金地金等に係る譲渡所得調査等の状況

○ 近年、金やプラチナの価格が歴史的な高値水準にあり、金地金等の譲渡によって大きな譲渡益が生じやすい状況にあります。金地金等を売却して譲渡益が生じた場合は、原則として、総合課税の譲渡所得として課税されます。
 これに対し、国税庁では、あらゆる機会を通じて資料情報を収集するなどして、積極的に調査を実施しています。

○ 平成22事務年度における金地金等に係る譲渡所得調査等の事績は、以下のとおりです。

対象
項目
金地金等 (参考)譲渡所得全体
申告漏れ等の非違件数丸1 88件 10,703件
申告漏れ所得金額丸2 5億円 793億円
非違1件あたりの申告漏れ所得金額(丸2/丸1) 602万円 741万円

○ 金地金等に係る譲渡所得調査等の非違1件当たりの申告漏れ所得金額は、602万円となっており、土地建物等に係るものが大半を占める譲渡所得調査等全体の非違1件当たりの申告漏れ所得金額(741万円)と比較しても、大きく変わらないものとなっています。

○ なお、平成24年1月1日以降、金地金等(金・白金地金、金貨・白金貨)の売買を業として行う者が、国内においてそれらの譲渡を受け、200万円超の対価を支払う場合に、税務署に対して支払調書を提出することが義務付けられます。

いわゆる「富裕層」への対応

  • 国税庁では、有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な者など、いわゆる「富裕層」に対して、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に、積極的に調査を実施しています。
  • 平成22事務年度においては、1,365件(前年比113.8%)の調査を実施し、追徴税額は総額で72億円となっています。
  • また、1件当たりの追徴税額は527万円で、所得税の実地調査1件当たりの追徴税額264万円の約2倍となっています。

○ 富裕層に対する調査状況

事務年度等
項目
21事務年度 22事務年度  
(参考)
22事務年度 実地調査
(特別・一般)全体
対前年比
調査件数 1,200 1,365 113.8 11,975
申告漏れ等の非違件数 1,010 1,043 103.3 10,492
申告漏れ所得金額 億円 214 248 115.7 1,479
追徴税額 億円 67 72 106.9 316
一件当たり 申告漏れ所得金額 万円 1,786 1,816 101.7 1,235
追徴税額 万円 561 527 94.0 264

高額・悪質と見込まれた無申告者に対する調査状況

1 取組状況

平成22事務年度の無申告者に対する実地調査(特別・一般)の調査件数及び無申告者の内訳を表したグラフ

2 無申告者に対する調査状況

事務年度等
項目
21事務年度 22事務年度  
(参考)
22事務年度 実地調査
(特別・一般)全体
対前年比
調査件数 2,403 2,262 94.1 11,975
申告漏れ所得金額 億円 495 462 93.3 1,479
追徴税額 億円 65 61 94.1 316
一件当たり 申告漏れ所得金額 万円 2,062 2,043 99.1 1,235
追徴税額 万円 270 270 100.0 264
  • 無申告は、申告納税制度の下で自発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすこととなるため、的確かつ厳格に対応していく必要があります。こうした無申告者は、その存在自体の把握が困難であることから、更なる資料情報の収集及び活用を図り、的確な課税処理に努めています。
  • 高額・悪質と見込まれた無申告者に対する実地調査(特別・一般)の調査件数は、2,262件となっています。
  • 1件当たりの申告漏れ所得金額は、2,043万円となっており、実地調査 (特別・一般)全体の申告漏れ所得金額1,235万円の約1.7倍となっています。
    また、申告漏れ所得金額は総額で462億円に上ります。
  • 1件当たりの追徴税額は、270万円で、追徴税額は総額で61億円に上ります。

海外取引を行っている者の調査状況

1 調査状況(取引区分別)

平成22事務年度の海外取引を行っている者の取引区分ごとの調査状況を表した図

(注) ( )内の数値は構成比

(参考)

  • 1 輸出入・・・・・事業に係る売上及び原価に係る取引で、海外の輸出(入)業者との契約による取引をいう。
  • 2 役務提供・・・工事請負、プログラム設計など海外において行う、労力、技術等の第三者に対するサービスの提供をいう。
  • 3 海外投資・・・海外の不動産、証券などに対する投資(預貯金等の海外での蓄財を含む。)をいう。
  • 4 その他・・・・・海外で支払いを受ける給与など、1〜3に該当しない取引等をいう。

2 1件当たりの申告漏れ所得金額(取引区分別)

平成22事務年度の海外取引を行っている者に対する実地調査(特別・一般)の全体の申告漏れ所得金額及び取引区分ごとの申告漏れ所得金額
  • 経済社会の国際化に適切に対応していくため、有効な資料情報の収集に努めるとともに、海外取引を行っている者や海外資産を保有している者などに対して、国外送金等調書や租税条約に基づく情報交換制度などを効果的に活用し、積極的に調査に取り組んでいます。
  • 海外取引を行っている者に対する実地調査(特別・一般)の調査件数は、1,476件(前事務年度1,487件)となっています。
  • 1件当たりの申告漏れ所得金額は、1,812万円(前事務年度2,193万円)となっており、実地調査(特別・一般)全体の申告漏れ所得金額1,235万円(前事務年度1,252万円)の約1.5倍となっています。
    また、申告漏れ所得金額の総額は267億円(前事務年度326億円)に上ります。

インターネット取引を行っている者の調査状況

1 調査状況(取引区分別)

平成22事務年度のインターネット取引を行っている者の取引区分別の調査状況を表したグラフ

(注) ( )内の数値は構成比

(参考)

  • 1 ネット通販・・・事業主が商品を販売するためのホームページを開設し、消費者から直接受注する販売方法(オンラインショッピング)による取引
  • 2 コンテンツ配信サービス・・・インターネットを利用して行われる電子化された音楽、静止画、動画、書籍、情報等のダウンロード取引又は配信提供に係る取引
  • 3 ネットオークション・・・インターネットを利用して行われるオークション取引
  • 4 ネット広告・・・ホームページ、電子メール、検索エンジンの検索結果画面等を利用して行われる広告関連取引
  • 5 ネットトレード・・・インターネットを利用して行われる株、商品先物又は外国為替等の取引
  • 6 その他のネット取引・・・出会い系サイトの運営など、1〜5に該当しない取引

2 1件当たりの申告漏れ所得金額(取引区分別)

平成22事務年度のインターネット取引を行っている者の実地調査(特別・一般)の全体の申告漏れ所得金額及び取引区分ごとの申告漏れ所得金額を表したグラフ
  • インターネット取引者は、無店舗による事業形態となるため、その把握が困難であるが、 あらゆる資料情報を収集・分析して適切な課税に努めています。
  • インターネット取引を行っている者に対する実地調査(特別・一般)の調査件数は、503件(前事務年度522件)となっています。
  • 1件当たりの申告漏れ所得金額は、1,476万円(前事務年度1,463万円)となっており、実地調査(特別・一般)全体の申告漏れ所得金額1,235万円(前事務年度1,252万円)の約1.2倍となっています。また、申告漏れ所得金額の総額は74億円(前事務年度76億円)に上ります。