課資2-263
課料3-11
査察1-27
平成12年7月3日
改正 平成28年12月12日
令和5年6月23日
各国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿
国税庁長官
標題のことについて、国税通則法(以下「通則法」という。)第68条第1項若しくは第2項又は第4項の規定の適用に関し留意すべき事項等を下記のとおり定めたから、今後処理するものからこれにより取り扱われたい。
(趣旨)
相続税及び贈与税の重加算税の賦課に関する取扱基準の整備等を図ったものである。
記
通則法第68条第1項又は第2項に規定する「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し」とは、例えば、次に掲げるような事実(以下「不正事実」という。)がある場合をいう。
1 相続税関係
(1) 相続人(受遺者を含む。)又は相続人から遺産(債務及び葬式費用を含む。)の調査、申告等を任せられた者(以下「相続人等」という。)が、帳簿、決算書類、契約書、請求書、領収書その他財産に関する書類(以下「帳簿書類」という。)について改ざん、偽造、変造、虚偽の表示、破棄又は隠匿をしていること。
(2) 相続人等が、課税財産を隠匿し、架空の債務をつくり、又は事実をねつ造して課税財産の価額を圧縮していること。
(3) 相続人等が、取引先その他の関係者と通謀してそれらの者の帳簿書類について改ざん、偽造、変造、虚偽の表示、破棄又は隠匿を行わせていること。
(4) 相続人等が、自ら虚偽の答弁を行い又は取引先その他の関係者をして虚偽の答弁を行わせていること及びその他の事実関係を総合的に判断して、相続人等が課税財産の存在を知りながらそれを申告していないことなどが合理的に推認し得ること。
(5) 相続人等が、その取得した課税財産について、例えば、被相続人の名義以外の名義、架空名義、無記名等であったこと若しくは遠隔地にあったこと又は架空の債務がつくられてあったこと等を認識し、その状態を利用して、これを課税財産として申告していないこと又は債務として申告していること。
2 贈与税関係
(1) 受贈者又は受贈者から受贈財産(受贈財産に係る債務を含む。)の調査、申告等を任せられた者(以下「受贈者等」という。)が、帳簿書類について改ざん、偽造、変造、虚偽の表示、破棄又は隠匿をしていること。
(2) 受贈者等が、課税財産を隠匿し、又は事実をねつ造して課税財産の価額を圧縮していること。
(3) 受贈者等が、課税財産の取得について架空の債務をつくり、又は虚偽若しくは架空の契約書を作成していること。
(4) 受贈者等が、贈与者、取引先その他の関係者と通謀してそれらの者の帳簿書類について改ざん、偽造、変造、虚偽の表示、破棄又は隠匿を行わせていること。
(5) 受贈者等が、自ら虚偽の答弁を行い又は贈与者、取引先その他の関係者をして虚偽の答弁を行わせていること及びその他の事実関係を総合的に判断して、受贈者等が課税財産の存在を知りながらそれを申告していないことなどが合理的に推認し得ること。
(6) 受贈者等が、その取得した課税財産について、例えば、贈与者の名義以外の名義、架空名義、無記名等であったこと又は遠隔地にあったこと等の状態を利用して、これを課税財産として申告していないこと。
(通則法第68条第4項の規定の適用に当たっての留意事項)
通則法第68条第4項の規定の適用に当たっては、次の点に留意する。
(1) 通則法第119条第4項の規定により無申告加算税又は重加算税の全額が切り捨てられた場合には、無申告加算税等(通則法第68条第4項第1号の無申告加算税等をいう。)を課されたことがある場合に該当せず、通則法第119条第4項の規定により無申告加算税又は重加算税の全額が切り捨てられた、又は切り捨てられる場合には、特定無申告加算税等(通則法第68条第4項第2号の特定無申告加算税等をいう。以下同じ。)を課されたことがあり、又は特定無申告加算税等に係る賦課決定をすべきと認める場合に該当しない。
(2) 相続税は課税期間のない国税に該当するため、その相続税の納税義務が成立した日の属する年の前年及び前々年のいずれにも別の相続税の納税義務が成立している場合に限り、通則法第68条第4項第2号の規定の適用を判定する。
重加算税の計算の基礎となる税額は、通則法第68条及び国税通則法施行令第28条の規定により、その基因となった更正、決定、修正申告又は期限後申告(以下「更正等」という。)があった後の税額から隠蔽又は仮装されていない事実のみに基づいて計算した税額(A)を控除して計算するのであるが、この場合、次の点に留意する。
(1) 相続税の場合
イ 上記Aを算出する上で基となる相続税の総額の基礎となる各人の課税価格の合計額は、その更正等のあった後の各人の課税価格の合計額からその者の不正事実に基づく部分の価額(以下「重加対象価額」という。)を控除した金額を基に計算する。
ロ 各人の税額計算を行う上で、上記Aの基礎となるその者の課税価格は、その更正等のあった後のその者の課税価格から当該課税価格に係るその者の重加対象価額を控除した金額を基に計算する。
(注) 重加対象価額の基となる財産に対応することが明らかな控除もれの債務(控除不足の債務を含む。)がある場合には、当該財産の価額から当該債務の金額を控除した額が重加対象価額となる。
(2) 贈与税の場合
上記Aの基礎となる課税価格は、その更正等のあった後の課税価格から重加対象価額を控除した金額を基に計算する。