第2 連結納税基本通達関係

【改正】(期末連結利益積立金額)

19−1−5 連結親法人が連結事業年度の中途において利益の配当又は剰余金の分配(みなし配当を含む。)を行い連結利益積立金額が減算した場合又は連結法人の当該連結事業年度前の各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)において損金の額に算入されなかった償却超過額、引当金、準備金の繰入額等を当該連結事業年度において損金の額に算入した場合には、その減算した金額又は損金の額に算入した金額は、法第81条の13第3項第3号《積立金基準額》に規定する「当該連結事業年度の連結所得等の金額に係る部分の金額」に該当する。したがって、当該連結事業年度の連結留保所得金額がある場合において、当該連結事業年度終了の時の連結利益積立金額は、連結法人が当該連結法人との間に連結完全支配関係を有しない法人との間で適格合併若しくは適格分割型分割を行ったこと又は連結法人による他の連結法人の株式の譲渡等があったことにより法第2条第18号の2《連結利益積立金額》の規定に基づき加算又は減算する連結利益積立金額がある場合を除き、当該連結事業年度開始の時の連結利益積立金額と同額となることに留意する。

【解説】

 本通達においては、連結留保控除額のうち、いわゆる積立金基準額の計算を行う場合の期末時の連結利益積立金額に関する取扱いを定めている。すなわち、当該連結利益積立金額から除くこととされている「当該連結事業年度の連結所得等の金額に係る部分の金額」には、利益の配当又は剰余金の分配(みなし配当を含む。)を行ったことにより連結利益積立金が減算した場合のその減算した金額が含まれることなどを明らかにするともに、連結留保所得金額がある場合における期末時の連結利益積立金額は、自己を合併法人とする連結グループ外の法人との適格合併、自己を分割法人とする連結グループ外の法人との適格分割型分割等、一定の事由により連結利益積立金が増減した場合を除き、期首の連結利益積立金額と同額になることを明らかにしている。
 なお、この取扱いは法人税基本通達16−1−6《期末利益積立金額》の取扱いと同様である。
ただし、連結納税制度における連結留保所得金額の計算は、単体法人のように個々の法人ごとに留保金額の計算を行う制度ではなく、連結グループ全体として連結留保所得金額を計算することとされている。したがって、次の例のように、みなし配当の額がみなし配当を行った連結法人の当期の個別留保所得金額を超える場合であっても、他の連結法人に当期の個別留保所得金額があるときは、その超える部分の金額を他の連結法人の個別留保所得金額から減算することとなる。

(例)

連結法人 個別所得の総額 留保 流出(みなし配当)
P  100  △50  150
S1  200  200  0
計  300  150  150

 上記の例では、みなし配当はPの当期の個別所得を超えているが、連結留保金課税の対象となる当期の連結留保所得金額はグループ全体として計算することから、S1の200となるのではなく、グループ全体のネット金額である150となる。
このことから、みなし配当が生ずる場合において、当期の連結留保所得金額がある場合(すなわち当期の連結留保所得金額がみなし配当の額を上回る場合)には、期末時の連結利益積立金額は期首時の連結利益積立金額と同額となる。

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