令和6年11月
仙台国税局

T 法人税等の申告(課税)事績

1 令和5年度における法人税等の申告事績の概要

◆ 申告所得金額の総額は過去最高の1兆8,092億円

  令和5年度における法人税の申告件数は16万4,987件で、その申告所得金額の総額は過去最高の1兆8,092億円、申告税額の総額は3,469億円となり、前年度に比べ、それぞれ1,448億円(8.7%)、250億円(7.8%)増加しています。

(注)

  1. 1 令和5年4月1日から令和6年3月31日までに終了した事業年度に係る申告について、令和6年7月31日までに申告があったものを令和6年8月末現在で取りまとめています。
  2. 2 令和5年3月31日までに終了した事業年度に係る申告のうち、災害等による申告の期限延長により、本年度の集計対象期間中(令和5年8月1日から令和6年7月31日まで)に申告があったものも含まれています。

○ 法人税の申告件数等の状況

年度等 令和4 令和5
項目 件数等 件数等 増減 前年対比
申告件数
164,559 164,987 428 100.3
申告所得金額 億円 億円 億円
16,644 18,092 1,448 108.7
申告税額 億円 億円 億円
3,219 3,469 250 107.8

 

○ 申告所得金額の推移

(参考計表)令和5年度における法人税等の申告事績

別表1:法人数の状況

区分 令和5年6月30日現在 令和6年6月30日現在
項目 件数 前年対比 件数 前年対比
法人数 法人 法人
170,262 100.7 170,913 100.4

(注)清算中法人については、集計対象から除外しています。

別表2:法人税の申告の状況

年度等 令和4 令和5
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
申告件数 1
164,559 100.7 164,987 100.3
申告割合 2 ポイント ポイント
93.9 ▲0.2 93.1 ▲0.8
黒字申告件数 3
59,141 101.0 57,945 98.0
黒字申告割合 4 ポイント ポイント
35.9 0.1 35.1 ▲0.8
申告所得金額 5 億円 億円
16,644 112.0 18,092 108.7
黒字申告1件当たり所得金額 6 千円 千円
28,143 110.9 31,223 110.9
申告欠損金額 7 億円 億円
7,604 120.4 5,431 71.4
赤字申告1件当たり欠損金額 8 千円 千円
7,213 119.7 5,074 70.3

別表3:法人税の税額の状況

年度等 令和4 令和5
項目 金額 前年対比 金額 前年対比
申告税額 億円 億円
3,219 110.9 3,469 107.8

別表4:地方法人税の税額の状況

年度等 令和4 令和5
項目 金額 前年対比 金額 前年対比
申告税額 億円 億円
349 109.5 380 108.8

2 令和5事務年度における源泉所得税等の課税事績の概要

◆ 源泉所得税等の税額は前事務年度に比べ220億円の減少

  令和5事務年度における源泉所得税等の税額は5,265億円で、前事務年度に比べ220億円(4.0%)減少しました。
 主な所得についてみると、給与所得の税額は20億円(0.5%)増加し、配当所得の税額は295億円(36.8%)減少しています。

(注)
  • 1 令和5年7月1日から令和6年6月30日までに提出のあった徴収高計算書の税額及び税務署長が行った納税告知に係る税額を集計しています。
  • 2 平成25年1月1日以後生ずる所得に係る税額から、復興特別所得税が含まれています。

○ 源泉所得税等の税額の状況

  事務年度等 令和4 令和5
項目  税額 税額 増減 前年対比
給与所得 億円 億円 億円
4,308 4,328 20 100.5
退職所得 92 93 1 101.0
利子所得等 45 43 ▲2 96.8
配当所得 802 507 ▲295 63.2
特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等 68 123 55 180.3
報酬料金等所得 154 153 ▲1 99.5
非居住者等所得 16 18 2 110.1
合計 5,485 5,265 ▲220 96.0

○ 源泉所得税等の税額の推移

(参考計表)令和5事務年度における源泉所得税等の課税事績

別表1:源泉徴収義務者数の状況

区分 令和5年6月30日現在 令和6年6月30日現在
項目 義務者数 前年対比 義務者数 前年対比
給与所得 本店法人 1
137,314 100.3 137,701 100.3
支店法人 2 2,034 99.2 1,980 97.3
官公庁 3 1,277 100.4 1,217 95.3
個人 4 66,858 98.6 66,265 99.1
その他 5 10,398 100.2 10,440 100.4
6 217,881 99.7 217,603 99.9
利子所得等 7 2,182 97.8 2,165 99.2
配当所得 8 10,015 101.4 9,954 99.4
特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等 9 962 100.0 973 101.1
報酬料金等所得 10 158,508 100.0 157,381 99.3
非居住者等所得 11 526 113.6 538 102.3

別表2:源泉所得税等の税額の状況

区分 令和4 令和5
項目 税額 前年対比 税額 前年対比
給与所得 1 億円 億円
4,308 102.6 4,328 100.5
退職所得 2 92 88.1 93 101.0
利子所得等 3 45 89.7 43 96.8
配当所得 4 802 96.2 507 63.2
特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等 5 68 46.6 123 180.3
報酬料金等所得 6 154 102.6 153 99.5
非居住者等所得 7 16 121.9 18 110.1
合計 8 5,485 99.8 5,265 96.0

U 法人税等の調査事績

1 法人税・法人消費税等の調査事績の概要

(1) 法人税の調査事績の概要

令和5事務年度においては、資料情報等の分析・検討を行った結果、大口・悪質な不正計算が想定される法人など調査必要度が高い法人3,403件(前年対比97.1%)について実地調査を実施しました。
 このうち、法人税の非違があった法人は2,505件(同95.5%)、その申告漏れ所得金額は284億6百万円(同134.0%)、追徴税額は63億77百万円(同110.1%)となっています。

(注)

  1. 1 令和5事務年度の調査事績は、令和5年2月1日から令和6年1月31日までの間に事業年度が終了した法人を対象に、令和5年7月から令和6年6月までの間に実施した調査に係るものを集計しています。
  2. 2 追徴税額には、地方法人税及び加算税を含みます。

○ 法人税の実地調査の状況

事務年度等 令和4 令和5
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1
3,506 132.7 3,403 97.1
非違があった件数 2
2,624 138.0 2,505 95.5
    うち不正計算があった件数 3
714 145.7 732 102.5
申告漏れ所得金額 4 百万円 百万円
21,196 82.1 28,406 134.0
    うち不正所得金額 5 百万円 百万円
9,214 135.9 14,701 159.6
調査による追徴税額 6 百万円 百万円
5,799 126.2 6,377 110.1
    うち加算税額 7 百万円 百万円
955 131.0 1,152 120.7
不正発見割合(3/1) 8 ポイント ポイント
20.4 1.9 21.5 1.1
調査1件当たりの申告漏れ所得金額(4/1) 9 千円 千円
6,046 61.9 8,347 138.1
不正1件当たりの不正所得金額(5/3) 10 千円 千円
12,905 93.3 20,084 155.6
調査1件当たりの追徴税額(6/1) 11 千円 千円
1,654 95.1 1,874 113.4

(注)調査による追徴税額には地方法人税が含まれています。

(2) 法人消費税の調査事績の概要

令和5事務年度においては、法人消費税について、3,337件(前年対比96.7%)の実地調査を実施しました。
 このうち、消費税の非違があった法人は1,890件(同95.4%)、その追徴税額は45億36百万円(同134.8%)となっています。

○ 法人消費税の実地調査の状況 

事務年度等 令和4 令和5
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1
3,451 133.1 3,337 96.7
非違があった件数 2
1,981 131.6 1,890 95.4
    うち不正計算があった件数 3
608 144.8 632 103.9
調査による追徴税額 4 百万円 百万円
3,365 112.6 4,536 134.8
    うち不正計算に係る追徴税額 5 百万円 百万円
1,236 153.7 2,003 162.1
調査1件当たりの追徴税額(4/1) 6 千円 千円
975 84.6 1,359 139.4
不正1件当たりの追徴税額(5/3) 7 千円 千円
2,033 106.2 3,170 155.9

(注)調査による追徴税額には加算税及び地方消費税(譲渡割額)が含まれています。

2 源泉所得税等の調査事績の概要

  令和5事務年度においては、4,788件(前年対比97.5%)の源泉徴収義務者について実地調査を実施しました。
 このうち、源泉所得税等の非違があった源泉徴収義務者は1,334件(同92.8%)で、その追徴税額は19億円(同113.5%)となっています。

○ 源泉所得税等の実地調査の状況

事務年度等 令和4 令和5
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
源泉徴収義務者数(給与所得) 1
217,881 99.7 217,603 99.9
実地調査件数 2
4,911 137.4 4,788 97.5
非違があった件数 3
1,437 139.7 1,334 92.8
調査による追徴税額 4 百万円 百万円
1,697 197.8 1,927 113.5
調査1件当たりの追徴税額(4/2) 5 千円 千円
345 143.8 402 116.5

(注)調査による追徴税額には加算税及び復興特別所得税が含まれています。

3 参考資料

(1)不正発見割合の高い10業種(法人税)

順位 業種目 不正発見割合 不正1件当たりの不正所得金額(千円) 前年順位
1 自動車・自転車 34.6% 10,217
2 自動車修理 33.8% 2,651 6
3 土木工事 29.1% 13,335 3
4 廃棄物処理 28.8% 20,636 10
5 貨物自動車 26.8% 12,698
6 一般土木建築工事 26.0% 16,998 7
7 職別土木建築工事 24.5% 11,645 8
8 建築工事 24.1% 10,491 5
9 管工事 23.0% 3,307 1
10 電気・通信工事 19.5% 18,040

(2)不正1件当たりの不正所得金額の大きな10業種(法人税)

順位 業種目 不正1件当たりの不正所得金額(千円) 不正発見割合 前年順位
1 その他の設備工事 138,184 18.6%
2 一般機械器具 48,554 19.4% 2
3 建売・土地売買 43,751 22.5%
4 燃料 41,966 16.1%
5 情報サービス・興信所 41,706 15.2%
6 採石・砂・砂利採取 41,625 30.0%
7 その他の機械製造 36,503 33.3%
8 その他のサービス 29,787 20.6%
9 その他の小売 28,954 28.6%
10 その他の飲食 24,214 40.0%

V 主要な取組

1 消費税還付申告法人に対する取組
 〜 不正に還付申告を行っていた法人から1億27百万円を追徴 〜

  •  虚偽の申告により不正に消費税の還付金を得るケースが見受けられます。こうした不正還付等を行っていると認められる法人については、的確に選定し、厳正な調査を実施しています。
  •  令和5事務年度においては、消費税還付申告法人のうち、242件(前年対比92.7%)に対し実地調査を実施し、消費税9億48百万円(同95.4%)を追徴課税しました。また、そのうち41件(同117.1%)は不正に還付金額の水増しなどを行っており、1億27百万円(同32.6%)を追徴課税しました。

○ 消費税還付申告法人に対する消費税の実地調査の状況

事務年度等 令和4 令和5
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1
261 116.5 242 92.7
非違があった件数 2
140 87.0 151 107.9
    うち不正計算があった件数 3
35 74.5 41 117.1
調査による追徴税額 4 百万円 百万円
994 93.2 948 95.4
    うち不正計算に係る追徴税額 5 百万円 百万円
389 209.6 127 32.6
調査1件当たりの追徴税額(4/1) 6 千円 千円
3,809 80.0 3,919 102.9
不正1件当たりの追徴税額(5/3) 7 千円 千円
11,109 281.5 3,093 27.8

(注)調査による追徴税額には加算税及び地方消費税(譲渡割額)が含まれています。

2-1 海外取引法人等に対する取組(法人税)
 〜 海外取引等に係る申告漏れ所得10億86百万円を把握 〜

  •  企業等の事業、投資活動のグローバル化が進展する中で、海外取引を行っている法人の中には、海外の取引先への手数料を水増し計上するなどの不正計算を行うものが見受けられます。このような海外取引法人等に対しては、国外送金等調書や租税条約等に基づく情報交換制度を積極的に活用するなど、深度ある調査に取り組んでいます。
  •  令和5事務年度においては、海外取引法人等に対する実地調査を229件(前年対比70.9%)実施し、このうち、海外取引等に係る非違があったものを54件(同73.0%)、海外取引等に係る申告漏れ所得金額を10億86百万円(同104.5%)把握しました。

○ 海外取引法人等に対する実地調査の状況

事務年度等 令和4 令和5
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1
323 186.7 229 70.9
海外取引等に係る非違があった件数 2
74 132.1 54 73.0
    うち不正計算があった件数 3
7 233.3 4 57.1
海外取引等に係る申告漏れ所得金額 4 百万円 百万円
1,039 316.7 1,086 104.5
    うち不正所得金額 5 百万円 百万円
138 1,251.8 225 163.0

2-2 海外取引法人等に対する取組(源泉所得税等)
 〜 海外取引等に係る源泉徴収漏れ85百万円を追徴課税 〜

  •  経済の国際化に伴い、企業や個人による国境を越えた経済活動が複雑・多様化する中、国税庁では、非居住者や外国法人に対する支払(非居住者等所得)について、国外送金等調書をはじめとした資料情報等を活用し、源泉所得税等の観点から、重点的かつ深度ある調査を実施しています。
  •  令和5事務年度においては、非居住者や外国法人に対する科学技術等に関する人的役務提供事業の対価や工業所有権等の使用料等などの支払について源泉所得税等の課税漏れを23件(前年対比109.5%)把握し、85百万円(同566.6%)を追徴課税しました。

○ 海外取引等に係る源泉所得税等の実地調査の状況

事務年度等 令和4 令和5
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
非違があった件数 1
21 123.5 23 109.5
調査による追徴本税額 2 百万円 百万円
15 17.1 85 566.6

3 無申告法人に対する取組
 〜 無申告法人に対し11億48百万円を追徴課税 〜

  •  事業を行っているにもかかわらず申告をしていない法人を放置しておくことは、納税者の公平感を著しく損なうものであることから、国税庁では、登記情報等から法人を把握した上、無申告法人を的確に管理するとともに、こうした稼働無申告法人に対する調査に重点的に取り組んでいます。
  •  令和5事務年度においては、資料情報等の分析・検討を行った結果、事業を行っていると見込まれる無申告法人に対し実地調査を実施し、法人税2億3百万円(前年対比142.0%)、消費税9億45百万円(同281.3%)、合わせて11億48百万円(同239.7%)を追徴課税しました。
  •  このうち、稼働している実態を隠し、意図的に無申告であった法人に対し、法人税1億9百万円(同209.6%)、消費税6億33百万円(同719.3%)を追徴課税しました。

○ 無申告法人に対する実地調査の状況

事務年度等 令和4 令和5
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
法人税 実地調査件数 1
76 76.0 100 131.6
    うち不正計算があった件数 2
9 90.0 9 100.0
調査による追徴税額 3 百万円 百万円
143 50.6 203 142.0
    うち不正計算があった法人に係る追徴税額 4 百万円 百万円
52 52.1 109 209.6
消費税 実地調査件数 5
66 79.5 85 128.8
    うち不正計算があった件数 6
10 111.1 10 100.0
調査による追徴税額 7 百万円 百万円
336 43.7 945 281.3
    うち不正計算があった法人に係る追徴税額 8 百万円 百万円
88 132.8 633 719.3
調査による追徴税額合計 9 百万円 百万円
479 45.6 1,148 239.7
    うち不正計算があった法人に係る追徴税額 10 百万円 百万円
140 84.8 742 530.0

(注) 調査による追徴税額には加算税、地方法人税又は地方消費税(譲渡割額)が含まれています。