1 富裕層に対する調査状況
〜1件当たりの申告漏れ所得金額は1,980万円で過去最高〜

● 有価証券・不動産等の大口所有者、経常的な所得が特に高額な個人、海外投資等を積極的に行っている個人など、「富裕層」に対して、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に積極的に調査を実施しています。

  • 令和2事務年度においては、70件(前事務年度152件)実地調査(特別・一般)を実施しました。
  • 1件当たりの申告漏れ所得金額は、1,980万円(同788万円)となっており、所得税の実地調査(特別・一般)全体の1,204万円(同919万円)に比べ1.6倍となっています。また、申告漏れ所得金額の総額は13億8千6百万円(同11億9千8百万円)に上ります。
  • 1件当たりの追徴税額は443万円(同285万円)で、所得税の実地調査(特別・一般)全体の205万円(同174万円)に比べ2.2倍となっています。また、追徴税額の総額は3億1千万円(同4億3千3百万円)に上ります。
  • 特に、海外投資等を行っている「富裕層」に対しては、1件当たりの追徴税額は1,541万円(同567万円)で、所得税の実地調査(特別・一般)全体の205万円に比べ7.5倍と高額となっています。

〇 富裕層に対する調査の状況

事務年度等 元事務年度 2事務年度     2事務年度 実地調査
(特別・一般)全体
項目 対前年比
調査件数 152 70 46.1% 640
申告漏れ等の非違件数 123 63 51.2% 584
申告漏れ所得金額 百万円 1,198 1,386 115.7% 7,705
追徴税額 百万円 433 310 71.6% 1,314
一件当たり 申告漏れ所得金額 万円 788 1,980 251.3% 1,204
追徴税額 万円 285 443 155.4% 205

〇 海外投資等をした「富裕層」に対する調査の状況

事務年度等 元事務年度 2事務年度     2事務年度 実施調査
(特別・一般)全体
項目 対前年比
調査件数 10 5 50.0% 640
申告漏れ等の非違件数 8 5 62.5% 584
申告漏れ所得金額 百万円 166 154 92.8% 7,705
追徴税額 百万円 57 77 135.1% 1,314
一件当たり 申告漏れ所得金額 万円 1,657 3,080 185.9% 1,204
追徴税額 万円 567 1,541 271.8% 205

2 海外投資等を行っている個人に対する調査状況

〜「富裕層」のみならず、1件当たりの追徴税額は高水準〜

●  経済社会の国際化に適切に対応していくため、有効な資料情報の収集に努めるとともに、海外投資を行っている個人や海外資産を保有している個人などに対して、国外送金等調書、国外財産調書、租税条約等に基づく情報交換制度のほか、CRS情報(共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報)などを効果的に活用し、積極的に調査を実施しています。

  • 令和2事務年度においては、33件(前事務年度66件)実地調査(特別・一般)を実施しました。
  • 1件当たりの申告漏れ所得金額は、1,396万円(同1,558万円)となっており、所得税の実地調査(特別・一般)全体の1,204万円(同919万円)と比べ1.2倍となっています。また、申告漏れ所得金額の総額は4億6千1百万円(同10億2千8百万円)に上ります。
  • 1件当たりの追徴税額は425万円(同255万円)で、所得税の実地調査(特別・一般)全体の205万円(同174万円)と比べ2.1倍となっています。また、追徴税額の総額は1億4千万円(同1億6千8百万円)に上ります。

〇 海外投資等を行っている個人に対する調査状況

事務年度等 元事務年度 2事務年度     2事務年度 実地調査
(特別・一般)全体
項目 対前年比
調査件数 66 33 50.0% 640
申告漏れ等の非違件数 59 32 54.2% 584
申告漏れ所得金額 百万円 1,028 461 44.8% 7,705
追徴税額 百万円 168 140 83.3% 1,314
一件当たり 申告漏れ所得金額 万円 1,558 1,396 89.6% 1,204
追徴税額 万円 255 425 166.7% 205

〇 取引区分別の調査状況

令和元事務年度の海外取引を行っている個人の取引区分別の調査状況を表したグラフ

(注)()の数値は構成比

  1. 1「輸 出 入」:事業に係る売上及び原価に係る取引で、海外の輸出(入)業者との契約による取引をいう。
  2. 2「役務提供」:工事請負、プログラム設計など海外において行う、労力、技術等の第三者に対するサービスの提供をいう。
  3. 3「海外投資」:海外の不動産、証券などに対する投資(預貯金等の海外での蓄財を含む。)をいう。
  4. 4「その他」:海外で支払を受ける給与など、1〜3に該当しない取引等をいう。

【1件当たりの申告漏れ所得金額】

令和元事務年度の海外取引を行っている個人の実地調査(特別・一般)の全体の申告漏れ所得金額、一件当たりの申告漏れ所得金額及び取引区分ごとの申告漏れ所得金額を表したグラフ

3 シェアリングエコノミー等新分野の経済活動に係る取引を行っている個人に対する調査状況

〜新たな分野の経済活動も的確に申告漏れを把握〜

● インターネット上のプラットフォームを介して行うシェアリングエコノミー等新分野の経済活動(注)に係る取引を行っている個人に対しては、資料情報の収集・分析に努め、積極的に調査を実施しています。

  • 令和2事務年度においては、40件(前事務年度55件)実地調査(特別・一般)を実施しました。
  • 1件当たりの申告漏れ所得金額は、1,642万円(同1,176万円)となっており、所得税の実地調査(特別・一般)全体の1,204万円(同919万円)に比べ1.4倍となっています。また、申告漏れ所得金額の総額は6億5千7百万円(同6億4千7百万円)に上ります。
  • 1件当たりの追徴税額は365万円(同224万円)で、所得税の実地調査(特別・一般)全体の205万円(同174万円)に比べ1.8倍となっています。また、追徴税額の総額は1億4千6百万円(同1億2千3百万円)に上ります。

(注)
シェアリングエコノミー等新分野の経済活動とは、シェアリングビジネス・サービス、暗号資産(仮想通貨)取引、ネット広告(アフィリエイト等)、デジタルコンテンツ、ネット通販、ネットオークションその他新たな経済活動を総称した経済活動のことをいいます。

〇 シェアリングエコノミー等新分野の経済活動に係る取引を行っている個人に対する調査状況

事務年度等 元事務年度 2事務年度     2事務年度 実地調査
(特別・一般)全体
項目 対前年比
調査件数 55 40 72.7% 640
申告漏れ等の非違件数 46 35 76.1% 584
申告漏れ所得金額 百万円 647 657 101.5% 7,705
追徴税額 百万円 123 146 118.7% 1,314
一件当たり 申告漏れ所得金額 万円 1,176 1,642 139.6% 1,204
追徴税額 万円 224 365 162.9% 205

〇 取引区分別の調査状況

令和元事務年度の海外取引を行っている個人の取引区分別の調査状況を表したグラフ

【1件当たりの申告漏れ所得金額】

令和元事務年度の海外取引を行っている個人の実地調査(特別・一般)の全体の申告漏れ所得金額、一件当たりの申告漏れ所得金額及び取引区分ごとの申告漏れ所得金額を表したグラフ

4 無申告者に対する調査状況

〜所得税及び消費税ともに1件当たりの追徴税額は高水準〜

● 無申告は、申告納税制度の下で自発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすこととなるため、的確かつ厳格に対応していく必要があります。こうした無申告者に対しては、更なる資料情報の収集及び活用を図るなどして、実地調査のみならず、簡易な接触も活用し積極的に調査を実施しています。

<所得税無申告者に対する調査状況>

  • 令和2事務年度においては、96件(前事務年度246件)実地調査(特別・一般)を実施しました。
  • 1件当たりの申告漏れ所得金額は、2,168万円(同1,759万円)で、所得税の実地調査(特別・一般)全体の1,204万円(同919万円)に比べ1.8倍となっています。また、申告漏れ所得金額の総額は20億8千2百万円(同43億2千6百万円)に上ります。
  • 1件当たりの追徴税額は322万円(同236万円)で、所得税の実地調査(特別・一般)全体の205万円(同174万円)の1.6倍となっています。また、追徴税額の総額は3億9百万円(同5億8千2百万円)に上ります。

<消費税無申告者に対する調査状況>

  • 令和2事務年度においては、129件(同352件)実地調査(特別・一般)を実施しました。
  • 1件当たりの追徴税額は158万円(同159万円)で、消費税の実地調査(特別・一般)全体の92万円(同98万円)の1.7倍となっています。また、追徴税額の総額は2億4百万円(同5億5千9百万円)に上ります。

〇 無申告者に対する調査状況

<所得税>

事務年度等 元事務年度 2事務年度     2事務年度 実地調査
(特別・一般)全体
項目 対前年比
調査件数 246 96 39.0% 640
申告漏れ所得金額 百万円 4,326 2,082 48.1% 7,705
追徴税額 百万円 582 309 53.1% 1,314
一件当たり 申告漏れ所得金額 万円 1,759 2,168 123.3% 1,204
追徴税額 万円 236 322 136.4% 205

<消費税>

事務年度等 元事務年度 2事務年度     2事務年度 実地調査
(特別・一般)全体
項目 対前年比
調査件数 352 129 36.6% 340
追徴税額 百万円 559 204 36.5% 313
1件当たり追徴税額 万円 159 158 99.4% 92