第3 租税特別措置法関係通達(法人税編)関係

【新設】(開発研究の意義)

44の3−1 措置法第44条の3第1項に規定する「開発研究」(以下「開発研究」という。)とは、次に掲げる試験研究をいう。

(1) 新規原理の発見又は新規製品の発明のための研究

(2) 新規製品の製造、製造工程の創設又は未利用資源の活用方法の研究

(3) (1)又は(2)の研究を基礎とし、これらの研究の成果を企業化するためのデータの収集

(4) 現に企業化されている製造方法その他の生産技術の著しい改善のための研究

【解説】

1 平成15年度の税制改正により、開発研究用設備の特別償却制度が創設された。本制度は、青色申告法人で開発研究を行うものが、平成15年1月1日から平成18年3月31日までの期間内に、開発研究用設備の取得等をして、これを国内にある当該法人の開発研究の用に供した場合には、その開発研究の用に供した事業年度(平成15年4月1日以後に終了する事業年度に限る。)において、その開発研究用設備の特別償却を認めるというものである(措法44の31)。

2 本制度の対象となる開発研究用設備は、上記のとおり法人の開発研究の用に供さなければならないが、この場合の「開発研究」とはいかなるものなのかが問題となるところ、法令上は、租税特別措置法施行令第28条の6第1項において、「開発研究」とは、「新たな製品の製造」若しくは「新たな技術の発明」又は「現に企業化されている技術の著しい改善」を目的として「特別に行われる試験研究」をいう旨が定められている。
 この「新たな製品」や「新たな技術」は今まで世の中に全くなかった製品・技術という意味であり、その法人における従来の製品・技術とは構造、性能、原理、方法等が全く異なるものをいうとともに、「現に企業化されている技術の著しい改善」は自社が開発した製造方法等の生産技術の著しい改善という意味である。このことから、現在生産している製品の改良のためのいわゆる通常研究や他社が開発した製造工程等の研究は、本制度でいう「開発研究」に含まれないこととなる。

3 そこで、本通達においては、この「開発研究」に該当する試験研究の範囲を具体的に明らかにするため、個別に列挙したものである。
 なお、本通達は、耐用年数省令第2条第4号に規定する「開発研究の用に供されている減価償却資産」に係る「開発研究」の意義を明らかにした耐用年数通達2−24−1と同趣旨によるものである。
 また、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の20の2《開発研究用設備の特別償却》についても、同様の通達(連措通68の20の2−1)を新たに定めている。

【新設】(委託研究先への資産の貸与)

44の3−5 措置法第44条の3第1項に規定する法人が、その取得又は製作をした同項に規定する開発研究用設備を自己の開発研究の委託先に貸与した場合において、当該委託先において当該開発研究用設備が専ら当該法人のためにする開発研究の用に供されるものであるときは、当該開発研究用設備は当該法人の行う開発研究の用に供したものとして取り扱う。

【解説】

  青色申告法人がその取得又は製作をした開発研究用設備について本制度の適用を受けるためには、その開発研究用設備を当該青色申告法人が行う開発研究の用に供することが要件とされている(措法44の31)。したがって、他の者に貸し付けるような場合には、当該青色申告法人の開発研究の用に供しているとはいえず、その適用はないこととなる。
 しかしながら、一口に貸付けといっても、その貸付けをするに至った事情や貸付けの態様は様々なものがあり、これを一律に本制度の適用対象外とすることについては、やや問題があると考えられる。特に、自己自身による開発研究能力の低い青色申告法人が専属の開発研究の委託業者に対してその開発研究をさせるために貸与する開発研究用設備などについては、その実態は、その青色申告法人が開発研究の用に供しているとみる余地があるとも考えられる。
 そこで、本通達において、形式的には開発研究用設備の貸与であっても、実質的に自ら開発研究の用に供したと同視し得るとき、すなわち、その取得又は製作をした開発研究用設備が専ら当該青色申告法人のためにする開発研究の用に供されるときは、その開発研究用設備は当該青色申告法人が行う開発研究の用に供したものとして取り扱うことを明らかにしている。
 なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の20の2《開発研究用設備の特別償却》についても、同様の通達(連措通68の20の2−5)を新たに定めている。

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