別紙

令和8年9月3日

 国税庁課税部長 殿

出入国在留管理庁政策課長
厚生労働省参事官(海外人材育成担当)

1 照会の趣旨

令和9年4月1日から、外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律(以下「育成就労法」といいます。)に基づく育成就労制度(以下「本件制度」といいます。)の運用が開始されます。
 本件制度は、従来の技能移転による国際貢献を目的とする技能実習制度を発展的に解消し、我が国の人手不足分野における人材育成及び人材確保を目的として創設される制度です。
 本件制度により我が国に在留することとなる外国人(以下「育成就労外国人」といいます。)は、受入れ機関(以下「育成就労実施者」といいます。)との雇用契約に基づき、育成就労産業分野(育成就労法第2条第2号に規定する育成就労産業分野をいいます。以下同じです。)に属する技能を要する業務に従事し、給与の支払を受けることになります。
 所得税法上、居住者が雇用契約に基づき給与の支払を受ける場合、その給与の収入金額については給与所得として課税対象となります。他方、我が国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約(以下「租税条約」といいます。)の中には、個人が「専ら…訓練を受ける」者に該当する場合には、一定の要件の下で、我が国で支払われる給与に係る所得税を免除する規定(注)を有しているものがあります。

(注)例えば、日タイ租税条約第19条などがあります。

本件制度の目的や下記2記載の事実関係を踏まえると、育成就労外国人は、原則として、この「専ら…訓練を受ける」者に該当せず、育成就労実施者から支払を受ける給与の収入金額については、給与所得として、所得税の課税対象となり、源泉徴収の対象と取り扱って差し支えないか、お伺いします。

2 照会に係る取引等の事実関係

本件制度は、人手不足分野において、我が国での3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を有する人材を育成し、人材を確保する制度です。人手不足への対応の一つとして外国人の受入れも欠かせない状況にある中、外国人にとって魅力ある制度を構築することで、我が国が外国人から「選ばれる国」となり、我が国の産業を支える人材を適切に確保することが重要であることから、従来の技能等の移転による国際協力の推進を目的とする技能実習制度を発展的に解消し、人材育成と人材確保を目的とする本件制度が創設されました。技能実習制度においては、技能実習生は我が国で修得した技能等を本国に帰国後に活用することを前提としていたことから、技能実習生の帰国が制度上の原則となっていましたが、本件制度は特定技能1号水準の技術を有する人材を育成するとともに当該分野における人材確保を目的としており、帰国を前提とする要件等を撤廃するなど、技能実習制度と本件制度とでは制度のあり方が異なっています。
 本件制度において、育成就労を行わせようとする者は、育成就労外国人ごとに育成就労の実施に関する計画(育成就労計画)を作成し、所定の認定を受ける必要があります(育成就労法第8条)。
 また、育成就労外国人は、育成就労実施者との雇用契約に基づき、育成就労実施者の事業所等において業務に従事し、その対価として給与の支払を受けます。
 加えて、技能実習制度においては、技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならないことが法律で規定されていました(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律第3条第2項)が、本件制度においては、同旨の規定は設けられておらず、さらに、技能修得に必要な「必須業務」に従事する時間の制限も緩和されたほか、「関連業務」や「周辺業務」の区分も廃止され(外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律施行規則第13条第2項)、柔軟な働き方が可能となりました。

3 事前照会者の求める見解となることの理由

上記2記載の事実関係からすると、育成就労外国人は、人手不足分野における人材確保をも目的とした本件制度により我が国に在留する者であり、育成就労実施者との雇用契約に基づき、育成就労産業分野に属する幅広い技能を要する業務に従事し、その対価として給与の支払を受けることが予定されているため、原則として、租税条約で定める「専ら…訓練を受ける」者に該当せず、育成就労実施者から支払を受ける給与の収入金額については、給与所得として、所得税の課税対象及び源泉徴収の対象になるものと考えられます。

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