官際1−29
課法2−4
課審5−30
査調4−5

平成21年6月29日

各国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

 標題のことについては、下記のとおり定めたから、今後これにより適切に処理されたい。

(趣旨)
 内国法人が行う、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約(以下「日仏租税条約」という。)第13条第2項(b)に基づくフランス共和国における源泉地免税を受けるための証明書(以下「源泉地免税証明書」という。)に係る交付請求に対する事務手続等を定めるものである。

1 交付請求に対する事務の担当課

(1) 国税局における審査事務の担当課

 源泉地免税証明書の交付請求に対する国税局(沖縄国税事務所を含む。以下同じ。)における審査事務(2の事前審査事務及び3の請求書等審査事務をいう。以下同じ。)の担当課(以下「国税局担当課」という。)は、次の区分に応じそれぞれ次の課とする。

イ 期限前請求の場合 審理課又は審理官(沖縄国税事務所においては、当該内国法人が税務署所管法人である場合には法人課税課とし、調査課所管法人である場合には調査課とする。以下「審理課」という。)

ロ 期限後請求の場合

1 内国法人が税務署所管法人のとき 当該内国法人を所管する国税局の法人課税課

2 内国法人が調査課所管法人のとき 当該内国法人を所管する国税局の調査管理課(関東信越、東京、名古屋及び大阪国税局にあっては調査審理課、沖縄国税事務所にあっては調査課をいう。以下同じ。)

(注) 期限前請求とは2の事前審査の申出日(2の事前審査を経ることなく3の請求書が国税局担当課に提出された場合にはその提出日)が当該内国法人のフランス法人株式の譲渡日を含む事業年度に係る法人税の法定申告期限以前となるものをいい、期限後請求とは期限前請求以外のものをいう。

(2) 国税庁における審査担当課

 源泉地免税証明書の交付請求に対する国税庁における審査事務の担当課(以下「国税庁審査担当課」という。)は、次の区分に応じそれぞれ次の課(室)とする。

イ 期限前請求の場合 審理室

ロ 期限後請求の場合

1 内国法人が税務署所管法人のとき 法人課税課

2 内国法人が調査課所管法人のとき 調査課

(3) 源泉地免税証明書の交付事務の担当課

 源泉地免税証明書の交付事務の担当課は、国税庁国際業務課とする。

2 事前審査事務

(1) 国税局担当課における事前審査

 国税局担当課は、源泉地免税証明書の交付を受けようとする内国法人から事前審査の申出があった場合には、当該内国法人から事実関係の聴取等を行い、当該内国法人のフランス法人株式の譲渡収益について我が国の税法上課税の繰延べが認められるかどうかを審査する。
 この事前審査においては、別紙様式1「日仏租税条約第13条第2項(b)の適用に関する証明書の交付請求書に係る事績整理票(事前審査用)」(以下「事前審査事績整理票」という。)を活用し、以後の審査に係る進行管理を適切に行う。なお、国税局担当課は、事前審査を了した場合には、その結果を国税庁審査担当課に対して事前審査事績整理票の写しを添付して連絡する。

(注) 国税局担当課の事前審査にあっては、局内関係各課(法人課税課、審理課及び調査管理課のうち当該国税局担当課以外の課をいう。以下同じ。)と連絡協調し、必要に応じて国税庁審査担当課と協議する。

(2) 国税庁審査担当課における事前審査

 国税局担当課における事前審査の結果連絡を受けた国税庁審査担当課においては、国税局から送付を受けた事前審査事績整理票等に基づき源泉地免税証明書を発行すべきものであるかどうかの事前審査を行った上で、その結果を国税局担当課に連絡する。

(注) 国税庁審査担当課の事前審査は、庁内関係各課(法人課税課、審理室及び調査課のうち当該国税庁審査担当課以外の課又は室をいう。以下同じ。)と連絡協調して行うものとする。

(3) 事前審査結果の内国法人への連絡

 国税庁審査担当課より(2)の事前審査の結果を受けた国税局担当課は、当該内国法人に対して次の事前審査の結果の区分に応じそれぞれ次の内容を連絡・聴取するとともに、その内容等を事前審査事績整理票に記録する。

イ 源泉地免税証明書の発行が「可」であるとき

[連絡内容]1 源泉地免税証明書の発行が可能であること。

2 請求に当たっては別紙様式2「日仏租税条約第13条第2項(b)の適用に関する証明書の交付請求書」(以下「請求書」という。)を使用すること。

3 請求書及びその請求内容を確認するために必要と認められる書類(以下「添付書類」といい、請求書と合わせ以下「請求書等」という。)は、いずれも2部を国税局担当課に提出すること。

4 請求書等の内容と事前審査の際に聴取した事実関係が異なっている場合には源泉地免税証明書が発行されない場合があること。

[聴取内容]請求書等の提出予定日

ロ 源泉地免税証明書の発行が「不可」であるとき

[連絡内容]源泉地免税証明書の発行ができないこと。

(4) 関係各課等への連絡

 国税局担当課は、事前審査結果の内国法人への連絡後、局内関係各課及び当該内国法人を所管する税務署(当該内国法人が調査課所管法人である場合には国税局調査部をいい、以下「所管部署」という。)の担当部門に対して、事前審査の結果を連絡する。

3 請求書等審査事務

(1) 国税局担当課における請求書等審査

 内国法人から請求書等の提出を受けた国税局担当課は、当該内国法人から事実関係の聴取等を行い、当該内国法人のフランス法人株式の譲渡収益に対して我が国の税法上課税の繰延べが認められるかどうかを審査する。
 ただし、当該内国法人が事前審査の結果、源泉地免税証明書の発行が「可」であるとした法人である場合には、請求書等に記載された事実関係と事前審査の際に聴取していた事実関係に相違がないかを確認し、相違がない場合には事前審査の申出に対する審査結果を請求書等に対する審査結果とすることができる。
 この請求書等に対する審査においては、別紙様式3「日仏租税条約第13条第2項(b)の適用に関する証明書の交付請求書に係る事績整理票(請求書審査用)」(以下「請求書審査事績整理票」という。)を活用し、以後の審査に係る進行管理を適切に行う。

(注) 国税局担当課が行う請求書等の審査に当たっては、局内関係各課と連絡協調し、必要に応じて国税庁審査担当課と協議する。

(2) 国税庁審査担当課への進達

 国税局担当課は、請求書等に対する審査を了した場合には、請求書等(1部)に請求書審査事績整理票及び事前審査事績整理票(事前審査を行った場合)の写しを添付し、速やかに国税庁長官(国税庁審査担当課)に進達する。

(3) 国税庁審査担当課における最終審査

 国税局担当課からの進達を受けた国税庁審査担当課においては、国税局担当課から送付を受けた請求書審査事績整理票等に基づき源泉地免税証明書を発行すべきものであるかどうかの請求書等に対する最終審査を行う。

(注) 国税庁審査担当課の最終審査は、庁内関係各課と連絡協調して行うものとする。

(4) 国税庁国際業務課への進達の引継ぎ

 国税庁審査担当課において請求書等に対する最終審査を了した場合には、国税庁審査担当課はその最終審査結果に基づく源泉地免税証明書の発行に係る意見を付して、国税局担当課から受けた進達を国税庁国際業務課に引き継ぐ。

4 源泉地免税証明書の発行事務等

(1) 源泉地免税証明書の発行等

 国税庁国際業務課は、国税庁審査担当課から引継ぎを受けた請求書等に対して源泉地免税証明書を発行することが相当と認められる場合には、源泉地免税証明書(別紙様式4)を作成し、以下の項目を記載した英文(別紙様式5)、請求書等に記載された譲渡株式の評価額を記載した英文(別紙様式6)及び日仏租税条約第13条第2項の仏文(別紙様式7)(以下、別紙5〜7を「添付書類」という。)を添付して、内国法人に交付する。

〔記載項目〕

1 請求の対象となった取引が我が国の税法上課税の繰延べが内国法人に認められる取引に該当する旨

2 株式譲渡法人の名称及び本店又は主たる事務所の所在地

3 株式譲渡の対象となった法人の名称及び本店又は主たる事務所の所在地

4 株式譲受法人の名称及び本店又は主たる事務所の所在地

5 組織再編取引の概要

 なお、証明書の交付に当たっては、添付書類はフランス共和国において同項(b)の規定の適用を受ける場合に提出する書類であることを内国法人に説明する。

(2) 源泉地免税証明書を交付できない旨の通知

 国税庁国際業務課は、国税庁審査担当課から引継ぎを受けた請求書等に対して源泉地免税証明書を発行することが相当でないと認められる場合には、以下の項目を記載した別紙様式8「日仏租税条約第13条第2項(b)の適用に関する証明書を交付できない旨についてのお知らせ」(以下「お知らせ」という。)を作成し、内国法人に交付する。

〔記載項目〕

1 請求の対象となった取引が我が国の税法上課税の繰延べが内国法人に認められない取引に該当する旨

2 上記(1)の25に掲げる項目

(3) 源泉地免税証明書等の写しの国税庁審査担当課への回付

 内国法人に源泉地免税証明書及び添付書類又はお知らせを交付した国税庁国際業務課は、その交付した書類の写しを国税庁審査担当課に回付する。なお、添付書類については、日本語訳を添付することとする。

(4) 源泉地免税証明書等の写しの庁内関係各課等への回付

 源泉地免税証明書及び添付書類又はお知らせの写しの交付を受けた国税庁審査担当課は、これを庁内関係各課及び国税局担当課に回付する。国税庁審査担当課から回付を受けた国税局担当課は局内関係各課及び所管部署の担当部門にその写しを回付する。

5 その他

 所管部署の担当部門は、源泉地免税証明書の発行後、その発行に係る請求書等に記載された事実関係と異なる事実関係を把握した場合において、その新たに把握した事実関係が既に発行した源泉地免税証明書に係る請求書等審査の結果に影響があると認められるときには、速やかに国税局担当課を通じて国税庁審査担当課にその内容を連絡する。

【参考】

日仏租税条約第13条第2項(b)により源泉地免税となる株式譲渡収益等

1 課税される株式譲渡収益
 日仏租税条約において、内国法人が有するフランス法人の株式の譲渡に係る収益に対しては、次のことを条件として、フランス共和国において課税することとされている(日仏租税条約132(a))。
  • 1 当該内国法人が保有し又は所有する株式(当該内国法人の特殊関係者が保有し又は所有する株式で当該内国法人が保有し所有するものと合算されるものを含む。)の数が、当該課税年度のいかなる時点においても当該フランス法人の発行済株式の少なくとも25%であること。
  • 2 当該内国法人及びその特殊関係者が当該課税年度中に譲渡した株式の総数が、当該フランス法人の発行済株式の少なくとも5%であること。
2 源泉地免税となる株式譲渡収益
 企業の組織再編に関連して、1の課税される株式譲渡収益が内国法人に生じた場合において、我が国の権限のある当局が、当該株式譲渡収益については我が国の税法上課税の繰延べが当該内国法人に認められることを証明する証明書を発行するときは、フランス共和国において当該株式譲渡収益は課税されない。 ただし、この2による免税措置を受けることを主たる目的として行われた取引には、適用されない(日仏租税条約132(b))。

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