別紙
消情報第81号
平成21年12月18日
国税庁課税部審理室長
山川 博樹 殿
消費者庁消費者情報課長
川辺 英一郎
消費生活相談は全国の消費生活センターで実施していますが、長期的な傾向として相談件数は増加傾向にあり、その内容もインターネット取引や振り込め詐欺など複雑化・高度化しています。したがって、相談窓口の充実が喫緊の課題となっていますが、相談員の増員が追いついておらず、相談員1人当たりの負担が増加している状況にあります。特に、大都市以外の地方では、そもそも相談を担える専門的知識を有した者が不足している地域が多く見られます。さらに、消費者行政一元化の取組に呼応して、相談件数の一層の増加が見込まれ、相談員の拡充は喫緊の課題となっています。
そのため、一人前の相談員となるには最低5年必要と言われている中で、いかに短期間で消費生活相談を担える者を養成していくかが課題となりますが、相談員は消費生活相談に必要な知識の習得はもちろんのこと、実務経験を積み重ねる中で相談技能を養成していく必要があり、その人材育成スキームの構築が求められています。
そこで、消費者行政活性化のための国の支援として、平成20年度一般会計補正予算(第2号)及び平成21年度一般会計補正予算(第1号)により、国から地方消費者行政活性化交付金を交付して都道府県に基金を造成し、消費生活センターの設置や相談員の養成・レベルアップを支援することとしておりますが、特に、相談員の養成を重要な課題と位置付けて、この基金を活用して消費生活相談を担える者を早急に養成していくメニューを設けています(消費生活相談員養成事業)。
この消費生活相談員養成事業は、消費生活センター等において相談実務に携わりつつ(実地研修)、必要な法律や制度に関する知識の習得を図る(座学研修)こととし、研修実施者に対して、基金を活用し、研修開催の費用(講師謝金、会場借料、資料作成費等)を支援するとともに、研修参加者に対しても、機会費用を補償することとしていますが、後述する2(1)ロの法人募集型の場合の研修参加者に支給される日当については、所得税法上、雑所得として取り扱ってよろしいか照会いたします。
相談員養成のための研修は、地域ごとのきめ細かいニーズや管内全体の人材育成への対応から都道府県の事業として実施し、都道府県は、管内市区町村のニーズ等を踏まえて研修実施場所やカリキュラムを企画・立案する。
また、都道府県の事務負担の軽減や専門的知見の必要性から、研修の実施に当たっては、研修実施に関するノウハウを有する法人に委託する方法により行うこととしているが、具体的実施形態については、地域ごとのニーズに応じて次の2つの形態から構成されている。
相談技能を身に付けるのは容易ではなく、研修参加者は集中的に研修に従事する必要があり、具体的には1日4時間以上、年間50日以上研修に従事することとしているが、こうした長期間の拘束に対して機会費用を補償する観点から、この間の生活保障を行い、安心して研修に打ち込める環境を確保するために、1日1万5,000円を上限に日当を支給することとしている(具体的な金額は、各都道府県の定めるところによる。)。
なお、日当については、相談員養成という全国的な緊急課題にかんがみ、研修参加支援費として都道府県が基金から取り崩すことが可能であり、当該事業の受託した研修実施法人から各研修参加者に支給されることとなる。
研修参加者に支給される日当は、機会費用(逸失利益)を補償する観点から支給することとしているものであるが、上記2(1)イの自治体参加型(報酬等)においては、研修参加者は都道府県又は市区町村等との間に雇用関係があり、その雇用主であり所属する都道府県又は市区町村等からの職務命令等を受けて研修に参加することによりこれらの者から支給されるものであり、従属的な役務提供の対価であることから、給与所得に該当することとなる。
一方、上記2(1)ロの法人募集型においては、研修期間中における研修参加者は都道府県、市区町村等又は研修実施法人のいずれとも雇用関係にはないことから、研修参加者への日当は、従属的な役務提供の対価たる給与所得には該当しないものと考えられる。
また、研修参加者への日当は、研修に従事することによる機会費用を補償する目的で支給されるものであり、また、研修期間中月ごとに継続的に支払われるものであることから、一時所得にも該当しない。
したがって、法人募集型において研修参加者に支給される日当は、雑所得に該当すると考えられる。
なお、研修に参加するために要した交通費等の費用の額は、雑所得の金額の計算上必要経費に算入することとなる。