42 納税の猶予

(1) 所轄税務署長(納税の猶予を受けようとする個人又は法人に係る国税について国税通則法第43条第3項《国税の徴収の所轄庁》の規定に基づき国税局長に徴収の引継ぎがされている場合は、所轄国税局長をいう。以下42において同じ。)は、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額を限度として、相互協議の申立てを行った個人又は法人の申請に基づき、その納税を猶予することができる。

  • イ 個人が3(1)に定める相互協議の申立てを行った場合又は相手国等の権限ある当局に対し相互協議の申立てを行った場合 これらの申立てに係る租税特別措置法第40条の3の3第22項第1号《非居住者の内部取引に係る課税の特例》(同法第41条の19の5第13項において準用する場合を含む。以下同じ。)に掲げる更正決定により納付すべき所得税の額及び当該所得税の額に係る国税通則法第69条《加算税の税目》に規定する加算税の額として租税特別措置法施行令第25条の18の4第1項《内部取引に係る課税の特例に係る納税の猶予の申請手続等》(同令第26条の28の7第5項《国外所得金額の計算の特例》において準用する場合を含む。)で定めるところにより計算した金額
  • ロ 法人が3(1)に定める相互協議の申立てを行った場合又は相手国等の権限ある当局に対し相互協議の申立てを行った場合 これらの申立てに係る租税特別措置法第66条の4第27項第1号(同法第66条の4の3第14項及び第67条の18第13項において準用する場合を含む。以下同じ。)に掲げる更正決定により納付すべき法人税の額及び同法第66条の4第27項第3号(同法第66条の4の3第14項及び第67条の18第13項において準用する場合を含む。以下同じ。)に掲げる更正決定により納付すべき地方法人税の額並びに当該法人税の額及び地方法人税の額に係る国税通則法第69条に規定する加算税の額として租税特別措置法施行令第39条の12の2第1項《国外関連者との取引に係る課税の特例に係る納税の猶予の申請手続等》(同令第39条の12の3第6項《外国法人の内部取引に係る課税の特例》及び第39条の33の5第4項《国外所得金額の計算の特例》において準用する場合を含む。)で定めるところにより計算した金額

(注) 42の取扱いは、復興財源確保法第33条第1項《復興特別所得税に係る所得税法の適用の特例等》により、租税特別措置法第40条の3の4第1項の規定が読み替えられる場合、又は復興財源確保法第63条第12項《復興特別法人税に係る法人税法の適用の特例等》により、租税特別措置法第66条の4の2の規定が、復興財源確保法第63条第8項第1号に掲げる更正決定により納付すべき復興特別法人税の額及び当該復興特別法人税の額に係る加算税の額について準用される場合においても適用する。

(2) 納税の猶予の要件

租税特別措置法に基づき、納税の猶予を認めることができるのは、次に掲げる要件の全てに該当する場合である。

  • イ 納税の猶予を受けようとする個人又は法人が租税特別措置法第40条の3の3第22項第1号又は第66条の4第27項第1号及び第3号に掲げる更正決定を受けていること。
  • ロ 納税の猶予を受けようとする個人又は法人が相互協議の申立てをしていること。
  • ハ イにより納付すべき更正決定に係る所得税の額又は法人税の額及び地方法人税の額のうち納税の猶予を受けようとする金額(以下「納税の猶予に係る所得税等」という。)がロによる相互協議の申立てに係る相手国等との間の相互協議の対象となるものであること。
  • ニ 納税の猶予に係る所得税等以外の国税の滞納がないこと。
  • ホ 原則として、納税の猶予に係る金額に相当する担保の提供があること。

(3) 申請手続

  • イ 申請者(納税の猶予の申請を行う個人又は法人をいう。以下42において同じ。)は、所轄税務署長に、納税の猶予に係る所得税等その他所要の事項を記載した「納税の猶予申請書」(別紙様式5-1)2部(正本及びその写し)、(4)に掲げる添付書類2部を提出するとともに、併せて(5)及び(6)に定めるところにより担保を提供しなければならない。
  • (注) 納税の猶予の申請は、納税の猶予に係る所得税等について租税特別措置法第40条の3の3第22項第1号又は第66条の4第27項第1号及び第3号に掲げる更正決定がされた後でなければできないことに留意する。
  • ロ 提出を受けた納税の猶予申請書の正本((4)に掲げる添付書類1部を含む。)及び担保の提供に関する書類は徴収担当部門に、当該申請書の写し((4)に掲げる添付書類1部を含む。)は個人担当部門又は法人担当部門に回付する。ただし、既に国税局長に徴収の引継ぎがされている場合であって、納税の猶予申請書が国税局長に提出されたときは、納税の猶予申請書の正本((4)に掲げる添付書類1部を含む。)及び担保の提供に係る書類は局特別整理部門に回付する。

(4) 添付書類

納税の猶予申請書には、次の書類各2部を添付する。

  • イ 3(1)に定める相互協議の申立て又は相手国等の権限ある当局に対する相互協議の申立てを行ったことを証する書類(相手国等の権限ある当局に対する相互協議を申し立てている場合には、当該申立ての翻訳資料を添付する。)
  • ロ 次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定めることを明らかにする書類
  • 1 申請者が個人である場合 納税の猶予に係る所得税等が、租税特別措置法第40条の3の3第22項第1号に掲げる更正決定により納付すべき所得税の額であること及び相互協議の申立てに係る相手国等との間の相互協議の対象となるものであること
  • 2 申請者が法人である場合 納税の猶予に係る所得税等が、租税特別措置法第66条の4第27項第1号に掲げる更正決定により納付すべき法人税の額及び同項第3号に掲げる更正決定により納付すべき地方法人税の額であること並びに相互協議の申立てに係る相手国等との間の相互協議の対象となるものであること

(5) 担保の提供

申請者は、次に掲げる場合を除き、納税の猶予申請書の提出に併せて、納税の猶予に係る金額に相当する担保を提供しなければならない。ただし、納税の猶予に係る所得税等につき滞納処分により差し押さえられた財産があるときは、その担保の額は、その猶予する金額からその財産の価額(当該財産のうち国税への充当見込額に限る。)を控除した額を限度とする。

  • イ 納税の猶予に係る所得税等が100万円以下である場合
  • ロ 猶予期間が3月以内の場合
  • ハ 担保を提供することができない特別の事情がある場合
  • (注) 猶予する金額から控除する財産の価額には、徴収の共助又は保全の共助によって差押えに相当する処分をした財産及び担保の提供を受けた財産の価額を含むことに留意する(国税通則法第46条第6項《納税の猶予の要件等》)。

(6) 担保の種類及び提供手続

  • イ 担保の種類
  • 納税の猶予の担保は、国税通則法第50条各号《担保の種類》に規定する次に掲げるものとする(具体的には、納税の猶予等の取扱要領第4章第2節参照)。
  • 1 国債及び地方債
  • 2 社債(特別の法律により設立された法人が発行する債券を含む。)その他の有価証券で所轄税務署長が確実と認めるもの
  • 3 土地
  • 4 建物、立木及び登記される船舶並びに登録を受けた飛行機、回転翼航空機及び自動車並びに登記を受けた建設機械で、保険に付したもの
  • 5 鉄道財団、工場財団、鉱業財団、軌道財団、運河財団、漁業財団、港湾運送事業財団、道路交通事業財団及び観光施設財団
  • 6 所轄税務署長が確実と認める保証人の保証
  • 7 金銭
  • ロ 担保の提供手続
  • 申請者は、担保の提供に当たっては、担保提供書(別紙様式5-2)のほか、納税の猶予等の取扱要領第4章第2節に掲げる書類を併せて提出する。
     なお、徴収担当部門又は局特別整理部門は、担保及び関係書類を受領した場合には、納税の猶予等の取扱要領に定める担保整理一覧表に担保の明細等を記載し、その事績を明らかにしておくものとする。

(7) 国税局長への徴収の引継ぎ等

  • イ 徴収担当部門は、(3)ロの納税の猶予申請書の回付を受けた場合には、当該申請をした者に係る国税について、国税通則法第43条第3項の規定に基づく徴収の引継ぎその他の納税の猶予に係る事務処理を行うよう管理運営担当部門に速やかに依頼する。この場合において、管理運営担当部門は、速やかに徴収の引継ぎその他の納税の猶予に係る事務処理を行う。
  • ロ 管理運営担当部門は、イにより依頼を受けた徴収の引継ぎに係る納税の猶予申請書の正本((4)に掲げる添付書類1部を含む。)及び担保の提供に係る書類(その関係書類を含む。)を局特別整理部門に送付する。

(8) 納税の猶予関係書類の庁相互協議室への送付

  • イ 個人担当部門又は法人担当部門は、(3)ロにより回付を受けた納税の猶予申請書の写し((4)に掲げる添付書類1部を含む。)を庁相互協議室に送付する。
  • ロ 納税の猶予申請書が国税局長に提出された場合には、局特別整理部門は、納税の猶予申請書の正本((4)に掲げる添付書類1部を含む。)及び担保に関する書類を保管するとともに、当該申請書の写し((4)に掲げる添付書類1部を含む。)を庁徴収課を通じて庁相互協議室に送付する。

(9) 納税の猶予の対象となる額の連絡

  • イ 個人担当部門、法人担当部門又は局調査課(国税局調査査察部調査管理課(東京国税局及び大阪国税局にあっては調査第一部調査管理課、名古屋国税局にあっては調査部調査管理課)及び沖縄国税事務所調査課をいう。以下同じ。)は、調査(国税通則法第7章の2《国税の調査》関係通達1-1に定める調査をいう。)に当たって個人又は法人が納税の猶予の申請の意思を有していることを把握した場合には、当該納税の猶予の対象となる額を、局特別整理部門及び庁主管課(個人担当部門においては、局個人課税課(国税局課税第一部個人課税課(金沢国税局、高松国税局及び熊本国税局にあっては課税部個人課税課)及び沖縄国税事務所個人課税課をいう。以下同じ。)経由、法人担当部門においては、局法人課税課(国税局課税第二部法人課税課(金沢国税局、高松国税局及び熊本国税局にあっては課税部法人課税課)及び沖縄国税事務所法人課税課をいう。以下同じ。)経由)に通知する。
  • ロ 庁主管課(国税庁課税部個人課税課、法人課税課又は国税庁調査査察部調査課に限る。以下同じ。)は、局関係課(局調査課、局個人課税課又は局法人課税課に限る。以下同じ。)からイの通知を受けた場合には、当該通知に係る納税の猶予の対象となる額を庁相互協議室に通知する。
  • ハ 庁相互協議室は、(8)イ又はロにより納税の猶予申請書の写しの送付を受けた場合において、必要と認められるときは、庁主管課に対して納税の猶予の対象となる額について確認を求める。
  • ニ 庁主管課は、庁相互協議室からハによる確認を求められた場合は、局調査課、個人担当部門(局個人課税課経由)又は法人担当部門(局法人課税課経由)に対して、納税の猶予の対象となる額を庁主管課(個人担当部門においては局個人課税課経由、法人担当部門においては局法人課税課経由)及び局特別整理部門に通知するよう指示を行うとともに、当該通知に係る納税の猶予の対象となる額を庁相互協議室に通知する。

(10) 相互協議の申立ての確認等

庁相互協議室は、申請者が相互協議の申立てを行っているかどうかを確認する。当該申請者が租税条約の規定に基づき相手国等の権限ある当局に対して当該相互協議の申立てを行っているとする場合は、当該相手国等の権限ある当局に対し、納税の猶予に係る所得税等についての相互協議の申立ての有無につき照会するとともに、その後の状況についても適時に確認する。

(注) 納税の猶予に係る所得税等について相手国等で相互協議の申立てが行われたか否かは、原則として相手国等からの相互協議の申入れにより確認する。

(11) 納税の猶予要件の審査

  • イ (9)の連絡を受けた局特別整理部門は、申請者から提出された納税の猶予申請書の正本((4)に掲げる添付書類1部を含む。)及び担保に関する書類等により、当該猶予申請について、(2)に掲げる要件の全てに該当するか否かを審査する。
     なお、担保の評価については、納税の猶予等の取扱要領第4章第2節による。
  • ロ 庁相互協議室は、(8)イ又はロにより納税の猶予申請書の写しの送付を受けた場合には、当該申請について、(2)イからハまでに掲げる要件に該当しているか否かを確認の上、庁徴収課を通じて局特別整理部門に連絡する。

(12) 納税の猶予の許可

  • イ 局特別整理部門は、(11)の審査により、(2)に掲げる要件の全てを充足していることを確認した場合は、納税の猶予に係る所得税等について納税を猶予する。この場合において、局特別整理部門は、納税の猶予をした旨、猶予に係る金額その他必要な事項を申請者に通知する(別紙様式5-3)。また、保証人及び物上保証人がある場合には、これらの者に対して、猶予をした旨を通知する(別紙様式5-4)。
     なお、納税の猶予申請書に記載した所得税の額又は法人税の額及び地方法人税の額並びにそれらの加算税の額が(9)に定める局関係課から連絡を受けた納税の猶予の対象となる額を超える場合は、当該納税の猶予の対象となる額を限度として納税を猶予する。
  • ロ イに該当する場合には、局特別整理部門は、局関係課及び庁相互協議室(庁徴収課経由)にその旨を通知する。
  • ハ ロの通知を受けた局関係課は、その旨を庁主管課に通知する(局個人課税課は個人担当部門に、局法人課税課は法人担当部門に併せて通知する。)。

(13) 納税の猶予期間

納税の猶予の期間は、租税特別措置法第40条の3の3第22項第1号に掲げる更正決定に係る所得税又は同法第66条の4第27項第1号に掲げる更正決定に係る法人税及び同項第3号に掲げる更正決定に係る地方法人税の納期限(納税の猶予の申請が当該納期限後である場合は、当該申請の日)から、相互協議の相手国等の権限ある当局との間の合意に基づく更正があった日(次に掲げる場合にあっては、国税庁長官がその場合に該当する旨を通知した日)の翌日から1月を経過する日までの期間(以下「納税の猶予期間」という。)である。

  • イ 相互協議を継続した場合であっても合意に至らないと国税庁長官が認める場合において、国税庁長官が当該相互協議に係る相手国等の権限ある当局に当該相互協議の終了の申入れをし、当該権限ある当局の同意を得たとき。
  • ロ 相互協議を継続した場合であっても合意に至らないと当該相互協議に係る相手国等の権限ある当局が認める場合において、国税庁長官が当該権限ある当局から当該相互協議の終了の申入れを受け、国税庁長官が同意したとき。
  • ハ 租税特別措置法第40条の3の3第22項第1号に掲げる更正決定に係る所得税の額又は同法第66条の4第27項第1号に掲げる更正決定に係る法人税の額及び同項第3号に掲げる更正決定に係る地方法人税の額に関し、合意が行われた場合において、当該合意の内容が当該所得税の額又は法人税の額及び地方法人税の額を変更するものでないとき。

(14) 納税の猶予の不許可

  • イ 局特別整理部門は、納税の猶予の申請があった場合において、(2)に掲げる要件を充足していないときは、納税の猶予に係る所得税等について納税を猶予しないこととする。この場合においては、局特別整理部門は、納税の猶予をしない旨を申請者に通知する(別紙様式5-5)。また、保証人及び物上保証人がある場合には、これらの者に対して、猶予をしない旨を通知する(別紙様式5-6)。
  • ロ イに該当する場合には、局特別整理部門は、局関係課及び庁相互協議室(庁徴収課経由)にその旨を通知する。
  • ハ ロの通知を受けた局関係課は、その旨を庁主管課に通知する(局個人課税課は個人担当部門に、局法人課税課は法人担当部門に併せて通知する。)。

(15) 納税の猶予の取消し

  • イ 局特別整理部門は、納税の猶予を受けている者が次のいずれかに該当する場合には、その猶予を取り消すことができる。
  • 1 相互協議の申立てを取り下げたとき。
  • 2 相互協議に必要な書類の提出につき協力しないとき。
  • 3 国税通則法第38条第1項各号《繰上請求》のいずれかに該当する事実がある場合において、その者がその猶予に係る所得税又は法人税及び地方法人税を猶予期間内に完納することができないと認められるとき。
  • 4 猶予に係る所得税又は法人税及び地方法人税につき提供された担保について国税局長が国税通則法第51条第1項《担保の変更等》の規定によってした命令に応じないとき。
  • 5 新たに猶予に係る所得税又は法人税及び地方法人税以外の国税を滞納したとき(国税局長がやむを得ない理由があると認めるときを除く。)。
  • 6 猶予を受けている者の財産の状況その他の事情の変化により、その猶予を継続することが適当でないと認められるとき。
  • (注) 庁相互協議室、局調査課又は個人担当部門若しくは法人担当部門は、納税の猶予を受けている個人又は法人について財産の状況その他の事情の変化があったことを把握した場合には、遅滞なく局特別整理部門(庁相互協議室においては庁徴収課経由、個人担当部門においては局個人課税課経由、法人担当部門においては局法人課税課経由)にその旨を連絡する。
  • ロ 局特別整理部門は、イの取扱いにより納税の猶予を取り消す場合には、イ1及び3に該当するときを除き、あらかじめ、その猶予を受けている者の弁明を聞かなければならない。ただし、その者が正当な理由なくその弁明をしないときは、弁明を聴取することなく猶予を取り消すことができる。
  • ハ 局特別整理部門は、イの取扱いにより納税の猶予を取り消したときは、その旨を納税の猶予を受けている者に通知する (別紙様式5-7) 。また、保証人及び物上保証人がある場合には、これらの者に対して、猶予の取消しをした旨を通知する(別紙様式5-8)。この場合において、局特別整理部門は、局関係課及び庁相互協議室(庁徴収課経由)にその旨を通知する。
  • ニ ハの通知を受けた局関係課は、その旨を庁主管課に通知する(局個人課税課は個人担当部門に、局法人課税課は法人担当部門に併せて通知する。)。

(16) 相互協議の合意等に伴う処理

  • イ 庁相互協議室は、納税の猶予の対象となっている所得税又は法人税及び地方法人税に係る相互協議が複数あり、その一部の相互協議が次に掲げる事実に該当することとなった場合には、庁主管課に対して他の継続する相互協議に係る納税の猶予額について確認を求める。
  • 1 16の相互協議の合意
  • 2 17の相互協議手続の終了
  • 3 18の相互協議の申立ての取下げ
  • 4 27の相互協議の合意
  • 5 28の相互協議手続の終了
  • ロ 庁主管課は、庁相互協議室からイによる確認を求められた場合は、局調査課又は個人担当部門(局個人課税課経由)若しくは法人担当部門(局法人課税課経由)に対して、継続する相互協議に係る納税の猶予額を庁主管課(個人担当部門においては局個人課税課経由、法人担当部門においては局法人課税課経由)及び局特別整理部門に通知するよう指示を行うとともに、当該通知に係る納税の猶予額を庁相互協議室に通知する。
  • ハ ロの通知を受けた局特別整理部門は、一部の相互協議の合意等による担保の一部解除等の必要な処理を行うとともに、他の継続する相互協議に係る納税の猶予の対象となる額を納税の猶予を受けている者に通知する(別紙様式5-9)。また、保証人及び物上保証人がある場合には、これらの者に対して、猶予金額が変更になった旨を通知する(別紙様式5-10)。この場合において、局特別整理部門は、局関係課及び庁相互協議室(庁徴収課経由)にその旨を通知する。
  • ニ ハの通知を受けた局関係課は、その旨を庁主管課に通知する(局個人課税課は個人担当部門に、局法人課税課は法人担当部門に併せて通知する。)。

(17) 延滞税の免除

納税の猶予をした場合には、その猶予をした所得税又は法人税及び地方法人税に係る延滞税のうち納税の猶予期間(納税の猶予の申請が当該所得税又は法人税及び地方法人税の納期限以前である場合には、当該申請の日を起算日として当該納期限までの期間を含む。)に対応する部分の金額は、免除する。ただし、(15)イに掲げる納税の猶予の取消しの基因となるべき事実が生じた場合には、その生じた日後の期間に対応する部分の金額については、免除しないことができる。

(18) その他納税の猶予に係る留意事項

  • イ 納税の猶予の処理に当たっては、上記の取扱いによるほか、その他の事項については納税の猶予等の取扱要領に定めるところにより適切に処理する。
  • ロ 納税の猶予期間中、納税証明書その3(未納税額のない証明)を発行することはできないことに留意する。
  • ハ 納税の猶予を受けた納税者について、還付金が発生した場合には、納税の猶予期間中は当該猶予に係る所得税の額又は法人税の額及び地方法人税の額に充当することはできず、納税者に還付しなければならないことに留意する(国税通則法施行令第23条第1項ただし書《還付金等の充当適状》、租税特別措置法施行令第39条の12の2第4項)。

43 徴収猶予(地方税)に係る都道府県等への通知

(1) 我が国において移転価格課税、内部取引に係る課税の特例に基づく課税(租税特別措置法第40条の3の3第1項又は第66条の4の3第1項の規定に基づく課税をいう。以下同じ。)又は国外所得金額の計算の特例に基づく課税(租税特別措置法第41条の19の5第1項又は第67条の18第1項の規定に基づく課税をいう。以下同じ。)を受けたことを理由として、個人又は法人が、3(1)に定める相互協議の申立てをした場合又は相手国等の権限ある当局に対し相互協議の申立てをし、かつ、当該相手国等の権限ある当局から21(1)に定める相互協議の申入れがあった場合の処理は、次による。

  • イ 個人担当部門、法人担当部門又は局調査課は、6(1)により行われた相互協議の申立て(21(1)に定める相互協議の申入れがあった場合を含む。以下同じ。) について、庁主管課(個人担当部門にあっては局個人課税課、法人担当部門にあっては局法人課税課経由。以下イにおいて同じ。)から指示(個人担当部門及び法人担当部門にあっては7(3)又は21(3)による指示をいい、局調査課にあっては7(2)又は21(2)による指示をいう。)を受けた場合には、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める金額を庁主管課に連絡する。
  • 1 当該指示に係る申立者又は相手国等の権限ある当局に対し相互協議の申立てを行った者が個人である場合 当該指示に係る相互協議の申立ての基因となった租税特別措置法第40条の3の3第22項第1号に掲げる更正決定に係る所得税の額及び当該所得税の額の課税標準とされた所得金額
  • 2 当該指示に係る申立者又は相手国等の権限ある当局に対し相互協議の申立てを行った者が法人である場合 当該指示に係る相互協議の申立ての基因となった租税特別措置法第66条の4第27項第1号に掲げる更正決定に係る法人税の額及び同項第3号に掲げる更正決定に係る地方法人税の額並びに当該法人税の額の課税標準とされた所得金額
  • ロ 庁主管課は、局関係課からイの連絡を受けた場合には、当該連絡に係るイ1又は2に定める事項(以下「相互協議の申立てに係る更正決定額」という。)を庁相互協議室に通知する。
  • (注) 我が国における移転価格課税、内部取引に係る課税の特例に基づく課税又は国外所得金額の計算の特例に基づく課税に係る事業年度又は年分が複数ある場合には、各事業年度又は各年分に分けて相互協議の申立てに係る更正決定額を通知することに留意する。
  • ハ 庁相互協議室は、庁主管課からロの通知を受けた場合には、当該通知に係る個人又は法人の住所所在地の市区町村税務課又は事務所若しくは事業所(二以上の都道府県において事務所又は事業所を有する個人又は法人にあっては、その主たる事務所又は事業所。以下同じ。)の所在地の都道府県税務課に、次の事項を通知する。
  • 1 相互協議の申立てがあった旨
  • 2 移転価格課税、内部取引に係る課税の特例に基づく課税又は国外所得金額の計算の特例に基づく課税が行われた各事業年度又は各年分の相互協議の申立てに係る更正決定額
  • 3 相互協議の申立てを行った個人又は法人の氏名又は名称及び代表者、住所又は事務所若しくは事業所の所在地並びに個人番号又は法人番号
  • 4 相互協議の申立てが行われた日(21(1)の相互協議の申入れがあった場合には、申入れが行われた日)
  • 5 相互協議の申立てに係る更正決定額の年分又は事業年度
  • 6 相互協議の相手国等
  • 7 その他参考となるべき事項
  • (注) 我が国において当該課税を受ける前に、個人又は法人が相互協議の申立てを行った場合等においては、当該課税の後、イからハまでの処理を行うことに留意する。

(2) (1)の処理に係る相互協議において合意に至った場合(当該相互協議の合意内容が相互協議の申立てに係る更正決定額を変更するものでない場合を除く。)の処理は、次による。

  • イ 個人担当部門、法人担当部門又は局調査課は、(1)の処理に係る相互協議について、庁主管課(個人担当部門にあっては局個人課税課、法人担当部門にあっては局法人課税課経由。以下イにおいて同じ。)から16(3)又は27(2)の指示を受けた場合には、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める金額を庁主管課に連絡する。
  • 1 当該指示に係る申立者又は相手国等の権限ある当局に対し相互協議の申立てを行った者が個人である場合 当該指示に係る相互協議の合意に基づく国税通則法第26条《再更正》の規定による更正に係る所得税額及び当該所得税額の課税標準とされた所得金額
  • 2 当該指示に係る申立者又は相手国等の権限ある当局に対し相互協議の申立てを行った者が法人である場合 当該指示に係る相互協議の合意に基づく国税通則法第26条の規定による更正に係る法人税の額及び同条の規定による更正に係る地方法人税の額並びに当該法人税の額の課税標準とされた所得金額
  • ロ 庁主管課は、局関係課からイの連絡を受けた場合には、当該連絡に係るイ@又はAに定める事項(以下「相互協議の合意に基づく更正額」という。)を庁相互協議室に通知する。
  • ハ 庁相互協議室は、庁主管課からロの通知を受けた場合には、当該通知に係る個人又は法人の住所所在地の市区町村税務課又は事務所若しくは事業所の所在地の都道府県税務課に次の事項を通知する。
  • 1 相互協議の合意に至った旨
  • 2 各年分又は各事業年度の相互協議の合意に基づく更正額
  • 3 相互協議の申立てを行った個人又は法人の氏名又は名称及び代表者、住所又は事務所若しくは事業所の所在地並びに個人番号又は法人番号
  • 4 相互協議の合意日
  • 5 相互協議の合意に基づく更正決定額の年分又は事業年度
  • 6 相互協議の相手国等
  • 7 その他参考となるべき事項

(3) (1)の処理に係る相互協議が複数あり、その一部の相互協議につき、合意に至った場合(当該相互協議の合意内容が相互協議の申立てに係る更正決定額を変更するものでない場合を除く。)には、(2)イからハまでに加えて、次の処理も行うことに留意する。

  • イ 個人担当部門、法人担当部門又は局調査課は、(1)の処理に係る相互協議が複数あり、その一部の相互協議につき、庁主管課(個人担当部門にあっては局個人課税課経由、法人担当部門にあっては局法人課税課経由。以下イにおいて同じ。)から16(3)又は27(2)の指示を受けた場合には、(2)イの連絡と同時に、他の継続する相互協議に係る更正決定額((1)の処理に係る相互協議において、合意に至った相互協議が申し立てられなかったものとして計算した相互協議の申立てに係る更正決定額をいう。以下この(3)において同じ。)を、庁主管課に連絡する。
  • ロ 庁主管課は、局関係課からイの連絡を受けた場合には、(2)ロの通知と同時に、他の継続する相互協議に係る更正決定額を庁相互協議室に通知する。
  • ハ 庁相互協議室は、庁主管課からロの通知を受けた場合には、市区町村税務課又は都道府県税務課に(2)ハ1から8までの事項に加え、他の継続する相互協議に係る更正決定額及び相手国等を通知する。

(4) (1)の処理に係る相互協議の合意内容が相互協議の申立てに係る更正決定額を変更するものでない場合又は(1)の処理に係る相互協議の相互協議手続を終了した場合には、庁相互協議室は、当該相互協議に係る個人又は法人の住所所在地の市区町村税務課又は事務所若しくは事業所の所在地の都道府県税務課に次の事項を通知する。

  • イ 相互協議の合意内容が相互協議の申立てに係る更正決定額を変更するものでない旨又は相互協議手続を終了した旨
  • ロ 相互協議の申立てを行った個人又は法人の氏名又は名称及び代表者、住所又は事務所若しくは事業所の所在地並びに個人番号又は法人番号
  • ハ 相互協議の合意日又は相互協議手続を終了した日
  • ニ 相互協議の相手国等
  • ホ その他参考となるべき事項

(5) (1)の処理に係る相互協議が複数あり、その一部の相互協議につき、(4)イに掲げる事実に該当することとなった場合には、上記に加えて、次の処理も行うことに留意する。

  • イ 庁相互協議室は、庁主管課に対して、他の継続する相互協議に係る更正決定額((1)の処理に係る相互協議において、(4)イに掲げる事実に該当することとなった相互協議が申し立てられなかったものとして計算した相互協議の申立てに係る更正決定額をいう。以下同じ。)について確認を求める。
  • ロ 庁主管課は、庁相互協議室からイによる確認を求められた場合は、局調査課又は個人担当部門(局個人課税課経由)若しくは法人担当部門(局法人課税課経由)に対して、他の継続する相互協議に係る更正決定額を庁主管課(個人担当部門においては局個人課税課経由、法人担当部門においては局法人課税課経由)に通知するよう指示を行うとともに、当該通知に係る他の継続する相互協議に係る更正決定額を庁相互協議室に通知する。
  • ハ 庁相互協議室は、庁主管課からロの通知を受けた場合には、市区町村税務課又は都道府県税務課に(4)イからホまでの事項に加え、他の継続する相互協議に係る更正決定額及び相手国等を通知する。