(別紙)

平成23年12月22日

国税庁課税部審理室長
   住倉 毅宏 殿

社団法人日本損害保険協会
税制委員長 岩井 幸司

平成22年度税制改正において、生命保険料控除制度が改正され(以下、改正後の制度を「新生命保険料控除制度」という。)、介護医療保険料控除(適用限度額4万円)が創設されるとともに、新契約に係る一般生命保険料控除と個人年金保険料控除の適用限度額をそれぞれ4万円(改正前:5万円)とし、各保険料控除の合計適用限度額が12万円(改正前:10万円)に引き上げられました。
 この新生命保険料控除制度については、平成24年分以後の所得税について適用することとされていますが(平22改正法附則4)、その取扱いに関して、下記のとおりで差し支えないか、貴庁のご意見をお伺いしたく、ご照会申し上げます。

1. 新契約に係る基準日の考え方

平成24年1月1日施行の所得税法(以下「所得税法」という。)第76条第5項及び第7項において、新生命保険契約等及び介護医療保険契約等とは、平成24年1月1日以後に締結した契約(以下、これらを併せて「新契約」という。)又は他の保険契約に附帯して締結した新契約とされている。
 この新契約に該当する判断基準日として、損害保険契約(保険業法第2条第4項に規定する損害保険会社が引受けを行う保険契約をいう。以下同じ。)においては、申込日又は保険料払込日ではなく、保険始期日で判断する。

〔理由〕
保険始期日以外にも、申込日又は保険料払込日などの基準が考えられるが、保険契約の開始日である保険始期日で判断することが、他の基準に比べ適切であると考えられることから、上記のとおり取り扱う。

2. 新契約とみなす範囲

所得税法第76条第10項において、平成24年1月1日以後に旧生命保険契約等(以下「旧契約」という。)に附帯して新契約を締結した場合には、その旧契約は新契約とみなすこととされている。また、上記1.のとおり、同法第76条第5項及び第7項において、平成24年1月1日以後に締結したもの又は他の保険契約に附帯して締結したものは、新契約となる。
 損害保険契約においては、この新契約とみなす範囲(契約の締結)について、以下のとおり取り扱う。

(1) 新契約とみなす範囲の契約の締結

  1. イ 主契約の満期更改、中途更改、継続、転換
  2. ロ 特約(新生命保険料控除制度の対象となる各保障区分に属する補償をするものに限る。)の満期更改、中途更改、継続、付加
  3. ハ 保険料変更を伴う被保険者の増加(団体契約を除く。) を行った場合

(2) 新契約とみなさない契約の締結

  1. イ 特約の付加
    1. @) 新生命保険料控除制度の対象となる各保障区分に属さない補償を付加する特約(例:ホールインワン特約、傷害死亡担保特約、無事故戻し規定不適用特約)を付加した場合
    2. A) 補償内容の不担保特約又は削減特約(例:特定疾病不担保特約、免責期間延長特約)を付加した場合
    3. B) 補償を伴わない特約(例:共同保険特約、保険料払込方法の変更に関する特約)を付加した場合
  2. ロ 保険料変更を伴わない被保険者の増加
     被保険者本人のみの記名によって本人の家族全員を自動的に被保険者に含める「家族特約」において、出産等によって対象被保険者数が増加した場合
  3. ハ 保険金額の増減
     保険金額を増減した場合(特約の付加によらないもの)
  4. ニ 契約内容の異動
     契約者の名義変更や住所変更など、補償を伴わない契約内容の異動を行った場合
〔理由〕
新生命保険料控除制度導入の趣旨にかんがみると、契約者自ら、新たに補償を開始する、又は補償範囲を拡大する契約行為のみが新生命保険料控除制度の対象となるべき新契約の締結と考えられることから、上記のとおり取り扱う。

3. 新契約とみなす場合の新生命保険料控除制度への移行日

新契約とみなす場合の新生命保険料控除制度への移行日について、損害保険契約においては、次のとおり取り扱う。

(1) 主契約及び特約の満期更改、中途更改及び継続

 満期更改、中途更改及び継続により設定される保険始期日

(2) 主契約の転換

転換日

(3) 特約の付加

特約の付加により設定される異動日

(4) 保険料変更を伴う被保険者の増加

被保険者の増加日

〔理由〕
上記1.と同様、保険契約の開始日である保険始期日又は補償内容の変更が開始される日で判断することが適切であると考えられることから、上記のとおり取り扱う。

4. 団体契約における新生命保険料控除制度への移行を判断する単位

企業、組合などの団体又はその代表者を契約者とし、その団体の構成員等を被保険者とする損害保険契約における団体契約において、新生命保険料控除制度への移行は、被保険者単位に判定するのではなく、団体契約単位で新契約の判定を行う。

〔理由〕
企業、組合などの団体又はその代表者を契約者とし、その団体の構成員等を被保険者とする団体契約においては、契約数はあくまでも一つであり、その特性にかんがみると、個々の被保険者単位での新生命保険料控除制度への移行を考えるのではなく、団体契約単位で考える方がより適切であると考えられることから、上記のとおり取り扱う。

以上