大口・悪質事案に対する取組

国税局においては、申告内容や各種資料情報などを検討し、大口・悪質な不正計算が想定されるなど、調査必要度が高い法人を的確に選定の上、厳正な調査を実施しています。

その結果、平成24事務年度の調査において、不正申告1件当たりの不正脱漏所得金額の大きな業種は、「廃棄物処理(53百万円)」、「その他のサービス(33百万円)」、「その他の建築材料(19百万円)」の順となっており、法人税の不正発見割合の高い業種は、「管工事(41.3%)」、「廃棄物処理(35.7%)」、「農業(33.3%)」の順となっています。

○ 不正申告1件当たりの不正脱漏所得金額の大きな10業種
順位 項目 不正申告1件当たりの不正脱漏所得金額 前年順位 (参考)
不正発見割合
業種目
1 廃棄物処理 千円 6
53,143 35.7
2 その他のサービス 33,471 - 12.3
3 その他の建築材料(卸) 18,910 - 17.1
4 産業用機械 18,384 - 18.5
5 貨物自動車 14,912 - 30.0
6 土木工事 11,936 - 19.8
7 その他の対事業所サービス 11,747 - 25.6
8 情報サービス、興信所 10,533 - 19.4
9 漁業、水産養殖業 9,546 - 26.7
10 その他の飲食 9,351 - 20.9

(注) 網掛は、「不正発見割合の高い10業種」にも掲載された業種を示す。

(参考)上位3業種の具体的な業種の内容は次のとおりです。
順位 業種目 具体的な業種の内容
1 廃棄物処理 産業廃棄物処理、一般廃棄物処理、その他の廃棄物処理、産業廃棄物収集・処理
2 その他のサービス デザイン、各種教室・塾、獣医・犬猫病院等
3 その他の建築材料(卸) 土砂、石材、れんが、かわら、タイル等
○ 不正発見割合の高い10業種
順位 項目 不正発見割合 前年順位 (参考)
不正申告1件当たりの不正脱漏所得金額
業種目
1 管工事 - 千円
41.3 3,680
2 廃棄物処理 35.7 5 53,143
3 農業 33.3 - 3,442
4 その他の金属製品 31.8 6 1,271
5 貨物自動車 30.0 - 14,912
6 自動車、自転車 28.9 - 5,016
7 自動車修理 28.6 - 2,530
8 その他の設備工事 28.2 - 4,402
9 水産食料品 28.0 10 5,311
10 漁業、水産養殖業 26.7 1 9,546

(注) 網掛は、「不正申告1件当たりの不正脱漏所得金額の大きな10業種」にも掲載された業種を示す。

(参考)上位3業種の具体的な業種の内容は次のとおりです。
順位 業種目 具体的な業種の内容
1 管工事 冷暖房設備工事、給排水・衛生設備工事、ガス配管工事、その他の設備工事
2 廃棄物処理 産業廃棄物処理、一般廃棄物処理、その他の廃棄物処理、産業廃棄物収集・処理
3 農業 農業、畜産

無申告法人に対する取組

事業を行っているにもかかわらず申告していない法人は、最低限の義務さえも履行しておらず、国民の公平感を著しく損なうものであることから、国税局では、こうした稼働無申告法人に対する調査等に重点的に取り組んでいます。

平成24事務年度においては、事業を行っていると見込まれる無申告法人145件に対して調査を実施し、法人税について1億6,800万円、消費税について1億2,300万円の追徴課税を行いました。

そのうち、16件は利益を隠ぺいするなど意図的に無申告であった事案であり、法人税について8,100万円、消費税について1,300万円の追徴課税を行いました。

平成22事務年度から平成24事務年度の稼働無申告法人に対する実地調査の状況を表したグラフ

○ 稼働無申告法人に対する実地調査の状況
事務年度等 22 23 24  
項目 前年対比 %
実地調査件数 139 201 145 72.1
  うち意図的な無申告法人を把握した件数 16 14 16 114.3
法人税追徴税額 百万円 162 142 168 118.3
  うち意図的な無申告法人に係る追徴税額 百万円 133 79 81 102.5
消費税追徴税額 百万円 157 157 123 78.3
  うち意図的な無申告法人に係る追徴税額 百万円 58 29 13 44.8
法人税・消費税追徴税額のうち加算税額 百万円 72 54 55 101.9

無所得申告法人に対する取組

本来、黒字でありながら赤字を装って申告することにより納税を免れている法人を放置しておくことは、納税者の公平感を著しく損なうものです。無所得申告法人に対しては、このような赤字の仮装や消費税の観点から、調査に重点的に取り組んでいます。

また、消費税は預り金的性格を有するため、国民の関心が極めて高い中、法人税申告は赤字であっても消費税は課税対象とならないか、という観点から申告内容に問題があると認められる法人に対して実地調査を積極的に実施しました。

平成24事務年度においては、法人税について1,371件の無所得法人に対して調査を実施し、申告漏れ件数1,020件及び申告漏れ所得金額124億5,600万円を把握しました。

なお、本来、黒字でありながら赤字を装って申告することにより法人税を免れている法人も、189件(13.8%)あり、10億2,300万円の追徴課税を行いました。

また、消費税については、1,260件の調査を実施し、816件(64.8%)について消費税の非違を把握し、3億9,300万円の追徴課税を行いました。

平成22事務年度から平成24事務年度の無所得申告法人に対する実地調査の状況を表したグラフ

○ 無所得申告法人に対する実地調査の状況
事務年度等 22 23 24  
項目 前年対比 %
法人税 実地調査件数 2,229 1,969 1,371 69.6
非違があった件数 1,646 1,449 1,020 70.4
不正計算のあった件数 571 476 347 72.9
黒字申告となった件数 257 225 189 84.0
黒字申告への転換割合 11.5 11.4 13.8 ポイント +2.4
申告漏れ所得金額 百万円 18,306 11,964 12,456 104.1
  うち不正脱漏所得金額 百万円 8,804 5,861 4,198 71.6
消費税 実地調査件数 2,080 1,834 1,260 68.7
非違があった件数 1,282 1,167 816 69.9
非違があった割合 61.6 63.6 64.8 ポイント +1.2
追徴税額 調査による法人税追徴税額 百万円 1,591 1,005 1,023 101.8
調査による消費税追徴税額 百万円 534 581 393 67.6
法人税・消費税追徴税額のうち加算税額 百万円 433 300 290 96.7

消費税還付申告法人に対する取組

消費税は、預り金的性格を有するため、適正な税務執行が一層求められています。

特に、消費税について虚偽の申告により不正に還付金を得るケースも見受けられるため、こうした不正還付を行う悪質な納税者に対して厳正な調査を実施しています。

平成24事務年度においては、消費税還付申告法人139件について調査を実施し、81件(58.3%)で非違があり、消費税9,600万円を追徴課税しました。

不正還付の事例としては、資産を購入したかのように装って不正に還付申告をするケースがありました。

平成22事務年度から平成24事務年度の消費税還付申告法人に対する実地調査の状況を表したグラフ

○ 消費税還付申告法人に対する消費税の実地調査の状況
事務年度等 22 23 24  
項目 前年対比 %
実地調査件数 256 236 139 58.9
非違のあった件数 164 156 81 51.9
  うち不正計算のあった件数 33 24 20 83.3
調査による追徴税額 百万円 194 152 96 63.2
  うち不正計算に係る追徴税額 百万円 15 9 10 111.1
追徴税額のうち加算税額 百万円 28 20 15 75.0

海外取引法人に対する取組

経済の国際化の進展により、国境を越えた事業、投資活動が活発化しています。国税局においては、こうした状況に的確に対応するため、資料情報等を活用し、海外取引法人の中から、調査必要度の高い法人を的確に選定して調査を実施しています。

平成24事務年度においては、海外取引法人310件に対して調査を実施し、海外取引に係る申告漏れのあった件数は73件、申告漏れ所得金額は11億4,500万円となっています。

平成22事務年度から平成24事務年度の海外取引法人に対する実地調査の状況を表したグラフ

○ 海外取引法人に対する調査の状況
事務年度等 22 23 24  
項目 前年対比 %
実地調査件数 250 288 310 107.6
海外取引に係る申告漏れ件数 66 66 73 110.6
  うち不正計算のあった件数 4 12 6 50.0
海外取引に係る申告漏れ所得金額 百万円 5,073 12,404 1,145 9.2
  うち不正脱漏所得金額 百万円 10 159 117 73.6