【廃止】(LAN設備の耐用年数)

2−7−6の2 法人が、いわゆるLAN設備について、同時に一括して取得及び更新が行われるものとして、これを構成する個々の減価償却資産の全体を一の減価償却資産として6年の耐用年数により償却費の計算を行っている場合には、これを認める。

(注) LAN設備を構成する個々の減価償却資産ごとに償却費の計算を行う場合には、その耐用年数はおおむね次のようになる。

個々の減価償却資産 耐用年数 「種類」「構造又は用途」「細目」
サーバー 6年 「器具及び備品」「事務機器及び通信機器」「電子計算機」
ネットワークオペレーションシステム、アプリケーションソフト 5年 「無形減価償却資産」「ソフトウエア」「その他のもの」
ハブ、ルーター、リピーター、LANボード 10年 「器具及び備品」「事務機器及び通信機器」「電話設備その他の通信機器」 「その他のもの」
端末機 6年 「器具及び備品」「事務機器及び通信機器」「電子計算機」
プリンター 5年 「器具及び備品」「事務機器及び通信機器」「その他の事務機器」
ツイストベアケーブル、 同軸ケーブル 18年 「建物附属設備」「前掲のもの以外のもの及び前掲の区分によらないもの」「主として金属製のもの」
光ケーブル 10年 「建物附属設備」「前掲のもの以外のもの及び前掲の区分によらないもの」「その他のもの」

【新設】(経過的取扱い)

 法人が、平成13年4月1日以後に開始する事業年度において、同日前に開始した事業年度に取得したLAN設備を構成する個々の減価償却資産について、この法令解釈通達による改正前の2−7−6の2《LAN設備の耐用年数》の本文の取扱いの例により、引き続き当該取得したものの全体を一の減価償却資産として償却費の計算を行っている場合には、これを認める。

(注) 当該取得したものの全体を一の減価償却資産として償却費の計算を行っている場合において、その後の事業年度において、個々の減価償却資産ごとに償却費の計算を行う方法に変更する場合には、既に計上した償却費の額をその取得価額比等により個々の減価償却資産に合理的に配賦するものとする。

【解説】

(1) 今回の改正により廃止された旧耐用年数通達2−7−6の2(以下「旧通達」という。)においては、いわゆるLAN設備の耐用年数の取扱いについて明らかにしていた。すなわち、減価償却資産の計算を行う場合の耐用年数は、原則として個々の減価償却資産ごとに判定することとされているため、LAN設備についても、これを構成する個々の減価償却資産ごとに判定するのが原則であるが、LAN設備全体を一つの減価償却資産として償却費の計算を行うことも認めていた。
 また、その場合のLAN設備全体の耐用年数については、6年を適用することとされていたが、この6年の年数は、LAN設備を構成する標準的な減価償却資産について、それぞれ個々の減価償却資産の取得価額と耐用年数を基礎として償却費のモデル計算を行い、加重平均によってこれを求めたものであった。

(2) ところが、その後LAN設備については、次のような事情が生じていることから、今回の改正において旧通達を廃止している。
 まず、旧通達の取扱いは、LAN設備全体が同時に一括して取得及び更新が行われるといったことをその前提としており、このためLAN設備全体を一つの減価償却資産として一つの耐用年数を適用するというものであった。
 しかし、技術革新等によって、現在は、大半のLAN設備については必ずしも同時に一括して取得及び更新は行われず、既存の設備の拡張や機能向上に伴う一部設備の更新なども頻繁に行われる状況にある。したがって、LAN設備全体を一つの減価償却資産として償却計算をする理由が極めて乏しくなってきた。また、このため、LAN設備を構成する一部分を除却あるいは取得した場合の償却計算をどのように行うのかといった問題が生じていた。
 他方、それでも、償却計算の便宜という観点から、機械装置などの総合償却資産と同様に、LAN設備全体を一つの耐用年数で償却したいといった実務上の要望もあった。
 しかし、LAN設備については、これを構成する個々の減価償却資産の内容も、その利用目的等に応じて多様化している。例えば、多数の者が膨大な情報を共有して事務処理等を行う場合には、それらの情報を蓄積・管理するサーバーの機能を重視した構成になろうし、単に通信手段として使用する場合には、各端末機に必要なソフトウエアをインストールすれば足りるが、通信機能の高速化を図るためには、接続・拡張装置や伝送媒体を高性能なものにすることになる。つまり、LAN設備を導入する各法人のニーズによって、LAN設備を構成する減価償却資産の内容も様々になっている。
 更に、平成13年度の税制改正により、電子計算機の耐用年数について、改正前は6年であったものが、パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く。)については4年、その他のものについては5年に短縮された。
 このため、LAN設備全体を一つの耐用年数とすることについては、LAN設備の構成が個々の法人で区々であること、また、主要な構成要素である電子計算機の耐用年数も2種類となったことから、一律に何年といった耐用年数を加重平均して算定すること自体が困難となった。

(3) 上述のような理由により旧通達は廃止したが、法人が従前から旧通達に基づきLAN設備全体を一つの減価償却資産として償却計算を行っている場合には、償却計算の継続性などの観点から、従前に取得したLAN設備について今後も引き続き耐用年数6年で償却費を計算することも認める旨を、経過的取扱いにおいて明らかにしている。
 また、従前に取得したLAN設備については、従前どおりその取得した設備を一つの減価償却資産として償却計算を行うが、新規に取得したLAN設備については個々の減価償却資産ごとに償却計算を行うといったケースも考えられる。この場合も、上記の取扱いを認める趣旨からすれば、認められる。
 なお、法人によっては、LAN設備を構成するそれぞれ個々の減価償却資産の取得価額と耐用年数を基礎として償却費の計算を行い、これを加重平均した年数でLAN設備全体を一つの減価償却資産として償却計算を行うケースも考えられる。このような償却計算であっても、個々の減価償却資産ごとに償却費の計算を行う場合とさほど差異がないような場合には、税務上も当面はその償却計算が是認される。
 改正後の取扱いは、平成13年4月1日以後に開始する事業年度から適用するが、上述のような廃止理由であること等を考慮して、その実際の適用時期については、法人の個々の実情に即して若干弾力的に取り扱うこととして差し支えない。

(4) また、法人が旧通達に基づきLAN設備全体を一つの減価償却資産として償却費の計算を行っている場合において、その後の事業年度において、個々の減価償却資産ごとに償却費の計算を行う方法に変更するときには、既に計上した償却費の額を取得価額比等により個々の減価償却資産に合理的に配賦する必要がある。
 経過的取扱いの(注)において、このことを明らかにしている。
 (経過的取扱いの適用例)

経過的取扱いの適用例の図

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