平成14年2月15日付「法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」により、従前の耐用年数通達2−7−6の2《LAN設備の耐用年数》が廃止されました。この改正に関し、社団法人リース事業協会から別紙【照会12】のような照会があり、これに対してそれぞれ別紙(回答1、2)のような口頭回答を行いました。

別紙

【照会1】 耐用年数の適用時期

【照会2】 LAN設備を構成する伝送媒体の耐用年数

【廃止】 (LAN設備の耐用年数)

2 −7−6の2 法人が、いわゆるLAN設備について、同時に一括して取得及び更新が行われるものとして、これを構成する個々の減価償却資産の全体を一の減価償却資産として6年の耐用年数により償却費の計算を行っている場合には、これを認める。

(注)  LAN設備を構成する個々の減価償却資産ごとに償却費の計算を行う場合には、その耐用年数はおおむね次のようになる。

個々の減価償却資産 耐用
年数
「種類」「構造又は用途」「細目」
サーバー 6年 「器具及び備品」「事務機器及び通信機器」「電子計算機」
ネットワークオペレーションシステム、アプリケーションソフト 5年 「無形減価償却資産」「ソフトウエア」「その他のもの」
ハブ、ルーター、リピーター、LANボード 10年 「器具及び備品」「事務機器及び通信機器」「電話設備その他の通信機器」「その他のもの」
端末機 6年 「器具及び備品」「事務機器及び通信機器」「電子計算機」
プリンター 5年 「器具及び備品」「事務機器及び通信機器」「その他の事務機器」
ツイストペアケーブル、同軸ケーブル 18年 「建物附属設備」「前掲のもの以外のもの及び前掲の区分によらないもの」「主として金属製のもの」
光ケーブル 10年 「建物附属設備」「前掲のもの以外のもの及び前掲の区分によらないもの」「その他のもの」

【新設】 (経過的取扱い)

 法人が、平成13年4月1日以後に開始する事業年度において、同日前に開始した事業年度に取得したLAN設備を構成する個々の減価償却資産について、この法令解釈通達による改正前の2−7−6の2《LAN設備の耐用年数》の本文の取扱いの例により、引き続き当該取得したものの全体を一の減価償却資産として償却費の計算を行っている場合には、これを認める。

(注)  当該取得したものの全体を一の減価償却資産として償却費の計算を行っている場合において、その後の事業年度において、個々の減価償却資産ごとに償却費の計算を行う方法に変更する場合には、既に計上した償却費の額をその取得価額比等により個々の減価償却資産に合理的に配賦するものとする。


別紙


【照会1】 耐用年数の適用時期    

 今回の改正により、原則的には電子計算機の耐用年数が変更された平成13年4月1日以後に開始した事業年度に取得したLAN設備については、個々の減価償却資産について定められた耐用年数により償却計算を行うこととなりました。
 ところが、賃貸用のLAN設備については、改正通達が公表されるまでの間、平成13年4月1日以後も、改正前に認められていたLAN設備全体を一の減価償却資産として耐用年数6年を基にリース期間4年とした契約を締結したものがあります。
 これらの契約による資産については、個々の機器ごとに判断すると、リース期間とリース資産の耐用年数との間に法令に規定する相当の差異が生じ(法令136 の31四)、売買取引とされる可能性がありますが、1これらの契約は改正通達の公表前に締結されているもので、その変更は困難であること、2LAN設備を構成する設備の機器を加重平均した年数とリース期間を比較した場合には、課税上の弊害は生じないことから、売買取引には該当しないものと取り扱ってよいでしょうか。

(注) なお、リース会社においては、4年のリース契約により賃貸した資産については従前の取扱いに従い6年で減価償却することとしています。

(回答1)
 売買取引には該当しないものと取り扱って差し支えありません。

(1) 今回の改正により廃止された旧耐用年数通達2−7−6の2(以下「旧通達」といいます。)においては、いわゆるLAN設備の耐用年数の取扱いが明らかにされていました。すなわち、減価償却資産の計算を行う場合の耐用年数は、原則として個々の減価償却資産ごとに判定することとされているため、LAN設備についても、これを構成する個々の減価償却資産ごとに判定するのが原則ですが、LAN設備全体を一つの減価償却資産として償却費の計算を行うことも認められていました。
 また、その場合のLAN設備全体の耐用年数については、6年を適用することとされていましたが、この6年の年数は、LAN設備を構成する標準的な減価償却資産について、それぞれ個々の減価償却資産の取得価額と耐用年数を基礎として償却費のモデル計算を行い、加重平均によってこれを求めたものでした。

(2) ところが、その後LAN設備については次のような事情が生じていることから、今回の改正において旧通達は廃止されています。

1 旧通達の取扱いは、LAN設備全体が同時に一括して取得及び更新が行われるといったことをその前提としており、このためLAN設備全体を一つの減価償却資産として一つの耐用年数を適用するというものでしたが、技術革新等によって、現在は、大半のLAN設備については必ずしも同時に一括して取得及び更新が行われず、

既存の設備の拡張や機能向上に伴う一部設備の更新なども頻繁に行われる状況になったこと。

2 償却計算の簡便化という観点から、機械装置などの総合償却資産と同様に、LAN設備全体を一つの耐用年数で償却したいといった実務上の要望があるものの、LAN設備については、これを構成する個々の減価償却資産の内容も、その利用目的等に応じて多様化していること。

3 平成13年度の税制改正により、電子計算機の耐用年数について、改正前は6年であったものが、パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く。)については4年、その他のものについては5年に短縮されたため、LAN設備全体を一つの耐用年数とすることについては、個々の法人の事情に応じてLAN設備の構成は区々であり、また、その主要な構成要素である電子計算機の耐用年数も2種類となったことから、一律に何年といった耐用年数を加重平均して算定すること自体が困難となったこと。

(3) 以上のような理由により旧通達は廃止されましたが、経過措置において、法人が従前から旧通達に基づきLAN設備全体を一つの減価償却資産として償却計算を行っている場合には、償却計算の継続性などの観点から、従前に取得したLAN設備について今後も引き続き耐用年数6年で償却費を計算することが認められています。
 また、改正後の取扱いは、平成13年4月1日以後に開始する事業年度から適用しますが、上述のような廃止理由であること等を考慮して、その実際の適用時期については、法人の個々の実情に即して若干弾力的に取り扱うこととして差し支えないと考えられます。
 したがって、照会事例のように改正前の通達で認められていた耐用年数6年を基にリース期間4年とするリース契約が行われたとしても、リース契約は通達公表前に行われたものであること、もともとリース取引の「相当の差異」の判定において、一のリース取引で耐用年数の異なる数種の資産を取引の対象としたときは、それぞれの資産の耐用年数で加重平均した年数でリース期間との比較を行うことが認められており(基通12の3ー2−7)、課税上弊害はないことから、当該LAN設備のリース取引は売買取引に該当しないとして取り扱って問題ないものと考えられます。


【照会2】 LAN設備を構成する伝送媒体の耐用年数

 改正前の通達では、サーバー等ハードウエア機器間を接続するツイストペアケーブル、同軸ケーブル及び光ケーブルについては、原則として建物附属設備とされていましたが、これらの伝送媒体であっても、建物内に敷設され建物と一体不可分なものは除き、単に各機器を接続するだけのものについては、その接続する機器の附属品としてその機器の耐用年数を適用してよいでしょうか。

(回答2)

 その接続する機器の附属品としてその機器の耐用年数を適用して差し支えありません。

 耐用年数表にいう建物附属設備とは、その建物の居住性の維持等のために建物本体に施設されるものをいいます。したがって、LAN設備の伝送媒体であっても、建物内に敷設され建物と一体不可分なものを除き、単に各機器を接続するだけのものについては、その接続する機器の附属品としてその機器の耐用年数を適用して差し支えないと考えられます。