第3 租税特別措置法関係通達(法人税編)関係

【新設】(事業年度の中途において特定事業者等に該当しなくなった場合の適用)

42の11−1 法人が事業年度の指定期間(措置法第42条の11第1項に規定する指定期間をいう。以下同じ。)内の中途において措置法令第27条の11第1項に規定する特定事業者等に該当しないこととなった場合においても、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定めるものの取得若しくは製作(以下「取得等」という。)をして事業の用に供したとき又は賃借をして事業の用に供したとき(事業の用に供した日を含む事業年度終了の日まで引き続き当該事業の用に供しているときに限る。)には、措置法第42条の11第1項、第2項、第3項若しくは第6項又は第7項若しくは第9項の規定の適用があることに留意する。

(1) 措置法第42条の11第1項に規定するソフトウエア(以下「ソフトウエア」という。)
その特定事業者等に該当していた指定期間内に取得等又は賃借をして事業の用に供していたソフトウエアの取得価額の合計額又はリース費用の総額の合計額が措置法令第27条の11第1項、第2項若しくは第5項に規定する特定事業者等のソフトウエアに係る金額(70万円)又は同条第10項若しくは第13項に規定する特定事業者等のソフトウエアに係る金額(100万円)以上である場合の当該ソフトウエア

(2) 措置法第42条の11第1項に規定する情報通信機器等(ソフトウエアを除く。以下「ソフトウエア以外の情報通信機器等」という。)その特定事業者等に該当していた指定期間内に取得等又は賃借をして事業の用に供していたソフトウエア以外の情報通信機器等の取得価額の合計額又はリース費用の総額の合計額が措置法令第27条の11第1項、第2項若しくは第5項に規定する特定事業者等のソフトウエア以外の情報通信機器等に係る金額 (140万円)又は同条第10項若しくは第13項に規定する特定事業者等のソフトウエア以外の情報通信機器等に係る金額(200万円)以上である場合の当該ソフトウエア以外の情報通信機器等

(注) 法人が事業年度の指定期間内に取得等をして事業の用に供していたソフトウエアの取得価額の合計額が、措置法令第27条の11第1項、第2項又は第5項に規定する特定事業者等以外の法人のソフトウエアに係る金額(600万円)以上である場合の当該ソフトウエアについては、そのソフトウエアのすべてが対象となる。
 法人が事業年度の指定期間内に取得等をして事業の用に供していたソフトウエア以外の情報通信機器等についても、同様とする。

【解説】

1 情報通信機器等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除制度は、適用対象資産について規模基準を採用しており、次の情報通信機器等を取得等に係るものと賃借に係るものとに区分し、それぞれ次のものが適用対象となる(措法42の11、措令27の11、措規20の5の2)。

【情報通信機器等】

1 電子計算機及び附属設備    6 インターネット電話設備及び附属設備

2 デジタル複写機及び附属設備  7 ルーター又はスイッチ及び附属設備

3 ファクシミリ及び附属設備     8 デジタル回線接続装置

4 ICカード利用設備及び附属設備 9 ソフトウエア

5デジタル放送受信設備

(注) 法人税法施行令第133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》若しくは第133条の2《一括償却資産の損金算入》又は租税特別措置法第67条の8《中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例》の規定の適用を受けるものを除く。

(1) 取得等に係る特定情報通信機器等
 本制度のうち取得等に係る措置の適用対象となる特定情報通信機器等とは、その製作の後事業の用に供されたことのない情報通信機器等で、法人の資本の金額又は出資金額等の区分に応じ、それぞれ次に掲げる取得価額基準を満たすものをいう(措法42の111236、措令27の11125、措規20の5の212)。

区分 取得価額基準
当該事業年度の指定期間内に取得等をしたソフトウエア以外の情報通信機器等の取得価額の合計額 当該事業年度の指定期間内に取得等をしたソフトウエアの取得価額の合計額
(イ) 資本の金額又は出資金額が3億円超の法人(農業協同組合等を除く。) 600万円以上 600万円以上
(ロ) 上記(イ)に掲げる法人以外の法人(以下「特定事業者等」という。) 140万円以上 70万円以上

(2) 賃借に係るリース情報通信機器等
 この制度のうち賃借に係る措置の適用対象となるリース情報通信機器等とは、その製作の後事業の用に供されたことのない情報通信機器等で、次の情報通信機器等の区分に応じ、それぞれ次に掲げるリース費用の総額の合計額となるものをいう(措法42の1179、措令27の111013、措規20の5の213)。

情報通信機器等の区分 リース費用の総額の合計額
当該事業年度の指定期間内に賃借をしたソフトウエア以外の情報通信機器等 そのリース費用の総額の合計額が200万円以上のもの
当該事業年度の指定期間内に賃借をしたソフトウエア そのリース費用の総額の合計額が100万円以上のもの

(注) 賃借に係る措置は、特定事業者等が賃借する場合に限られる。

2 本制度の適用対象資産に該当するかどうかは、上記のように特定事業者等であるかどうかにより異なることとなることから、仮に、法人が事業年度の中途において増資を行ったこと等により特定事業者等に該当しないこととなった場合に、どのように取り扱われるかが問題となる。
 この判定に当たっては、一つに、事業年度の一時点を捉えて資本金3億円超の法人であるかどうかを決めるという手法もあり得るが、その場合、設備投資減税が設備の取得に着目した特例措置であるにもかかわらず、その取得の時点に連動しないという問題が生じる上、その事業年度に取得した設備の取得価額の合計額が取得価額基準に満たない場合に、ある一時点だけ減資して低い方の取得価額基準を選択することが可能になるなどの弊害が生じ得る。
 そこで、これまでの設備投資に係る中小企業者等の要件判定と同様に、法人が事業年度の中途において増資を行ったこと等により特定事業者等に該当しないこととなった場合においても、その該当しないこととなった日前に取得等又は賃借をして事業の用に供したものについては、特定事業者等が取得等又は賃借をしたものとして本制度の適用を認めることを本通達において明らかにしている。

3 具体的には、法人が事業年度の中途において特定事業者等に該当しないこととなった場合においても、次に掲げる区分に応じて、それぞれ次に定めるものの取得等をして事業の用に供したとき又は賃借をして事業の用に供したとき(事業の用に供した日を含む事業年度終了の日まで引き続き当該事業の用に供しているときに限る。)には、本制度の適用がある。

(1) ソフトウエア

イ 取得等に係る措置
特定事業者等に該当していた指定期間内に取得等をして事業の用に供していたソフトウエアの取得価額の合計額が70万円以上である場合の当該ソフトウエア。ただし、法人が事業年度の指定期間内に取得等をして事業の用に供していたソフトウエアの取得価額の合計額が600万円以上である場合の当該ソフトウエアについては、そのソフトウエアのすべてが対象となる。

ロ 賃借に係る措置
特定事業者等に該当していた指定期間内に賃借をして事業の用に供していたソフトウエアのリース費用の総額の合計額が100万円以上である場合の当該ソフトウエア。

(2) ソフトウエア以外の情報通信機器等

イ 取得等に係る措置
特定事業者等に該当していた指定期間内に取得等をして事業の用に供していたソフトウエア以外の情報通信機器等の取得価額の合計額が140万円以上である場合の当該ソフトウエア以外の情報通信機器等。ただし、法人が事業年度の指定期間内に取得等をして事業の用に供していたソフトウエア以外の情報通信機器等の取得価額の合計額が600万円以上である場合の当該ソフトウエア以外の情報通信機器等については、そのソフトウエア以外の情報通信機器等のすべてが対象となる。

ロ 賃借に係る措置
特定事業者等に該当していた指定期間内に賃借をして事業の用に供していたソフトウエア以外の情報通信機器等のリース費用の総額の合計額が200万円以上である場合の当該ソフトウエア以外の情報通信機器等。

4 なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15《情報通信機器等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》についても、同様の通達(連措通68の15−1)を新たに定めている。

【新設】 (取得価額の判定単位と適用対象となる「特定情報通信機器等」)

42の11−2 ソフトウエア以外の情報通信機器等の取得価額の合計額又はソフトウエアの取得価額の合計額が措置法令第27条の11第1項に規定する600万円以上若しくは140万円以上又は600万円以上若しくは70万円以上であるかどうかについては、措置法規則第20条の5の2第1項各号に掲げるもの(令第133条若しくは第133条の2の規定の適用を受けるもの又は措置法第67条の8の規定の適用を受けるものを除く。)を措置法規則第20条の5の2第1項第1号から第8号までの情報通信機器等と同項第9号の情報通信機器等とに区分し、それぞれの取得価額の合計額により判定する。この場合、その取得価額基準を満たす情報通信機器等については、その区分ごとに、措置法第42条の11第1項又は第6項のいずれかの規定を適用することに留意する。
 措置法令第27条の11第2項、第5項、第10項又は第13項に規定する合計額の判定においても、同様とする。

(注)上記のそれぞれの区分ごとにその区分に属する特定情報通信機器等(措置法第42条の11第1項に規定する特定情報通信機器等をいう。)又はリース情報通信機器等(同条第7項に規定するリース情報通信機器等をいう。)の一部について同条第1項若しくは第6項又は第7項の規定の適用を受けた場合には、各区分に属するそれ以外のものについて措置法第53条各号に掲げるその他の規定を適用することはできないことに留意する。

【解説】

1 情報通信機器等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除制度において、情報通信機器等が適用対象となる特定情報通信機器等に該当するかどうかの判定は、一事業年度の指定期間内において取得等をしたすべての情報通信機器等(法人税法施行令第133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》若しくは第133条の2《一括償却資産の損金算入》又は租税特別措置法第67条の8《中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例》の規定の適用を受けるものを除く。)について、

1 ソフトウエア以外の情報通信機器等(いわゆるハードウエア)

2 ソフトウエア

との2つに区分した上で、それぞれの区分ごとに情報通信機器等を一括りにしてその取得価額の合計額を求め、その取得価額の合計額が、その法人の資本の金額又は出資金額等の区分に応じたそれぞれの取得価額基準を満たすかどうかにより行い、これを満たすものの「集合体」が本制度の適用対象となる特定情報通信機器等に該当することとされている(措法42の111、措令27の111、措規20の5の21)。
したがって、取得価額基準に満たない1のソフトウエア以外の情報通信機器等を2のソフトウエアと、又は、取得価額基準に満たない2のソフトウエアを1のソフトウエア以外の情報通信機器等と、それぞれ一括りにグルーピングすることはできない。

2 また、取得価額基準を満たす「集合体である特定情報通信機器等」について、特別償却制度と法人税額の特別控除制度とのいずれかの制度を選択して適用することはできるが、その集合体である特定情報通信機器等を任意に細分化して、その細分化後の区分ごとにいずれかの制度を選択して適用することはできない。
なお、ソフトウエア以外の情報通信機器等には特別償却制度を、ソフトウエアには法人税額の特別控除制度を適用すること、あるいはそれぞれその逆の制度を適用することは可能である。

3 ところで、一の資産が2以上の特別償却等の規定の適用を受けることができる場合には、そのうちいずれか一の規定のみを適用するという特別償却等の重複排除の規定(措法53、措令32)が置かれている。本制度の取得価額基準を満たす「集合体である特定情報通信機器等」については、それを一の資産とみるわけであるから、その一部について本制度の特別償却制度と法人税額の特別控除制度とのいずれかの制度の適用を受けた場合には、その集合体である特定情報通信機器等に属するそれ以外のものについて租税特別措置法第53条《特別償却等に関する複数の規定の不適用》各号に掲げるその他の特別償却制度や法人税額の特別控除制度等の規定の適用を受ける余地は残されていない。
本通達において、これらのことを明らかにしている。

4 なお、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15《情報通信機器等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》についても、同様の通達(連措通68の15−2)を新たに定めている。

【新設】(ソフトウエアの改良費用)

42の11−5 法人が、その有するソフトウエアにつき新たな機能の追加、機能の向上等に該当するプログラムの修正、改良等のための費用を支出した場合において、その付加された機能等の内容からみて、実質的に新たなソフトウエアを取得したことと同様の状況にあるものと認められるときは、当該費用の額をソフトウエアの取得価額として措置法第42条の11第1項、第2項又は第6項の規定の適用があるものとする。

【解説】

1 本制度においては、従来の特別償却制度とは異なり、電子計算機等のハードウエアのほかソフトウエアについても、その製作の後事業の用に供されたことのないものを取得又は製作(以下この項において「取得等」という。)して事業の用に供した場合に特別償却等の対象とすることとされている。

2 通常、法人が既存の情報通信機器等について同種の上位機種等への切換えをする場合において、電子計算機等のハードウエアであれば同種の上位機種への物理的な買換えを行うところ、ソフトウエアについては既存のプログラムに改良等を加えるバージョンアップという手段により同種の上位製品に切り換えることが多い。このように行われるバージョンアップの中には、例えば、ワープロソフトの対応フォントを追加するものなどのように既存の機能を強化・拡充する程度のバージョンアップもあれば、既存の機能の強化・拡充にとどまらず、それ自体機能的独立性が高い新機能を既存のものに追加するなど、実質的に新たにソフトウエアを購入したことと同視し得るバージョンアップもある。

3 ところで、法人が、その有するソフトウエアにつきプログラムの修正等を行った場合において、その修正等が、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときはその修正等に要した費用は資本的支出に該当し(基通7―8―6の2)、法人税法上は量的支出ではなく質的支出があったものとして既存のソフトウエアの取得価額に加算することとされている。
 この資本的支出に該当するソフトウエアのバージョンアップ費用については、そのバージョンアップ等により上記2のような実質的に新製品を購入したことと同様の状況にあるときであっても、法人税法上、既存のソフトウエアの取得価額に加算するものであることから、新たなソフトウエアの取得等には該当せず、本制度の適用対象にはならないのではないかとの疑問が生じる。

4 この点、有形減価償却資産である建物等の場合には、増築、拡張、延長などのように既存の資産に物理的に付加される部分に係る量的支出については資本的支出ではなく新たな資産の取得そのものとして取り扱われるところ(基通7−8−1(注))、無形減価償却資産であるソフトウエアの場合にも、実質的に新たな資産の取得と同視し得るバージョンアップ等については、それが既存のプログラムの改良等に係る支出であっても、新たな資産の取得として取り扱う余地がある。
 さらに、本制度は、広く我が国の企業全体の事業効率化、付加価値向上のためIT投資を促進するという観点から、ハードウエアのみならずソフトウエアを含むIT投資全体を制度の対象とすることとされているものであるという制度創設の趣旨及びソフトウエアについては新規製品に切り換える場合に既存の製品のバージョンアップという手段をとることが一般的であるという状況を踏まえると、資本的支出に該当するソフトウエアのバージョンアップ等の費用であっても、実質的に新たなソフトウエアを取得したものと同視し得るものについては、本制度の適用の場面においては、新たなソフトウエアの取得等として取り扱うことが相当である。
 そこで、本通達において、資本的支出に該当するソフトウエアのバージョンアップ等の費用のうち、その新たに付加された機能等の内容からみて、実質的に新たなソフトウエアを取得したことと同様の状況にあるものに係る費用については、本制度の適用対象となることを明らかにしている。

5 なお、経済産業省においては、ソフトウエアのバージョンアップ等が行われた場合において、それが本制度の適用対象となる新たなソフトウエアの取得に当たるかどうかの判断に関し、その判断基準や具体的事例を、ホームページにおいて公表している。
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/it_invest.5.htm

6 また、連結納税制度に係る租税特別措置法第68条の15《情報通信機器等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除》についても、同様の通達(連措通68の15−5)を新たに定めている。

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