【東京国税局 原井酒税課長】
世界を見渡したとき、民族によって宗教が色々あるように、お酒もその国の風土や文化にあったお酒が造られ、愛されています。これにあわせて、お酒との付き合い方も色々あるかと思います。
冠婚葬祭、行事・お祭り、楽しい酒、悲しい酒・・・・等々
その一方で、お酒に含まれるアルコールによってもたらされる様々な影響が起きているのも事実です。すなわち、飲酒運転、未成年者飲酒、アルコール依存症、イッキ飲みなどの社会問題が発生し、毎日のようにマスコミに取り上げられているところです。
ここで、お酒について考えた場合、一つの切り口として、飲み手である私たち(もちろん二十歳以上です)が、身体的にお酒に強いのか、弱いのかを考えてみたいと思います。
女性の場合は、女性ホルモンが酵素の働きを抑制するため分解力が弱くなるといわれています。
自分がどの型に属するかは血液検査でわかりますし、もっと簡単な方法としては、腕に消毒用アルコールを含ませたバンソウコウを10分間貼って調べることもできます(赤くなったらDD型、ピンクになったらND型、無反応はNN型だそうです。)。
同じ量の酒を飲んだ場合の血中アセトアルデヒド濃度は、ND型はNN型の人の4〜5倍、DD型はNN型の人の20〜30倍になると言われています。
人類はもともとはNN型でしたが、数千年前シベリア地方(あるいは東アジア)で一人の人間の遺伝子に突然変異が生じ、結婚等によりこれが東アジアに広がっていったと言われています。
したがってヨーロッパ等の人種は殆ど全員がNN型でお酒に強く、モンゴロイド(蒙古系人種)に属する中国、朝鮮半島、日本、東南アジア地方の人種は一定の割合でND型あるいはDD型といったお酒にあまり強くない人がいると言われています。
また、モンゴル系でも、旧モンゴル系と新モンゴル系があって、新モンゴル系の弥生人の遺伝子を強く受け継いでいる人は弱く、旧モンゴル系の縄文人の遺伝子を強く受け継いでいる人は強いと言われています。
飲酒した時の外面的な一つの現象として、顔が赤くなるということがあります。これをオリエンタルフラッシング、あるいはジャパーニーズフラッシングと呼ばれています。
西洋の人はもともとは赤ら顔の人が多いからわからないかもしれませんが、日本人は、飲酒すると赤ら顔が多くなると言われています。
この顔が赤くなるのは、胃の働きと考えられがちですが、アルコールの分解は肝臓で行われています。
血中濃度% | 酒量 | 酔いの状態 |
---|---|---|
爽快期 (0.02〜0.04) |
ビール(大びん〜1本) 日本酒(〜1合) ウイスキー(シングル〜2杯) |
◆さわやかな気分になる ◆皮膚が赤くなる ◆陽気になる ◆判断が少しにぶくなる |
ほろ酔い期 (0.05〜0.10) |
ビール(大びん1〜2本) 日本酒(1〜2合) ウイスキー(シングル3杯) |
◆ほろ酔い気分になる ◆手の動きが活発になる ◆抑制がとれる(理性が失われる) ◆体温上昇、脈が速くなる |
酩酊初期 (0.11〜0.15) |
ビール(大びん3本) 日本酒(3合) ウイスキー(ダブル3杯) |
◆気が大きくなる ◆大声でがなり立てる ◆怒りっぽくなる ◆立てばふらつく |
酩酊期 (0.16〜0.30) |
ビール(大びん4〜6本) 日本酒(4〜6合) ウイスキー(ダブル5杯) |
◆千鳥足になる ◆何度も同じことをしゃべる ◆呼吸が速くなる ◆吐き気、おう吐が起こる |
泥酔期 (0.31〜0.40) |
ビール(大びん7〜10本) 日本酒(7合〜1升) ウイスキー(ボトル1本) |
◆まともに立てない ◆意識がはっきりしない ◆言語がめちゃめちゃになる |
昏睡期 (0.41〜0.50) |
ビール(大びん10本以上) 日本酒(1升以上) ウイスキー(ボトル1本以上) |
◆揺り動かしても起きない ◆大小便はたれ流しになる ◆呼吸はゆっくりと深い ◆死亡 |
※ 社団法人アルコール健康医学協会資料