第2 連結納税基本通達関係

【新設】(連結子法人に更生手続開始の決定があった場合の連結事業年度)

1−4−5 会社更生法第232条第2項《事業年度の特例》に規定する更生会社の事業年度は、法第15条の2第1項第1号から第4号まで《連結事業年度に含まれない期間》に定める期間に該当しないことに留意する。したがって、連結子法人が連結事業年度の中途において会社更生法第232条第2項に規定する更生手続開始の決定を受けた場合であっても、当該事業年度の所得に対する法人税の申告は要しない。
金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第148条第2項又は第321条第2項《事業年度の特例》に規定する更生協同組織金融機関又は更生会社の事業年度についても、同様とする。

【解説】

 本通達においては、連結子法人が会社更生法等に規定する更生手続開始の決定を受けたことに基因して、同法上のみなし事業年度が生じた場合であっても、そのみなし事業年度については単体申告を要しない旨を留意的に明らかにしている。
 会社更生法第232条第2項《事業年度の特例》又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第148条第2項若しくは第321条第2項《事業年度の特例》では、法人が更生手続開始の決定を受けた場合の事業年度について特例を設けている。すなわち、この場合の更生会社等の事業年度は、更生手続の開始の時に終了し、これに続く事業年度は、更生計画認可の時又は更生手続の終了の日に終了することとされている。ただし、その期間が1年を超える場合には1年ごとに打ち切ることとされている。
 ところで、この事業年度の特例については、更生会社が連結親法人である場合のみならず連結子法人である場合も適用があるのであるが、この場合、連結子法人がこの特例によるみなし事業年度につき単体申告を要するのか、それともそのみなし事業年度にかかわらず連結申告をすることとなるのか疑問が生じる。
 この点、連結子法人は、連結事業年度に該当する期間については単体申告を要しないこととされており(法5)、この場合の「連結事業年度」とは、法人税法第15条の2第1項《連結事業年度の意義》に規定する連結法人の連結親法人事業年度開始の日からその終了の日までの期間とされ、次に掲げる連結法人の次に掲げる期間(その末日が連結親法人事業年度終了の日である期間を除く。)は連結事業年度に含まないものとされている(法15の21)。換言すれば、連結子法人は、次に掲げる期間に限って単体申告を行うこととなる。

1  連結親法人事業年度の中途において自己を分割法人とする分割型分割を行った連結法人 その連結親法人事業年度開始の日から分割型分割の日の前日までの期間

2 連結親法人事業年度の中途において法人税法第4条の5第1項《連結納税の承認の取消し等》の規定により連結納税の承認を取り消された連結子法人  その連結親法人事業年度開始の日からその取り消された日の前日までの期間

3 連結親法人事業年度の中途において解散した連結子法人その連結親法人事業年度開始の日から解散の日(合併による解散の場合には、合併の日の前日)までの期間

(注)更生手続開始の決定があっても、破産の場合と異なり解散事由には該当しない。

4連結親法人事業年度の中途において連結親法人との間に連結完全支配関係を有しなくなった連結子法人(2及び3に掲げる法人を除く。)その連結親法人事業年度開始の日からその有しなくなった日の前日までの期間

 したがって、連結子法人に対し会社更生法の規定による更生手続開始の決定があり、それに基づくみなし事業年度が生じたとしてもそのみなし事業年度に係る期間については、上記の連結事業年度に含まない期間には該当しないことから、そのみなし事業年度に係る単体申告は要しないこととなる。
なお、連結親法人が更生手続開始の決定を受けた場合には、連結親法人が決算期変更を行った場合と同様にその開始決定に伴うみなし事業年度が連結事業年度となることから、連結親法人は連結子法人も含めてそのみなし事業年度(連結事業年度)につき連結申告を行うことになる。

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