別紙
薬食総発第 0513001号
平成21年5月13日
国税庁 課税部 審理室長
大久保 修身 殿
厚生労働省 医薬食品局 総務課長
川尻 良夫
フィブリノゲン製剤及び血液凝固第IX因子製剤によってC型肝炎ウイルスに感染した者を救済するため、「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法」(以下「C型肝炎感染被害者救済法」という。)を制定し、これを公布の日(平成20年1月16日)から施行したところである。
このC型肝炎感染被害者救済法の施行により、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「機構」という。)は、特定C型肝炎ウイルス感染者に対して、その者(その者が死亡している場合には、その相続人。以下「請求人」という。)の請求に基づき、医療、健康管理等に係る経済的負担を含む健康被害の救済を図るためのものとして給付金及び追加給付金(以下「給付金等」という。)を支給する給付金支給等業務(給付金等の支給及びこれに付帯する業務をいう。以下同じ。)を行うこととされた。
これにより機構が行うこととされた給付金支給等業務に要する費用(給付金支給等業務の執行に要する費用を含む。以下同じ。)は、政府から交付される資金と特定フィブリノゲン製剤又は特定血液凝固第IX因子製剤に係る製造業者等(以下「製造業者等」という。)から納付される拠出金により賄われることとされている。
このうち、製造業者等から納付されることとなる拠出金については、C型肝炎感染被害者救済法第17条第1項の規定により機構から製造業者等に対して拠出を求めるものであり、同条第2項の規定により製造業者等は機構に対し拠出金を納付する義務を負うこととされているものである。
(注)
C型肝炎感染被害者救済法の前文では、「現行法制の下で法的責任の存否を争う訴訟による解決を図ろうとすれば、さらに長期間を要することが見込まれる。・・・・・・・我らは、人道的観点から、早急に感染被害者の方々を投与の時期を問わず一律に救済しなければならないと考える。しかしながら、現行法制の下でこれらの製剤による感染被害者の方々の一律救済の要請にこたえるには、司法上も行政上も限界があることから、立法による解決を図ることとし、この法律を制定する。」としており、早急な感染被害者の救済を制定の目的としている。
同法の前文では、政府の責任及び製造業者等の責任につき、次のように明記している。
「政府は、感染被害者の方々に甚大な被害が生じ、その被害の拡大を防止し得なかったことについての責任を認め、感染被害者及びその遺族の方々に心からおわびすべきである。さらに、今回の事件の反省を踏まえ、命の尊さを再認識し、医薬品による健康被害の再発防止に最善かつ最大の努力をしなければならない。」
「医薬品を供給する企業には、製品の安全性の確保等について最善の努力を尽くす責任があり、本件においては、そのような企業の責任が問われるものである。」
機構は、特定C型肝炎ウイルス感染者に対し、請求人の請求に基づき、医療、健康管理等に係る経済的負担を含む健康被害の救済を図るためのものとして給付金を支給する(C型肝炎感染被害者救済法3)。
給付金の支給の請求をするには、その請求に当たり次の書類を提出しなければならない(C型肝炎感染被害者救済法4)。
請求人(又はその被相続人)が、特定C型肝炎ウイルス感染者であること及びその者が次のいずれかの区分(以下「感染者区分」という。)に該当することを証する確定判決又は和解、調停その他確定判決と同一の効力を有するもの(当該訴え等の相手方に国が含まれているものに限る。)の正本又は謄本
なお、給付金の請求は、原則として、C型肝炎感染被害者救済法の施行の日から5年を経過する日(以下「経過日」という。)までに行わなければならない(C型肝炎感染被害者救済法5)。
(注) 経過日において係争中である場合の経過措置が設けられているほか、同法の施行後における給付金等の支給の請求の状況を勘案し、必要に応じ、検討が加えられるものとしている(C型肝炎感染被害者救済法5二、附則3)。
給付金の額は、上記の感染者区分に応じ、それぞれ次の金額としている(C型肝炎感染被害者救済法6)。
機構は、上記(3)の給付金の支給を受けた特定C型肝炎ウイルス感染者(又は
の区分であった者に限る。)であって、身体的状況が悪化したため、当該給付金の支給を受けた日から起算して10年以内に新たに感染者区分
又は
に該当するに至ったものに対し、請求人の請求に基づき、医療、健康管理等に係る経済的負担を含む健康被害の救済を図るためのものとして追加給付金を支給する(C型肝炎感染被害者救済法7
)。
追加給付金の支給の請求をするには、その請求に当たり次の書類を提出しなければならない(C型肝炎感染被害者救済法8)。
特定C型肝炎ウイルス感染者の身体的状況が悪化したため、新たに感染者区分又は
に該当するに至ったことを証明する医師の診断書
なお、給付金の請求は、原則として、特定C型肝炎ウイルス感染者の身体的状況が悪化したため、新たに感染者区分又は
に該当するに至ったことを知った日から起算して3年以内に行わなければならない(C型肝炎感染被害者救済法9)。
追加給付金の額は、感染者区分に応じた給付金の額から、既に支給された給付金を控除した金額としている(C型肝炎感染被害者救済法10)。
したがって、例えば、感染者区分から
へ悪化した特定C型肝炎ウイルス感染者に対する追加給付金の額は8百万円(20百万円−12百万円)となる。
機構は、給付金支給等業務に要する費用に充てるため、特定C型肝炎ウイルス感染者救済基金(以下「基金」という。)を設置する(C型肝炎感染被害者救済法14)。
当該基金は、政府から交付される資金及び製造業者等から納付される拠出金によって運営されることとなる(C型肝炎感染被害者救済法14)。
政府は、予算の範囲内において、機構に対し、給付金支給等業務に要する費用に充てるための資金を交付するものとしている(C型肝炎感染被害者救済法15)。
製造業者等は、機構から拠出金の拠出を求められたときは、機構に対し拠出金を納付するものとしている(C型肝炎感染被害者救済法17)。
(注) 拠出金の納付については、その未納付等に対する罰則規定こそ設けられていないが、法律により「納付するものとする」とされている以上、製造業者等に対しては法律の規定により納付義務が課されていると解することとなる。
機構は、給付金等を支給したときは、給付金支給等業務に要する費用に充てるため、製造業者等に、一定の基準に基づき、拠出金の拠出を求めるものとしている(C型肝炎感染被害者救済法17)。
この場合における一定の基準とは、厚生労働大臣が給付金支給等業務に要する費用の負担の方法及び割合について、製造業者等との協議の上、その同意を得て、あらかじめ定めた基準をいう(C型肝炎感染被害者救済法16)。
具体的には、平成21年4月10日付厚生労働省告示第260号「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法第十六条の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準」(以下「負担基準」という。)により、当該負担の方法及び割合は次のとおり定めている。
製造業者等は、給付金支給等業務に要する費用について、機構からの拠出金の拠出の求めに応じ、この負担基準による基準額を基準として機構が定める額を拠出金として機構に納付する(負担基準1)。
(注)
製造業者等 | 感染者の区分 | 負担割合 |
---|---|---|
田辺三菱製薬株式会社 | ![]() |
10分の10 |
![]() |
3分の2 | |
![]() |
10分の10 | |
日本製薬株式会社 | ![]() |
10分の10 |
(注)
(注)
製造業者等が基金に納付する拠出金は、次に掲げる理由から法人税法第37条《寄附金の損金不算入》の適用対象となる寄附金の額や租税特別措置法第61条の4《交際費等の損金不算入》の適用対象となる交際費等の額に該当しない費用と認められ、製造業者等の所得金額の計算上、損金の額に算入することができる費用に該当する。
また、拠出金の納付義務は、上記3(5)イの〔製造業者等からの拠出金〕のとおり、「機構から製造業者等に対して拠出金の拠出を求められたとき」に確定するものであり、上記3(5)ロの〔負担の方法〕により、機構から製造業者等に「拠出を求める金額を記載した書面」が交付された時に金額も確定することから、これを製造業者等が受領した日の属する当該製造業者等の事業年度において、法人税基本通達9−5−8《賦課金、納付金等の損金算入の時期》に準じ、当該拠出金の金額を損金の額に算入することができることとなる。