第3 租税特別措置法関係通達(法人税編)関係

【新設】(事業年度の中途において中小企業者に該当しなくなった場合の適用)

67の8−1 法人が各事業年度の中途において措置法第67条の8第1項に規定する中小企業者に該当しないこととなった場合においても、その該当しないこととなった日前に取得又は製作若しくは建設をして事業の用に供した同項に規定する少額減価償却資産については、同項の規定の適用があることに留意する。

【解説】

1 平成15年度の税制改正により、租税特別措置法第42条の4第7項に規定する中小企業者に該当する法人又は農業協同組合等である青色申告法人が、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に、少額減価償却資産(取得価額が30万円未満である減価償却資産で一定のものをいう。以下同じ。)の取得等をして当該法人の事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度において、当該少額減価償却資産の取得価額に相当する金額につき損金経理をしたときは、その損金経理をした金額を損金の額に算入するという制度が創設された(措法67の81)。

2 本通達においては、法人が事業年度の中途において増資を行ったこと等により中小企業者に該当しないこととなった場合においても、その該当しないこととなった日前に取得等をして事業の用に供した少額減価償却資産については、この制度の適用を認めることを明らかにしている。
 すなわち、法人が少額減価償却資産の取得等をして事業の用に供した日の現況において、当該法人が中小企業者に該当するかどうかを判定するということであり、上記の例示とは逆に、事業年度の中途において減資を行ったため中小企業者に該当することとなったような場合には、その該当することとなった日以後に取得等をして事業の用に供した少額減価償却資産については、本制度の適用があることになる。
 なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の103の2《中小連結法人等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例》についても、同様の通達(連措通68の103の2−1)を新たに定めている。

【新設】(明細書の添付)

67の8−3 法人が、当該事業年度の確定申告書に添付する規則別表十六(一)から別表十六(四)まで(減価償却資産の償却額の計算に関する明細書)の備考欄に次に掲げる事項を記載して提出し、かつ、当該減価償却資産の明細を別途保管している場合には、措置法第67条の8第2項に規定する「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」の提出を省略して差し支えないものとする。

(1) 取得価額30万円未満の減価償却資産について、措置法第67条の8第1項の規定を適用していること

(2) 適用した減価償却資産の取得価額の合計額

(3) 適用した減価償却資産の明細は、別途保管していること

【解説】

 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度の適用を受けるには、確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付することが要件とされている(措法67の82)。この明細書については、省令等において定型的な様式は定められていないので、適用した少額減価償却資産ごとに取得価額に関する明細書を適宜に作成し添付することになる。
 しかしながら、その対象となる少額減価償却資産が多数に及ぶことも考えられ、その場合にすべての少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付させることは、納税者の事務負担が大きなものとなり、中小企業の事務負担に配慮した本制度の趣旨にも反する。また、法人において本制度を適用した減価償却資産の明細を確認できる状態にあれば、あえて確定申告書等に取得価額に関する明細書を添付しなくとも、本制度を適用していることを申告書上において明らかにしているのであれば、特に課税上の弊害は生じないと考えられる。
 そこで、本通達において、本制度を適用した減価償却資産の明細を別途保管している場合に限り、法人税法施行規則別表十六(一)から別表十六(四)まで(減価償却資産の償却額の計算に関する明細書)の備考欄に、本制度の適用の有無及び適用減価償却資産の取得価額の合計額を記載すれば、本制度の添付要件を充足するものとして取り扱うことを明らかにしている。
 なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の103の2《中小連結法人等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例》についても、同様の通達(連措通68の103の2−3)を新たに定めている。

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