平成20年4月
札幌国税局

平成19酒造年度(平成19年7月〜平成20年6月)新酒鑑評会結果

1 概要

 札幌国税局は、この冬に造られた出品酒の評価により清酒の製造技術を競う「新酒鑑評会」を開催しました。
 新酒鑑評会には道内12の清酒製造場から114点の新酒等が出品され、品質評価員26人により評価しました。
 その結果、道産米吟醸酒の部では4製造場の出品酒7点が、吟醸酒の部では4製造場の出品酒10点が金賞を受賞しました。

出品区分 入賞状況 出品状況
場数 入賞酒数 場数 出品数※2
道産米吟醸酒の部

4

7 10 44
吟醸酒の部

4

10 11 53
純米酒の部※1

8 14
新製品の部※1

2 3
※1 純米酒の部及び新製品の部については、試行中のため賞の授与を行わない。
※2 出品場数と出品数が合わないのは、1製造場が道産米吟醸酒の部及び吟醸酒の部は5点、純米酒の部については4点、新製品の部については3点まで出品できるためである。

 金賞を受賞したのは、以下の製造場です。

出品区分 税務署 製造場名 銘柄
道産米
吟醸酒の部
札幌中 日本清酒株式会社 札幌酒造工場 雪原の舞(せつげんのまい) 千歳鶴(ちとせつる)
小樽 曲イ(かねい)田中酒造株式会社 宝川(たからがわ)
旭川中 高砂酒造株式会社 大雪(たいせつ)
合同酒精株式会社 旭川工場 大雪乃蔵(たいせつのくら) 絹雪(きぬゆき)
吟醸酒の部 札幌中 日本清酒株式会社 札幌酒造工場 吉翔(きっしょう) 千歳鶴(ちとせつる)
小樽 曲イ(かねい)田中酒造株式会社 宝川(たからがわ)
旭川中 合同酒精株式会社 旭川工場 大雪乃蔵(たいせつのくら) 鳳雪(ほうせつ)
旭川東 男山株式会社 男山(おとこやま)

2 新酒鑑評会の目的

 平成19酒造年度(平成19年7月〜平成20年6月)に製造された清酒等の品質評価を行い、併せてその結果に基づき優秀な酒造技術を有すると認められる製造者を顕彰することにより、酒造技術の進歩・発展を促し、その結果市販清酒等の品質向上を図り、酒類業の発達に資することを目的としています。

3 出品区分

 出品区分は、道産米吟醸酒の部及び吟醸酒の部としました。
 なお、酒造技術の幅広い向上を図るため試行的に純米酒の部及び新製品の部を設け、計4区分としました。

(1) 道産米吟醸酒の部
 清酒の製法品質表示基準に基づき吟醸酒と表示できるもののうち、北海道産米を100%使用して製造したもの。
(2) 吟醸酒の部
 清酒の製法品質表示基準に基づき吟醸酒と表示できるもの(上記(1)に該当する吟醸酒を含む。)。
(3) 純米酒の部
 清酒の製法品質表示基準に基づき純米酒と表示できるもので精米歩合が50%を超えるもの。なお、純米酒の品質の多様性を損なわずに的確な評価を行うため、試行的に次の4つに細区分した。
  1. イ 精米歩合50%を超え60%以下で酸度が1.8未満のもの
  2. ロ 精米歩合50%を超え60%以下で酸度が1.8以上のもの
  3. ハ 精米歩合60%を超え酸度が1.8未満のもの
  4. ニ 精米歩合60%を超え酸度が1.8以上のもの
(4) 新製品の部
 平成18酒造年度以降に商品化した、あるいは今後商品化を予定としているもの。
 なお、自己の製造場で製成した酒類(品目は不問)で、米、米麹又は酒粕を原料の一部に使用しているものとした。

4 品質評価月日

 平成20年3月24日(月)〜3月25日(火)

5 品質評価場所

 札幌国税局 鑑定官室

6 品質評価員

 品質評価は、酒造技術指導機関職員及び清酒製造場製造担当者等の酒類の製造知識及び官能評価能力を有し、技術指導又は清酒製造等業務経験が3年以上あるとして鑑定官室長が評価を依頼した者及び鑑定官の合計26名により行いました。

7 出品状況

出品区分 本年度 昨年度
出品場数 出品数 出品場数 出品数
道産米吟醸酒の部 10場 44 10場 41
吟醸酒の部 11場 53 12場 54
純米酒の部 8場 14 8場 13
新製品の部 2場 3 4場 5
合計 実12場 114 実13場 113
(注) 出品場数と出品数が合わないのは、1製造場が道産米吟醸酒の部及び吟醸酒の部については5点、純米酒の部については4点、新製品の部については3点まで出品できるためである。

8 品質評価の方法及び結果

 道産米吟醸酒、吟醸酒の部及び純米酒の部は、利き猪口を使用し、詳細に評価しました。
 道産米吟醸酒の部及び吟醸酒の部では、品質評価の結果上位(出品者の40%程度)となった出品酒の製造場に対して金賞を授与しました。
 なお、純米酒の部及び新製品の部については、試行中のため賞の授与は行いませんでした。

9 出品酒の講評

(1) 道産米吟醸酒の部
 吟風、彗星、初雫の3種類の道産酒造好適米を使用した吟醸酒が出品されました。
  一部には、原料米性状の地域差から醪(もろみ)管理に苦労し、苦味や渋味を伴った出品酒も見られましたが、多くの出品酒は、原料処理の工夫や酵母の選択等により、例年と同様に香気華やかな吟醸酒が製成されていました。
(2) 吟醸酒の部
 主に原料米に山田錦を使用して造られた吟醸酒が出品されていました。
 出品酒は、例年同様に華やかなリンゴ様の香気が高く、香りとバランスを保つため甘味を強調した吟醸酒が多い傾向にありました。一方でより穏やかな香りで味わいのある酒質の出品酒もあり、吟醸酒の酒質設計が今後ますます重要になっていくものと思われました。
(3) 純米酒の部
 昨年度から、純米酒の多様性を積極的に評価していくため、酸度により細区分を行い、その区分ごとに品質評価を行いました。
  酸度の高い細区分では濃醇で後味の良い、酸度の低い細区分では淡麗で上品な、それぞれふさわしい香味の調和した中に各製造場の個性が反映された純米酒となっていました。
(4) 新製品の部
 清酒製造者が新たに開発製造した酒類の部門として設置され、製造の参考に資するため特徴の評価を行いました。
  鑑評会を通じて、これまでの清酒の枠組みにとらわれない酒類の製造技術の向上が図られ、酒類のバラエティが広がることにより、多くの人が楽しめる酒類が市場に供給されることを期待しています。

(参考)北海道 清酒マップ

北海道の酒蔵を示した地図