再生機構がその施行区域内に有する独立行政法人都市再生機構法附則第12条第3項の用地(以下「交換取得資産」という。)との交換をいう。ただし、法人税法第50条第1項若しくは第5項《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》の規定又は租税特別措置法第65条の9《特定の資産を交換した場合の課税の特例》若しくは第65条の10《特定の交換分合により土地等を取得した場合の課税の特例》の規定の適用を受けるものを除く(措法65の151、措令39の9の31)。

(3) 圧縮限度額の計算等
 次の算式により計算した圧縮限度額の範囲内で、その交換取得資産の帳簿価額を損金経理により減額し、又はその帳簿価額を減額することに代えて損金経理により引当金に繰り入れる方法(確定した決算において利益又は剰余金の処分により積立金として積み立てる方法を含む。)により経理した場合に限り、その減額し、又は経理した金額に相当する金額が損金の額に算入される(措法65の151)。
(算式)
圧縮限度額イコール交換取得資産の取得価額マイナス交換譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額

(注) 交換譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額は、交換取得資産とともに交換差金を取得した場合など一定の場合には、所定の調整計算を行うこととされている(措法65の152、措令39の9の323)。

(4) その他
 この制度の適用を受けるためには、確定申告書等にこの制度により損金の額に算入される金額の損金算入に関する申告の記載をし、かつ、その確定申告書等に所定の書類を添付しなければならない(措法65の153、65の75、措規22の9の31)。

【新設】(交換に伴い施行区域外用地を取得した場合)

65の15−2 措置法第65条の15第1項に規定する認可計画の施行区域(以下「認可計画施行区域」という。)内の都市計画法第4条第6項に規定する都市計画施設の用に供される一の土地等(土地又は土地の上に存する権利をいう。以下同じ。)について独立行政法人都市再生機構との交換により、施行区域内用地(独立行政法人都市再生機構が認可計画施行区域内に有する独立行政法人都市再生機構法附則第12条第3項の用地をいう。以下同じ。)とともに施行区域外用地(施行区域内用地以外の用地をいう。以下同じ。)を取得したときは、当該施行区域外用地の価額に相当する金額は、交換差金に該当するものとして措置法第65条の15第1項又は第4項の規定を適用する。
 この場合において、当該交換について同条第1項又は第4項の規定の適用を受けるときには、当該施行区域外用地を取得資産として法第50条第1項若しくは第5項又は措置法第65条の9若しくは第65条の10の規定の適用を受けることはできないのであるから留意する。

【解説】

1 この圧縮記帳制度における交換取得資産は、認可計画の施行区域内にある土地等に限られている(措法65の151)。
 したがって、独立行政法人都市再生機構との交換により、認可計画の施行区域内にある土地等と認可計画の施行区域外にある土地等とを取得した場合には、認可計画の施行区域外にある土地等は圧縮記帳の対象とはならないことになる。この場合、認可計画の施行区域外の土地等をどのように取り扱うかという問題がある。
 そこで、本通達において、認可計画の施行区域外にある土地等の価額に相当する金額は、交換差金として取り扱うことを明らかにしている。

2 なお、認可計画の施行区域内にある土地等とともに交換差金を取得した場合の圧縮限度額は、次の算式によって計算することになる(措法65の152、措令39の9の323)。

(算式)

圧縮限度額の算式

3 また、この圧縮記帳制度では、次の交換はその適用対象から除外されている(措令39の9の31)。

1 法人税法第50条第1項又は第5項《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》の規定の適用を受ける交換

2 租税特別措置法第65条の9《特定の資産を交換した場合の課税の特例》の規定の適用を受ける交換

3 租税特別措置法第65条の10《特定の交換分合により土地等を取得した場合の課税の特例》の規定の適用を受ける交換

 これらの規定は、交換全体について他の圧縮記帳制度との重複適用を禁止する規定である。したがって、上述のように、独立行政法人都市再生機構との交換により、認可計画の施行区域内にある土地等と認可計画の施行区域外にある土地等とを取得した場合において、認可計画の施行区域内にある土地等についてこの圧縮記帳制度の適用を受けるときは、認可計画の施行区域外にある土地等については上記13の課税の特例制度の適用はないことになる。
 本通達の後段において、このことを留意的に明らかにしている。

4 なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の85の2《承継業務の事業計画の施行区域内にある土地等の交換の場合の課税の特例》についても、同様の通達(連措通68の85の2−2)を定めている。

【新設】(認可計画施行区域内の土地等とそれ以外の資産を交換により譲渡した場合)

65の15−3 認可計画施行区域内と認可計画施行区域外にまたがる一の土地等について、交換をした場合には、当該交換により譲渡した土地等のうち当該認可計画施行区域内の土地等に係る部分についてのみ措置法第65条の15第1項又は第4項の規定の適用がある。
 この場合において、当該認可計画施行区域内の土地等についてこれらの規定の適用を受けるときの当該認可計画施行区域外の土地等の交換については、法第50条第1項若しくは第5項又は措置法第65条の9若しくは第65条の10の規定の適用を受けることはできないのであるから留意する。

【解説】

1 この圧縮記帳制度における交換譲渡資産は、認可計画の施行区域内にある土地等に限られている(措法65の151)。 
 したがって、独立行政法人都市再生機構との交換により、認可計画の施行区域内と認可計画の施行区域外にまたがる一の土地等を譲渡したときは、認可計画の施行区域内の土地等に係る部分のみがこの圧縮記帳制度の対象となり、認可計画の施行区域外の土地等に係る部分については、圧縮記帳の対象とはならない。
 本通達において、このことを明らかにしている。

交換により譲渡した一つの土地等の概念図

2 また、この圧縮記帳制度では、次の交換はその適用対象から除かれている(措令39の9の31)。

1 法人税法第50条第1項又は第5項《交換により取得した資産の圧縮額の損金算入》の規定の適用を受ける交換

2 租税特別措置法第65条の9《特定の資産を交換した場合の課税の特例》の規定の適用を受ける交換

3 租税特別措置法第65条の10《特定の交換分合により土地等を取得した場合の課税の特例》の規定の適用を受ける交換

 これらの規定は交換全体について他の圧縮記帳制度との重複適用を禁止する規定である。したがって、上述のように、独立行政法人都市再生機構との交換により、認可計画の施行区域内と認可計画の施行区域外にまたがる一の土地等を譲渡した場合において、認可計画の施行区域内の土地等についてこの圧縮記帳制度の適用を受けるときは、認可計画の施行区域外の土地等については上記13の課税の特例制度の適用はないことになる。
 本通達の後段において、このことを留意的に明らかにしている。

3 なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の85の2《承継業務の事業計画の施行区域内にある土地等の交換の場合の課税の特例》についても、同様の通達(連措通68の85の2−3)を定めている。

【新設】(2以上の資産の交換をした場合の経費の額の計算)

65の15−6 措置法第65条の15第2項第3号の規定により交換譲渡資産の帳簿価額に加算すべき交換に要した経費の額を計算する場合において、同時に交換をされた認可計画施行区域内の土地等が2以上あるときは、当該交換に要した経費の額は、原則として個々の土地等につきその交換に要した経費の額を区分して計算するのであるが、個々の土地等ごとの区分計算が困難であるときは、個々の土地等の価額の比等の合理的な基準によりあん分して計算した金額によることができる。

【解説】

1 この圧縮記帳制度における圧縮限度額は、交換取得資産の取得価額から交換譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額を控除した残額とされ、交換譲渡資産の交換に要した経費の額がある場合には、当該経費の額を当該交換譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額に加算することとされている(措法65の1512)。
 そして、同時に交換をされた認可計画の施行区域内の土地等が2以上ある場合の圧縮限度額の計算に当たっては、当該交換に要した経費の額は、原則として個々の土地等につき、当該交換に要した経費の額を区分して計算することを本通達において明らかにしている。
 しかしながら、実際には、個々の土地等に係る経費の額を明確に区分することが困難な場合も考えられ、このような場合には、実務上、個々の土地等の価額の比等の合理的な基準によりあん分計算する方法も認められることを併せて明らかにしている。

2 なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の85の2《承継業務の事業計画の施行区域内にある土地等の交換の場合の課税の特例》についても、同様の通達(連措通68の85の2−6)を定めている。

【新設】(交換に要する経費の支出が遅れる場合の圧縮記帳の計算の調整)

65の15−7 法人が、交換譲渡資産の交換に要する経費の全部又は一部を当該交換があった日を含む事業年度後の事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)において支出することとなる場合における措置法第65条の15の規定による圧縮記帳の計算については、64(3)−8の取扱いに準ずるものとする。

(注) 64(3)−8の取扱いに準じて交換譲渡資産の交換に要する経費の額の見積りをする場合におけるその見積額については、当該交換があった日を含む事業年度において未払金に計上することができる。

【解説】

1 交換譲渡資産の交換に要した経費の額は、圧縮限度額を計算する場合の計算要素の一つであるから(措法65の152三)、この経費の額が明らかにならないと、圧縮記帳による損金算入額の計算ができないこととなる。そこで、交換譲渡資産の交換をした日を含む事業年度終了の日までにその交換に要した経費の額が確定せず、その後の事業年度に当該経費の支出をする場合には、その交換があった日を含む事業年度末の現況により経費の額を適正に見積もって圧縮記帳による損金算入額の計算をすることが認められる。

2 また、この場合において、交換に要する経費の見積額と実際に支出することとなった金額とが異なる場合には、その実際の支出額が確定した事業年度において、正当な圧縮限度額と既に計上した圧縮損の金額との差額を益金の額又は損金の額に算入するとともに当該交換取得資産の帳簿価額を増減することとなる。
 本通達においては、措置法通達64(3)−8を準用してこれらのことを明らかにしている。

3 ところで、このように交換に要する経費の額の見積り計算をした場合に、その経費の見積額を未払金に計上することができるのかどうかが問題となる。この点については、その経費について期末までに債務確定がない限りは未払金計上は認められないというのが一般的な取扱いであるが、圧縮記帳の計算上経費の見積り計算を要求してそれだけ圧縮限度額を切り下げておきながら、未払金計上は認めないというのでは、事実上課税が先行する結果になる。
 そこで、このように経費の見積り計算をした上で、圧縮限度額の計算をする場合には、その交換があった日を含む事業年度において、その経費の見積額につき未払金に計上することができることを本通達の注書において明らかにしている。

4 なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の85の2《承継業務の事業計画の施行区域内にある土地等の交換の場合の課税の特例》についても、同様の通達(連措通68の85の2−7)を定めている。


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