令和3年11月
仙台国税局

T 令和2事務年度における法人税、地方法人税、源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の申告(課税)事績

1 令和2年度における法人税等の申告事績の概要

◆ 申告所得金額の総額は1兆4,366億円

  令和2年度における法人税の申告件数は16万3,399件で、その申告所得金額の総額は過去最高の1兆4,366億円、申告税額の総額は2,840億円となり、前年度に比べ、それぞれ1,206億円(9.2%)、270億円(10.5%)増加しています。

(注)

  1. 1 令和2年4月1日から令和3年3月31日までに終了した事業年度に係る申告について、令和3年7月31日までに申告があったものを令和3年8月末現在で取りまとめています。
  2. 2 令和2年3月31日までに終了した事業年度に係る申告のうち、災害等による申告の期限延長により、本年度の集計対象期間中(令和2年8月1日から令和3年7月31日まで)に申告があったものも含まれています。

○ 法人税の申告件数等の状況

年度等 令和元 令和2
項目 件数等 件数等 増減 前年対比
申告件数
161,833 163,399 1,566 101.0
申告所得金額 億円 億円 億円
13,160 14,366 1,206 109.2
申告税額 億円 億円 億円
2,570 2,840 270 110.5

○ 申告所得金額の推移

(参考計表)令和2年度における法人税等の申告事績

別表1:法人数の状況

区分 令和2年6月30日現在 令和3年6月30日現在
項目 件数 前年対比 件数 前年対比
法人数 法人 法人
167,501 99.5 168,213 100.4

(注)清算中法人については、集計対象から除外しています。

別表2:法人税の申告の状況

年度等 令和元 令和2
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
申告件数 1
161,833 99.6 163,399 101.0
申告割合 2 ポイント ポイント
94.0 0.5 93.9 ▲0.1
黒字申告件数 3
57,571 98.6 58,255 101.2
黒字申告割合 4 ポイント ポイント
35.6 ▲0.3 35.7 0.1
申告所得金額 5 億円 億円
13,160 98.5 14,366 109.2
黒字申告1件当たり所得金額 6 千円 千円
22,859 99.9 24,661 107.9
申告欠損金額 7 億円 億円
4,869 105.9 6,085 125.0
赤字申告1件当たり欠損金額 8 千円 千円
4,670 105.8 5,787 123.9

別表3:法人税の税額の状況

年度等 令和元 令和2
項目 金額 前年対比 金額 前年対比
申告税額 億円 億円
2,570 99.3 2,840 110.5

別表4:地方法人税の税額の状況

年度等 令和元 令和2
項目 金額 前年対比 金額 前年対比
申告税額 億円 億円
121 99.7 271 225.0

2 令和2事務年度における源泉所得税等の課税事績の概要

◆ 源泉所得税等の税額は前事務年度に比べ50億円の減少

  令和2事務年度における源泉所得税等の税額は5,070億円で、前事務年度に比べ 50億円(1.0%)減少しました。
 主な所得についてみると、給与所得の税額は45億円(1.1%)減少し、配当所得の税額は58億円(9.4%)減少しています。

(注)
  • 1 令和2年7月1日から令和3年6月30日までに提出のあった徴収高計算書の税額及び税務署長が行った納税告知に係る税額を集計しています。
  • 2 平成25年1月1日以後生ずる所得に係る税額から、復興特別所得税が含まれています。

○ 源泉所得税等の税額の状況

  事務年度等 令和元 令和2
項目  税額 税額 増減額 前年対比
給与所得 億円 億円 億円
4,157 4,112 ▲45 98.9
退職所得 81 91 10 112.6
利子所得等 48 53 5 111.1
配当所得 622 564 ▲58 90.6
特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等 49 90 41 183.2
報酬料金等所得 148 144 ▲4 97.0
非居住者等所得 15 16 1 105.3
合計 5,120 5,070 ▲50 99.0

○ 源泉所得税等の税額の推移

(参考計表)令和2事務年度における源泉所得税等の課税事績

別表1:源泉徴収義務者数の状況

区分 令和2年6月30日現在 令和3年6月30日現在
項目 義務者数 前年対比 義務者数 前年対比
給与所得 本店法人 1
136,237 100.7 136,625 100.3
支店法人 2 2,121 99.9 2,081 98.1
官公庁 3 1,368 101.9 1,272 93.0
個人 4 70,577 100.2 69,536 98.5
その他 5 10,467 100.5 10,426 99.6
6 220,770 100.5 219,940 99.6
利子所得等 7 2,479 94.0 2,303 92.9
配当所得 8 9,754 98.3 9,725 99.7
特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等 9 983 90.2 974 99.1
報酬料金等所得 10 159,635 99.3 158,739 99.4
非居住者等所得 11 541 90.8 466 86.1

別表2:源泉所得税等の税額の状況

区分 令和元 令和2
項目 税額 前年対比 税額 前年対比
給与所得 1 億円 億円
4,157 100.2 4,112 98.9
退職所得 2 81 92.3 91 112.6
利子所得等 3 48 63.3 53 111.1
配当所得 4 622 96.2 564 90.6
特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等 5 49 81.9 90 183.2
報酬料金等所得 6 148 94.4 144 97.0
非居住者等所得 7 15 116.4 16 105.3
合計 8 5,120 98.6 5,070 99.0

U 令和2事務年度における法人税等の調査事績

1 令和2事務年度における法人税・法人消費税等の調査事績の概要

(1) 法人税の調査事績の概要

令和2事務年度においては、資料情報等の分析・検討を行った結果、大口・悪質な不正計算が想定される法人など調査必要度が高い法人900件(前年対比23.8%)について実地調査を実施しました。
 このうち、法人税の非違があった法人は743件(同26.7%)、その申告漏れ所得金額は132億55百万円(同48.1%)、追徴税額は27億68百万円(同46.5%)となっています。

(注)

  1. 1 令和2事務年度の調査事績は、令和2年2月1日から令和3年1月31日までの間に事業年度が終了した法人を対象に、令和2年7月から令和3年6月までの間に実施した調査に係るものを集計しています。
  2. 2 追徴税額には、地方法人税及び加算税を含みます。

○ 法人税の実地調査の状況

事務年度等 令和元 令和2
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1
3,786 75.9 900 23.8
非違があった件数 2
2,779 75.4 743 26.7
    うち不正計算があった件数 3
767 81.0 237 30.9
申告漏れ所得金額 4 百万円 百万円
27,579 89.5 13,255 48.1
    うち不正所得金額 5 百万円 百万円
11,356 79.5 5,554 48.9
調査による追徴税額 6 百万円 百万円
5,958 80.7 2,768 46.5
    うち加算税額 7 百万円 百万円
1,059 79.3 414 39.1
不正発見割合(3/1) 8 ポイント ポイント
20.3 1.3 26.3 6.0
調査1件当たりの申告漏れ所得金額(4/1) 9 千円 千円
7,284 117.8 14,727 202.2
不正1件当たりの不正所得金額(5/3) 10 千円 千円
14,806 98.2 23,433 158.3
調査1件当たりの追徴税額(6/1) 11 千円 千円
1,574 106.2 3,075 195.4

(注)調査による追徴税額には地方法人税が含まれています。

(2) 法人消費税の調査事績の概要

令和2事務年度においては、法人消費税について、892件(前年対比24.4%)の実地調査を実施しました。
 このうち、消費税の非違があった法人は631件(同29.0%)、その追徴税額は11億59百万円(同52.8%)となっています。

○ 法人消費税の実地調査の状況 

事務年度等 令和元 令和2
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1
3,655 76.1 892 24.4
非違があった件数 2
2,177 77.9 631 29.0
    うち不正計算があった件数 3
632 85.2 199 31.5
調査による追徴税額 4 百万円 百万円
2,194 73.9 1,159 52.8
    うち不正計算に係る追徴税額 5 百万円 百万円
990 118.2 306 30.9
調査1件当たりの追徴税額(4/1) 6 千円 千円
600 97.2 1,300 216.7
不正1件当たりの追徴税額(5/3) 7 千円 千円
1,566 138.8 1,538 98.2

(注)調査による追徴税額には加算税及び地方消費税(譲渡割額)が含まれています。

2 源泉所得税等の調査事績の概要

  令和2事務年度においては、1,238件(前年対比23.6%)の源泉徴収義務者について実地調査を実施しました。
 このうち、源泉所得税等の非違があった源泉徴収義務者は363件(同24.5%)で、その追徴税額は7億34百万円(同54.1%)となっています。

○ 源泉所得税等の実地調査の状況

事務年度等 令和元 令和2
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
源泉徴収義務者数(給与所得) 1
220,770 100.5 219,940 99.6
実地調査件数 2
5,256 73.6 1,238 23.6
非違があった件数 3
1,484 78.4 363 24.5
調査による追徴税額 4 百万円 百万円
1,358 87.1 734 54.1
調査1件当たりの追徴税額(4/2) 5 千円 千円
258 118.4 593 229.8

(注)調査による追徴税額には加算税及び復興特別所得税が含まれています。

3 参考資料

(1)不正発見割合の高い10業種(法人税)

順位 業種目 不正発見割合 不正1件当たりの不正所得金額(千円) 前年順位
1 貨物自動車運送 46.4% 15,836 6
2 建売、土地売買 41.7% 16,631 7
3 自動車、自転車小売 36.7% 7,030
4 職別土木建築工事 36.5% 10,174 5
5 その他の対事業所サービス 35.3% 12,848
6 一般土木建築工事 34.1% 70,612 10
7 管工事 31.0% 15,069
8 建築工事 29.6% 4,692
9 土木工事 27.4% 10,109
10 土木建築サービス 26.1% 8,060

(2)不正1件当たりの不正所得金額の大きな10業種(法人税)

順位 業種目 不正1件当たりの不正所得金額(千円) 不正発見割合 前年順位
1 一般土木建築工事 70,612 34.1%
2 電気・通信工事 18,413 20.7%
3 建売、土地売買 16,631 41.7%
4 貨物自動車運送 15,836 46.4%
5 管工事 15,069 31.0% 8
6 その他の対事業所サービス 12,848 35.3%
7 職別土木建築工事 10,174 36.5%
8 土木工事 10,109 27.4%
9 土木建築サービス 8,060 26.1% 6
10 自動車、自転車小売 7,030 36.7%

V 主要な取組

1 消費税還付申告法人に対する取組
 〜 不正に還付申告を行っていた法人から52百万円を追徴 〜

  •  虚偽の申告により不正に消費税の還付金を得るケースが見受けられます。こうした不正還付等を行っていると認められる法人については、的確に選定し、厳正な調査を実施しています。
  •  令和2事務年度においては、消費税還付申告法人のうち、72件(前年対比25.9%)に対し実地調査を実施し、消費税2億19百万円(同78.9%)を追徴課税しました。また、そのうち17件(同58.6%)は不正に還付金額の水増しなどを行っており、52百万円(同45.1%)を追徴課税しました。

○ 消費税還付申告法人に対する消費税の実地調査の状況

事務年度等 令和元 令和2
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1
278 91.7 72 25.9
非違があった件数 2
147 84.5 51 34.7
    うち不正計算があった件数 3
29 67.4 17 58.6
調査による追徴税額 4 百万円 百万円
278 102.2 219 78.9
    うち不正計算に係る追徴税額 5 百万円 百万円
114 165.1 52 45.1
調査1件当たりの追徴税額(4/1) 6 千円 千円
1,000 111.4 3,045 304.5
不正1件当たりの追徴税額(5/3) 7 千円 千円
3,948 244.9 3,037 76.9

(注)調査による追徴税額には加算税及び地方消費税(譲渡割額)が含まれています。

2-1 海外取引法人等に対する取組(法人税)
 〜 海外取引等に係る調査で18億23百万円の申告漏れを把握 〜

  •  企業等の事業、投資活動のグローバル化が進展する中で、海外取引を行っている法人の中には、海外の取引先への手数料を水増し計上するなどの不正計算を行うものが見受けられます。このような海外取引法人等に対しては、国外送金等調書や租税条約等に基づく情報交換制度を積極的に活用するなど、深度ある調査に取り組んでいます。
  •  令和2事務年度においては、海外取引法人等に対する実地調査を94件(前年対比27.6%)実施し、このうち、海外取引等に係る非違があったものを、26件(同25.2%)、海外取引等に係る申告漏れ所得金額を18億23百万円(同42.3%)把握しました。

○ 海外取引法人等に対する実地調査の状況

事務年度等 令和元 令和2
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1
341 79.7 94 27.6
海外取引等に係る非違があった件数 2
103 72.5 26 25.2
    うち不正計算があった件数 3
11 73.3 5 45.5
海外取引等に係る申告漏れ所得金額 4 百万円 百万円
4,311 208.9 1,823 42.3
    うち不正所得金額 5 百万円 百万円
696 81.9 51 7.3

2-2 海外取引法人等に対する取組(源泉所得税等)
 〜 海外取引等に係る源泉所得税等で14百万円を追徴 〜

  •  経済の国際化に伴い、企業や個人による国境を越えた経済活動が複雑・多様化する中、国税庁では、非居住者や外国法人に対する支払(非居住者等所得)について、国外送金等調書をはじめとした資料情報等を活用し、源泉所得税等の観点から、重点的かつ深度ある調査を実施しています。
  •  令和2事務年度においては、非居住者や外国法人に対する科学技術等に関する人的役務提供事業の対価や工業所有権等の使用料等などの支払について源泉所得税等の課税漏れを11件(前年対比57.9%)把握し、14百万円(同6.0%)を追徴課税しました。

○ 海外取引等に係る源泉所得税等の実地調査の状況

事務年度等 令和元 令和2
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
非違があった件数 1
19 61.3 11 57.9
調査による追徴本税額 2 百万円 百万円
229 183.1 14 6.0

3 無申告法人に対する取組
 〜 無申告法人から3億77百万円を追徴 〜

  •  事業を行っているにもかかわらず申告をしていない法人を放置しておくことは、納税者の公平感を著しく損なうものであることから、国税庁では、登記情報等から法人を把握した上、無申告法人を的確に管理するとともに、こうした稼働無申告法人に対する調査に重点的に取り組んでいます。
  •  令和2事務年度においては、資料情報等の分析・検討を行った結果、事業を行っていると見込まれる無申告法人に対し実地調査を実施し、法人税84百万円(前年対比37.7%)、消費税2億93百万円(同134.6%)、合わせて3億77百万円(同85.5%)を追徴課税しました。
  •  このうち、稼働している実態を隠し、意図的に無申告であった法人に対し、法人税39百万円(同25.7%)、消費税38百万円(同80.5%)を追徴課税しました。

○ 無申告法人に対する実地調査の状況

事務年度等 令和元 令和2
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
法人税 実地調査件数 1
110 56.7 80 72.7
    うち不正計算があった件数 2
14 63.6 5 35.7
調査による追徴税額 3 百万円 百万円
223 51.3 84 37.7
    うち不正計算があった法人に係る追徴税額 4 百万円 百万円
152 93.3 39 25.7
消費税 実地調査件数 5
81 54.4 77 95.1
    うち不正計算があった件数 6
9 56.3 5 55.6
調査による追徴税額 7 百万円 百万円
218 54.3 293 134.6
    うち不正計算があった法人に係る追徴税額 8 百万円 百万円
47 99.9 38 80.5
調査による追徴税額合計 9 百万円 百万円
441 52.8 377 85.5
    うち不正計算があった法人に係る追徴税額 10 百万円 百万円
199 94.8 77 38.7

(注) 調査による追徴税額には加算税、地方法人税及び地方消費税(譲渡割額)が含まれています。