(営業から酒田君が帰ってきました・・・)
酒田:遅くなりました。
米沢:営業お疲れ様。課長がお待ち兼ねよ。
課長:さて、今朝の宿題になっていた酒のJカーブの話をしよう。
酒田:えっ?あ、はい、お願いします。
お酒のJカーブ効果とは?
- 1981年 イギリスのマーモット博士らが、飲酒量と死亡率との関係についての調査結果を発表
- グラフにするとこのようなJ字型曲線となる
日本では1999年、国立がんセンターが40〜59歳(1990年時点)の男性約2万人を対象にした7年間の追跡調査の結果を発表
A:時々飲む人
B:週にアルコールとして1〜149飲む人
C:週にアルコールとして150〜299飲む人
D:週にアルコールとして300〜449飲む人
E:週にアルコールとして500以上飲む人
課長:お酒を多量に飲む人が高くなるのは納得だが・・。ちょっと意外だったのが、少し酒を飲む人のほうが、まったく飲まない人よりも長生きの傾向がみられたということなんだ。Bグループでは、全然飲まない人より、総死亡、がん死亡とも低くなっている。
酒田:百薬の長ですね! アルコール149は酒ではどれくらいですか?
米沢:(電卓をはじいて)・・・缶ビールで11本弱、日本酒で約7合かな。
酒田:えっ、そんなに!
米沢:1週間でよ!!
酒田:あはは、そうでした。しかし、これは営業に使えますね。健康ブームにドンピシャリ!
課長:う〜ん。こうした調査のデータは勝手な解釈をしてはだめなんだ。正確に理解しなければ。
米沢:これは40〜50代の男性の調査だから、女性に当てはまるかどうかはわからないですね。
課長:そうそう。調査の前提を無視してはいけないね。それともうひとつ注意すべきは、この調査結果が示しているのは「お酒を飲まない人より少し飲む人のほうが長生きする傾向がある」という点だ。
酒田:必ずしもお酒の効果で長生きしているとはいえないわけですか?
課長:そう、ほかの要因があるのかもしれないということ。
米沢:ほかの要因?たとえばこういうのはどう。「持病がある人はお酒を控える」でしょう。そういう人の影響で「飲まない人」の死亡率が高く出ている。
課長:うん、たしかにそれは考えられるので、国立がんセンターの調査では重い病気の人を除いた集計・解析もしたが結果は同様だったそうだ。
酒田:お酒を少し嗜む人というのは、それだけ節制がきくというか生活面で注意深いのが長生きにつながるのではないですか。ぼくみたいに!!
課長:君はどうか知らないが、お酒を少し飲む人に共通する生活態度というのも否定はできないかな。すくなくとも、酒をそこそこで切り上げるには強い意志力が必要だねっ。
酒田:そうでしょう!
米沢:まあ、変なところで共鳴しちゃって・・。でも、ほかの要因があるというのは分かるけども、やっぱりお酒の効果と考えるのが素直じゃないかしら。
課長:そうだね、酒を飲むと血行がよくなったりストレス解消になるのは経験からも確かだから、それが長生きにつながるというのは納得しやすいね。ただ、我々酒を扱う者としては、表面的な理解で安易に宣伝に使うようなことは控えるべきだね。まとめとして、この調査結果を基にした国立がんセンターの中年期男性へのメッセージを紹介しておこう。
(このあと、酒田君と課長は、酒田君の強い意志力を確かめるため、連れ立って居酒屋に向かったのでした。)
おわり