企第198号
平成13年7月3日

国税庁
課税部長 村上喜堂 殿

社団法人生命保険協会
専務理事 諏訪茂

 大同生命保険相互会社(以下「大同生命」という。)は、去る6月18日に開催された取締役会において、保険業法に基づく株式会社化のための組織変更計画書(案)を総代会に付議することが決議されたところであります。
 この株式会社化に当たっては、社員(保険契約者)に対し寄与分に応じて株式を割り当て、また、その際に端株が生じたときは組織変更と同時に大同生命が一括売却して売却代金を交付することとなります。
 大同生命における組織変更計画(案)の概要は下記1のとおりですが、この場合の税務上の取扱いについては、下記2のとおり取り扱って差し支えないか、貴庁のご意見をお伺いいたしたくご照会申し上げます。
 なお、大同生命を含む株式会社化を行う生命保険会社は、割当株数の通知や売却代金の振込通知を行う際、株式割当に伴う税務上の取扱いについて社員に案内するなど、税務執行上混乱が生じないように努める所存であります。
 また、本件の取扱いにつきましては、生命保険協会加盟各社に周知徹底を図りたいと考えております。

1 組織変更計画(案)の概要

(1) 新会社の概要

・商号………大同生命保険株式会社

・資本金額………750億円

・社員に対する割当てにより発行する株式の総数………150万株(無額面)

(2) 社員に対する株式の割当て

・対象者………平成13年3月31日(補償基準日)における社員名簿に記載の社員

・保険契約ごとの寄与分の計算方法……… 保険料+運用益
−保険金・給付金・事業費・配当金等の支出
−保険契約上の債務を履行するために確保すべき資産の額 (将来の見通し及び割引率等に基づいた将来の寄与分も考慮して計算)

・社員ごとの寄与分………保険契約ごとの寄与分を合計。なお、同一社員に複数の保険契約がある場合で、いずれかの保険契約の寄与分がマイナスとなる場合は、当該保険契約に係る寄与分を0として合計する。

・割当株数の計算方法……(社員ごとの寄与分)÷(全社員の寄与分合計)×150万株

(注) 各社員の割当株数については、9月下旬ごろ、各社員に個別に通知予定

(3) 株式の上場

・新会社は、組織変更の日以後速やかにその株式を証券取引所に上場する(組織変更と同日を予定)。

・上場に伴う株式の売出価格は、ブックビルディング方式(需要積上方式)により決定する。

(4) 端株・端株未満の売却方法

・大同生命が一括して売却し、社員に対して売却代金を支払う。

・引受会社(証券会社)が株式を取得し、これを売出しの方法により投資家に販売する。社員に支払われる売却代金は、引受会社が当該株式を投資家に販売する売出価格から引受会社が受領すべき手取金額を差し引いた額となる。

(5) 今後の予定

平成13年7月12日 総代会

・平成13年7月13日 〜平成13年10月31日 保険契約者の異議申立て期間

・平成13年11月〜 監督当局に認可申請〜認可

・平成14年3月 ブックビルディングの実施・価格の決定

・平成14年4月1日 組織変更、上場、株券受渡し、端株の売却

2 税務上の取扱い

(1) 割当てを受けた株式に係る経済的利益の課税関係

・社員が受ける株式割当てに係る経済的利益は、株式会社化に伴って偶然に実現する一時の所得であり、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価の性質を有しないものであることから、組織変更時に、個人については一時所得の収入金額、法人については益金の額に算入される。

・この場合、大同生命は組織変更と同時に株式を上場し、ブックビルディング方式により売出価格を決定することとしており、当該売出価格は適正な時価を反映していると考えられることから、割り当てられた株式は、売出価格により評価することとなる。

・ただし、組織変更と同時に強制売却される端株については、社員が端株に関する権利を行使できないことから、実際に社員に交付される金銭の額により評価する。

(2) 端株の売却代金相当額の交付に当たっての本人確認等

・端株をまとめた売却は、大同生命が端株主に代わってその手続を行うに過ぎず、譲渡を受けた引受会社が本人確認義務等を負うものと考えられるが、多数の保険契約者を抱える保険相互会社の実態を踏まえ、譲渡者(端株主)が誰であるか最も知り得る立場にある大同生命が自ら本人確認及び支払調書の提出を行う。



1 社団法人生命保険協会からの照会に対する回答

2 社団法人生命保険協会からの照会