平成20年10月
札幌国税局

所得税及び個人事業者の消費税について、申告所得金額及び税額が過少であったり申告義務があるにもかかわらず申告していないなど何らかの非違等があると想定される者を対象として、平成19事務年度(平成19年7月から平成20年6月までの間)に行った調査等の結果は次のとおりである。

1 所得税

  1. (1) 調査等件数及び申告漏れ等の非違があった件数の状況
     所得税の調査等については、高額・悪質な不正計算が見込まれるものを対象に深度ある調査(特別調査・一般調査)を優先して実施する一方、資料情報や事業実態の解明を通じて申告漏れ所得等の把握を短期間で行う調 査(着眼調査)を実施し、効果的・効率的な実施に努めた。
     その結果、特別調査・一般調査を行ったものは2,466件(前事務年度2,779件)、着眼調査を行ったものは7,048件(前事務年度6,316件)である。
     また、計算誤りや所得(税額)控除の適用誤りがあるものなどの是正等を行う接触(以下「簡易な接触」という。)は、9,473件(前事務年度10,681件)である。
     これらの調査等の合計件数は18,987件(前事務年度19,776件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は14,669件(前事務年度15,334件)である。
  2. (2) 申告漏れ所得金額の状況
     申告漏れ所得金額(調査等の対象となったすべての年分の合計)は312億3百万円(前事務年度264億8百万円)であり、このうち特別調査・一般調査によるものは186億9千6百万円(前事務年度159億9千4百万円)、着眼調査に よるものは115億1千2百万円(前事務年度98億3千4百万円)、簡易な接触によるものは9億9千5百万円(前事務年度5億8千万円)である。
  3. (3) 追徴税額の状況
     追徴税額は加算税を含め43億1千1百万円(前事務年度32億1千3百万円)である。

2 所得税(譲渡所得調査等分)

  1. (1) 調査等件数及び申告漏れ等の非違があった件数の状況
     所得税(譲渡所得調査等分)については、あらゆる機会を利用して収集した各種資料情報を活用し、申告のないもの又は申告額が過少であると認められるものを対象に、高額あるいは悪質と見込まれるものを優先して調 査等を実施した。
     その結果、平成19事務年度の調査等の件数は、3,103件(前事務年度2,966件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は、1,847件(前事務年度1,861件)である。
  2. (2) 申告漏れ所得金額の状況
     申告漏れ所得金額(調査等の対象となったすべての年分の合計)は、65億2百万円(前事務年度63億8千5百万円)である。

3 消費税(個人事業者)

  1. (1) 調査等件数及び申告漏れ等非違があった件数の状況
     消費税(個人事業者)については、所得税調査と同時に行っているところであり、その結果、特別調査・一般調査を行ったものは1,451件(前事務年度1,637件)、着眼調査を行ったものは1,709件(前事務年度1,680件)、簡 易な接触を行ったものは167件(前事務年度263件)である。
     これらの調査等の合計件数は3,327件(前事務年度3,580件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は2,613件(前事務年度2,724件)である。
  2. (2) 追徴税額の状況
     追徴税額は加算税を含め8億2千1百万円(前事務年度7億2百万円)である。

平成19事務年度 所得税及び消費税調査等の状況

1 所得税
項目 実地調査 簡易な接触 調査等合計 譲渡所得
調査等
特別・一般 着眼
1 調査等件数 2,779
2,466
6,316
7,048
9,095
9,514
10,681
9,473
19,776
18,987
2,966
3,103
2 申告漏れ(非違)
のあった件数
2,373
2,143
4,776
5,237
7,149
7,380
8,185
7,289
15,334
14,669
1,861
1,847
3 申告漏れ
所得金額
百万円 15,994
18,696
9,834
11,512
25,828
30,208
580
995
26,408
31,203
6,385
6,502
4 追徴税額 本税 百万円 2,176
3,014
453
514
2,630
3,528
119
140
2,748
3,668
-
5 加算税 百万円 407
577
47
53
454
630
11
14
465
643
-
6 百万円 2,583
3,591
500
566
3,083
4,157
130
153
3,213
4,311
-
7 一件当たり 申告漏れ
所得金額
万円 576
758
156
163
284
318
5
11
134
164
215
210
8 追徴税額 本税 万円 78
122
7
7
29
37
1
1
14
19
-
9 加算税 万円 15
23
1
1
5
7
0
0
2
3
-
10 万円 93
146
8
8
34
44
1
2
16
23
-

(注)

  1. 1 平成19年7月から平成20年6月までの間の実績で、いずれも調査等の対象となったすべての年分の合計の計数である。
  2. 2 上段は、前事務年度の計数である。
2 消費税(個人事業者)
項目 実地調査 簡易な接触 調査等合計
特別・一般 着眼
1 調査等件数 1,637
1,451
1,680
1,709
3,317
3,160
263
167
3,580
3,327
2 申告漏れ(非違)
のあった件数
1,221
1,166
1,383
1,369
2,604
2,535
120
78
2,724
2,613
3 追徴税額 本税 百万円 346
436
252
277
598
713
9
-1
607
712
4 加算税 百万円 61
75
33
34
94
109
1
0
95
109
5 百万円 407
511
286
311
692
822
10
-1
702
821
6 一件当たり 追徴税額 本税 万円 21
30
15
16
18
23
4
-1
17
21
7 加算税 万円 4
5
2
2
3
3
0
0
3
3
8 万円 25
35
17
18
21
26
4
-1
20
25

(注)

  1. 1 平成19年7月から平成20年6月までの間の実績で、いずれも調査等の対象となったすべての年分の合計の計数である。
  2. 2 消費税の追徴税額には、地方消費税(譲渡割額)を含む。
  3. 3 上段は、前事務年度の計数である。

(参考)

1件当たりの事業所得の申告漏れ所得金額が高額な上位10業種

順位 業種目 1件当たりの
申告漏れ
所得金額
(万円)
1件当たりの
追徴税額
(含加算税)
(万円)
直近年分の
申告
漏れ割合
(%)
前年の順位
1 弁護士 1,660 464 24.9
2 畑作物農業 1,572 584 21.1 5
3 畜産業 1,064 107 21.5 2
4 酒場 598 105 53.2 9
5 電気配線工事 509 48 37.8
6 美容 493 38 53.3 8
7 建築工事 445 49 41.9 13
8 スタンドバー 436 40 59.1 4
9 一般土木建築工事 362 37 32.5
10 米作農業 357 42 18.6 12

(注)

  1. 1 「直近の年分に係る申告漏れ割合」は、
    申告漏れ所得割合=申告漏れ所得÷(調査前所得+申告漏れ所得)で算出している。
  2. 2 「前年の順位」は、前年の1件当たりの事業所得の申告漏れ所得金額が高額な上位20位に該当するものについて、その順位を記載している。

(参考)

平成19事務年度 譲渡所得の調査等事績

項目 平成18事務年度 平成19事務年度 対前事務年度
1
調査等件数
2,966
3,103
104.6
  土地建物等 1,750 2,003 114.5
株式等 1,216 1,100 90.5
2
申告漏れ(非違)の
あった件数
1,861
1,847
99.2
  土地建物等 1,083 1,064 98.2
株式等 778 783 100.6
3
申告漏れ割合
(2/1)
62.7
59.5
ポイント
-3.2
  土地建物等 61.9 53.1 -8.8
株式等 64.0 71.2 +7.2
4
申告漏れ所得金額
百万円
6,385
百万円
6,502
101.8
  土地建物等 4,008 4,159 103.8
株式等 2,377 2,343 98.6
5
調査1件当たり
申告漏れ所得金額
(4/1)
万円
215
万円
210
97.7
  土地建物等 229 208 90.8
株式等 195 213 109.2

(注) 土地建物等には、総合譲渡所得の調査分を含む。