別紙1−1

1 経営状況分析業務に係る建設業法の改正

 建設業法(昭和24年法律第100号)第27条の23において、公共工事を発注者から直接受注しようとする者は、許可行政庁による経営事項審査を受けなければならないものとされ、その審査事項の一部である経営状況分析については、従来、「国土交通大臣の指定する者」(以下「指定機関」といいます。)が行うこととされていました。
 今般、平成14年3月の閣議決定「公益法人に対する行政の関与の在り方改革実施計画」において、国の指定した公益法人の行ってきた業務については、国の関与を最小限化する観点から、公正中立な第三者機関である「国土交通大臣の登録(注)を受けた者」(以下「登録機関」といいます。)が行う等、広く民間に門戸を開放する方針が示されたことを受け、「公益法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律(以下「公益法人一括法」といいます。)」による建設業法の改正が行われ、同法施行後は、経営状況分析業務については登録機関が行うこととなりました。

(注) 当該登録については、建設業法第27条の31第1項により経営状況分析を行おうとする者の申請により行うこととされており、同条第2項により国土交通大臣は法令に定められた一定の要件に該当する場合以外には登録を行わなければならないとされています。

 一方、経営状況分析業務は長期にわたり指定機関が行っていたため、施行日から即座に他の登録機関が経営状況分析業務を開始することは困難であったことから、経営状況分析業務の空白を作らないため、公益法人一括法附則第3条第5項において、法施行後も6ヶ月間は従来の指定機関を登録機関とみなす規定を置き、実際に登録されるまでの間、指定機関であった消費税法別表第三に掲げる法人(以下、「別表三法人」といいます。)は唯一のみなし登録機関として経営状況分析業務を行ってきたところです。

2 建設業法改正後の経営状況分析業務の手数料に係る消費税の取扱いの検討

(1) 経営状況分析の業務は建設業法の改正前は、消費税法別表第一第五号イ(2)に該当することから、消費税法第6条第1項の規定により非課税とされていましたが、改正後は、消費税法別表第一第五号イに規定する「法令に基づき国又は地方公共団体の委託又は指定を受けた者」が行う業務には該当しないこととなり、その手数料は課税されると考えています。

(2) 消費税法別表第一では、別表三法人が法令に基づき行う業務は非課税とされていますが、従来、指定機関であった別表三法人が登録機関として行う経営情報分析の業務は、建設業法等において、具体的に当該別表三法人が行う業務として規定されていないことから、消費税法別表第一第五号イに規定する「別表第三に掲げる法人(中略)が、法令に基づき行う」業務には該当しないこととなり、その手数料は課税されると考えています。

(3) (2)で登録機関である別表三法人が行う業務に係る手数料が課税されるとした場合において、当該別表三法人が、登録機関とみなされていた期間中に行った経営情報分析の業務についても、登録機関として業務を行っているものであることから、その手数料は課税されると考えています。

 以上3点の検討結果について、特に問題がないか、ご照会するものです。

別紙1−2

○ 建設業法改正前
建設業法改正前の図

○ 建設業法改正後
建設業法改正後の図

別紙1−3

1 行政手数料に係る消費税が非課税とされている理由

 行政手数料は公の役務の提供の対価という側面とその費用の分担という側面とを併せ持っており、行政主体の権力を背景として徴収するものや、国民生活の遂行上その支払が事実上強制されるものが多いことから、「税金」と類似する性格を持っていると考えられており、消費税の対象とすることには馴染みにくいという理由から、消費税は非課税とされていると伺っているところです。
 そこで、消費税が非課税となる行政手数料には、国・地方公共団体が法令に基づき強制力を持って徴収しているもの、あるいは、行政効率の観点から、法令上、国・地方公共団体に代わって国・地方公共団体から委託又は指定を受けた者が行うこととして、予め制度を仕組んで強制力を持って徴収しているものが該当するものと理解しています。

2 経営状況分析の手数料に係る消費税の取扱い

 建設業法改正後の同法第27条の23の規定による経営状況分析は、それまでの国・地方公共団体の指定を受けた者が行う業務から、行政の裁量の余地のない形で登録機関が行う業務と変更され、特定の者に限らず広く開放されることとなりました。
 この改正により、建設業者は経営状況分析を依頼する登録機関を選択することができ、依頼を受けた登録機関は自らの責任において建設業者の経営状況の分析を実施することとなりました。なお、経営状況分析手数料の金額は登録機関がそれぞれ独自に設定することとなります。
 このように、改正後の経営状況分析の業務は、それまでの指定機関が行う業務から、登録機関が行う業務に変更されたことから、消費税法別表第一第五号イに規定する「法令に基づき国又は地方公共団体の委託又は指定を受けた者」が行う業務には該当しないことになると考えます。
 また、国・地方公共団体の関与を受けていない登録機関が、公正・中立な第三者機関としての立場で実施する事務については、たとえ、それが法令において一定の行為を行う場合の要件とされている事務であったとしても、改正前と異なり、国・地方公共団体の事務を代行するという性質が変化したものであると考えられます。
 したがって、改正前の国・地方公共団体からの委託又は指定を受けた者が行っていた事務とは性格の異なることとなった事務に係る手数料は、なおも「税金」と類似した性格を持っているとまでは考えられないことからも、経営状況分析の業務について、登録機関が建設業者から徴収する手数料は、非課税となる行政手数料には該当しないと考えます。

3 消費税法別表第三に掲げる法人が登録機関となった場合

 消費税法別表第一第5号イにおいて、別表三法人が法令に基づき行う事務に係る役務の提供のうち、一定の要件を満たすものに係る手数料等も非課税になる旨規定していますが、これは、別表三法人である公益法人等が、国・地方公共団体に代わってその事務を行うことを、あらかじめ法令等に制度として仕組んでいるもののみを対象としていると理解しています。
 したがって、別表三法人が登録機関となった場合であっても、民間法人である他の登録機関と何ら異なることなく、公正・中立な第三者機関として法令に基づく事務を行うに過ぎないため、「別表第三に掲げる法人(中略)が、法令に基づき行う」業務には該当せず、その事務に係る手数料は、非課税となる行政手数料には該当しないと考えます。

4 消費税法別表第三に掲げる法人が登録機関とみなされている間に行う業務

 指定機関であった別表三法人が、登録機関とみなされていた期間中について、この別表三法人は、指定機関として業務を行っているのではなく、改正後の建設業法に基づく公正・中立な第三者機関である登録機関として業務を行っているものであることから、その事務に係る手数料は、非課税となる行政手数料には該当しないと考えます。