平成30年12月
高松国税局

1 「調整率」について

(1) 平成30年7月豪雨による災害については、特定非常災害に指定され、租税特別措置法第69条の6((特定土地等及び特定株式等に係る相続税の課税価格の計算の特例))及び同法第69条の7((特定土地等及び特定株式等に係る贈与税の課税価格の計算の特例))が適用され、次の@又はAに該当する土地等(土地又は土地の上に存する権利をいいます。)で、平成30年6月28日(特定非常災害発生日)において所有していたもののうち、「特定地域(注)」内にある土地等(特定土地等)の価額は、その取得の時の時価によらず、「特定非常災害の発生直後の価額」によることができることとされました。

1 平成29年8月28日から平成30年6月27日までの間に相続等(相続又は遺贈をいいます。)により取得した土地等

2 平成30年1月1日から平成30年6月27日までの間に贈与により取得した土地等

(注) 「特定地域」とは、特定非常災害により被災者生活再建支援法第3条第1項の規定の適用を受ける地域(同項の規定の適用がない場合には、当該特定非常災害により相当な損害を受けた地域として財務大臣が指定する地域)をいい、平成30年12月20日現在で、次の地域が該当します。

都道府県名 特定地域 都道府県名 特定地域
岐阜県 関市 山口県 岩国市、光市
京都府 福知山市、綾部市 徳島県 三好市
兵庫県 神戸市、宍粟市 愛媛県 県内全域
島根県 江津市、邑智郡川本町 高知県 宿毛市、香南市、幡多郡大月町
岡山県 県内全域 福岡県 北九州市、久留米市、飯塚市、嘉麻市
広島県 県内全域 佐賀県 三養基郡基山町

(2) この「特定非常災害の発生直後の価額」について、納税者の皆様がご自分で把握することは必ずしも容易ではありません。そこで、相続税等の申告の便宜及び課税の公平を図る観点から、特定非常災害による地価下落の状況を反映させた「調整率」を特定地域内の一定の地域ごとに定め、平成30年分の路線価及び評価倍率に、この「調整率」を乗じて計算することができることとしました。

特定非常災害の発生直後の価額 = 路線価等(H30.1.1時点の価額) × 調整率

(3) なお、特定非常災害発生日以後、平成30年中に相続等又は贈与により取得した特定地域内にある土地等(特定土地等)の価額についても、平成30年分の路線価及び評価倍率に「調整率」を乗じて計算することができることとしました。

(4) 「調整率」を記載した「調整率表」については、平成30年12月20日(木)に国税庁ホームページで公開しました。

2 「調整率」の具体的な算定方法について

(1) 「調整率」については、下記算式のとおり算定しています。

「調整率」=(1− 直接的要因の減価率)×(1− 社会インフラ要因の減価率)
×(1− 経済的要因の減価率)×(1− その他の要因の減価率)

(注)1 各減価要因の具体的な内容

1 直接的要因 直接的要因
建物倒壊等の程度による減価。

2 社会インフラ要因(宅地のみ)
鉄道の運休、幹線道路の通行止め、供給処理施設(水道)など、インフラの被害に応じた減価。

3 経済的要因
経済活動が縮小することによる減価。

4 上記13以外の要因。

2 「調整率」は、「特定非常災害の発生直後の価額」を算定するためのものですので、特定非常災害発生後の復旧の状況等は加味していません。

(2) 「調整率」は、高松国税局管内の特定地域約7千kuの全域にわたって、原則として、町(丁目)又は大字単位ごとに設定しています。
 なお、高松国税局管内で設定した調整率の件数は、宅地の場合で約3,000件です。

(参考)
阪神・淡路大震災の時は、約2千kuの地域に、約1,400件の調整率を設定しました。
東日本大震災の時は、約6万5千kuの地域に、約16,900件の調整率を設定しました。
平成28年熊本地震の時は、約8千kuの地域に、約2,500件の調整率を設定しました。

3 県別・地目別の「調整率」

県別・地目別の「調整率」は、次のとおりとなっています。

県(特定地域) 宅地 山林
徳島県(三好市) 0.80〜0.95 0.80〜1.00 0.85〜1.00 0.90〜1.00
愛媛県(県内全域) 0.75〜1.00 0.80〜1.00 0.85〜1.00 0.90〜1.00
高知県(宿毛市、香南市、幡多郡大月町) 0.85〜1.00 0.80〜1.00 0.85〜1.00 0.90〜1.00

(注)「田」、「畑」及び「山林」については、市街地農地など宅地に比準して評価するものを除いています。

具体的な場所の「調整率」については、国税庁ホームページに掲載されている「調整率表」をご確認ください。

(参考)具体的な計算方法

○ 路線価地域の場合
特定土地等が路線価地域にある場合については、平成30年分の路線価に調整率を乗じて計算することができます。

【計算例】
路線価 ……… 100,000円
調整率 ……… 0.75※
 (路線価)  (調整率) (調整率適用後の路線価)
 100,000円 × 0.75※ = 75,000円
※ 計算のための仮の数値です。

(注)「調整率適用後の路線価」を基として、奥行価格補正率などの画地調整率を乗ずることになります。

○ 倍率地域の場合
特定土地等が倍率地域にある場合については、平成30年分の評価倍率に調整率を乗じて計算することができます。

【計算例】
評価倍率 ……… 1.1倍
調整率 ………… 0.70※
 (評価倍率) (調整率)  (調整率適用後の評価倍率)
   1.1  ×  0.70※ =  0.77
※ 計算のための仮の数値です。