1 照会の趣旨

2025年日本国際博覧会(略称「大阪・関西万博」、以下「本博覧会」といいます。)は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとして、2025年(令和7年)4月13日(日)から10月13日(月)までの184日間、大阪市の夢洲で開催される国際博覧会です。
 公益社団法人2025年日本国際博覧会協会(以下「協会」といいます。)では、本博覧会の成功に向けて、個人、企業又は団体等(以下「企業等」といいます。)の皆様に幅広く出展・出店いただくとともに、協賛いただくことで協賛特典として、主に企業等名の広告宣伝を行いたいと考えています。
 なお、前回の2005年日本国際博覧会(以下「愛・地球博」といいます。)につきましては、「2005年日本国際博覧会(愛・地球博)に係る費用の税務上の取扱いについて(照会)」により国税庁に照会がなされ、平成15年7月7日付で「貴見のとおりで差し支えない」旨の回答が国税庁ホームページに掲載されているところです。
 本博覧会は、出展・協賛方法や広告宣伝の内容等について、愛・地球博と一部相違する事実関係がありますので、企業等(以下出展・出店をする企業等を「出展企業等」、協賛をする企業等を「協賛企業等」といいます。)に疑問が生ずることのないよう、愛・地球博と異なる次の点について改めて照会させていただきます。

2 照会に係る取引等の事実関係

(1) 出展・出店

協会が提供する敷地又は施設等において、出展企業等が、自らの企画、運営によりパビリオン出展や営業店舗の出店等を行うもので、①施設の建設、内装・展示物等の製作や設置、②建設・製作後の運営、維持管理並びに③会期後の撤去、解体及び敷地等の原状回復等を行い、敷地利用料等を含む費用は全て当該出展企業等が負担します。

(2) バーチャル会場での展示等

出展企業等は、大阪・関西万博バーチャル会場(オンライン空間上に、実際の博覧会を模した会場を構築するもので、当該会場を以下「バーチャル会場」といいます。)においても展示等をすることができます。
 この場合、出展企業等は、バーチャル会場で展示等するコンテンツを自ら制作し、当該制作に係る費用負担やその運営など、バーチャル会場実現に必要な役務の提供等を行います。
 また、協賛企業等についても、一定の条件を満たす場合には、自らの費用負担によりバーチャル会場での展示等をすることができます。
 なお、バーチャル会場は展示等の期間終了後に閉鎖します。

(3) 協賛

イ 各種協賛形態

協賛企業等は、広告宣伝を主な目的として次の(イ)ないし(ニ)のいずれかの方法又は組み合わせにより本博覧会に協賛します。

(イ) 資金提供
 協会が企画する事業に要する費用に充てるための金銭を協会に提供します(年度毎等に分割払する場合があります。)。

(ロ) 施設・物品提供
 協会が企画する事業に要する施設や物品等(設備、部材及び消耗品等)を協会に現物で提供します。

(ハ) 無償貸与
 協会が企画する事業に要する施設や物品等(設備、部材及び消耗品等)を協会に無償で貸与します。

(ニ) 役務提供
 協会が企画する事業に要するシステム開発のための人材の提供、技術・運営スタッフの提供、敷材輸送及びクラウドサービスの提供等の役務提供を協会に無償で行います。

ロ 協賛特典

協会では、次の協賛特典を用意しています。協賛特典は、協賛内容(注1)により利用できる特典が異なります。また、協賛金額(注2)に応じて、受けられる特典の内容が異なるほか、呼称の名称、社名等(社名、シンボルマーク、ロゴマーク等。以下同じです。)の表示箇所、表示面積及び表示回数、施設の利用可能回数等に差異を設けることとしています。

番号 協賛特典内容 広告宣伝期間
製品・サービスに係る広告宣伝・販売促進に関連した呼称(プラチナパートナー等)の使用権付与 協賛期間(注3)
協会ホームページや出版物等への社名等の掲載(表示)
公式キャラクターの使用権付与・公式ロゴマークの商品広告や景品への使用権付与
プロデューサーとの共同プロジェクトへの参画権の付与
会場内の媒体・コンテンツ等における社名等の表示 開催期間(注4)
バーチャル会場出展権の付与
(注)

1 協賛金等が充てられる事業に応じてテーマ事業協賛(プロデューサーが企画するテーマ事業への協賛)、会場整備、運営及び催事への協賛などがあります。

2 協賛金額は、上記イ(イ)の資金提供の場合は提供する金銭の額、上記イ(ロ)の施設・物品提供の場合は施設・物品等の価額、上記イ(ハ)の無償貸与の場合は賃貸料相当額、上記イ(ニ)の役務提供の場合は提供する役務の価額とし、(イ)ないし(ニ)の組み合わせによる協賛の場合は、その合計額とします。

3 協賛に係る契約締結日から本博覧会の閉会日である2025年10月13日までとなります。

4 バーチャル会場については、本博覧会の開会日である2025年4月13日より前の日から公開される場合があります。

3 照会者の求める見解となることの理由

(1) 法人税・所得税関係

イ 出展・出店参加費用

(イ)  建設費及び展示費(廃材等の処分見込価額を除きます。)については、その支出額を本博覧会の開催期間(184日間)を基礎として期間配分することになると考えます。
 ただし、本博覧会終了後、出展企業等が引き続き事業の用に供することが明らかな資産については、減価償却を行う等一般の例によると考えます。

(ロ)  運営費及び事務局経費については、支出の都度、損金の額又は必要経費に算入することになると考えます。

(ハ)  撤去費用(解体費や原状回復費を含みます。)については、撤去等の日の属する事業年度の損金の額又は年の必要経費に算入することになると考えます。

(ニ)  敷地利用料等については、敷地引渡しのあった日以後に終了する事業年度又は年において、その引渡しのあった日以後、閉会日までの期間の経過に応じて損金の額又は必要経費に算入することになると考えます。

ロ バーチャル会場での展示等参加費用

バーチャル会場で展示等する場合については、次のとおりで差し支えないと考えます。ただし、バーチャル会場の展示等の期間終了後、引き続き事業の用に供することが明らかな資産については、減価償却を行う等一般の例によると考えます。

(イ)  コンテンツ制作費用については、その支出額をバーチャル会場での展示等の期間を基礎として期間配分し、損金の額又は必要経費に算入する。

(ロ)  運営費については、支出の都度、損金の額又は必要経費に算入する。

ハ 資金提供による協賛

 上記2(3)ロの表のとおり、協会は協賛企業等に対して付与する広告宣伝の特典が協賛金額相応の特典となるよう特典内容を決定しており、協賛としての資金提供には、協賛金額に応じた不特定多数の者に対する一定の広告宣伝効果が生じると考えられます。
 また、協賛企業等は、協賛金額や協賛内容に応じた複数の特典が付与されることとなりますが、それぞれの特典内容により広告宣伝期間は異なります。
 他方、協賛企業等は、一括又は分割して金銭の提供を行うこととしているところですが、個々の広告宣伝の特典の金額は定められておらず、また、協賛企業等においても、個々の広告宣伝の特典の金額を見積もることは実務上困難です。
 したがって、協賛企業等が支出する金銭の額については、その提供方法が一括払いであるか又は分割払いであるかにかかわらず、上記2(3)ロの表に掲げる広告宣伝期間のうち広告宣伝効果が最も長い期間である協賛期間(協賛に係る契約締結日から本博覧会の閉会日である2025年10月13日まで。)を基礎として期間配分し、協賛企業等の損金の額又は必要経費に算入して差し支えないと考えます。
 なお、協賛特典には、「公式キャラクター・公式ロゴマークの使用」に要する費用が出版権の設定の対価(法人税基本通達8−1−10、所得税基本通達2―29 の3)に準じて繰延資産に該当すると考えられますが、仮に繰延資産として計上したとしても広告宣伝を行う期間に応じて損金の額又は必要経費に算入することに変わりはないことから、協賛金額のうち特にその部分だけを区分することは要しないと考えます。

ニ 施設・物品提供による協賛

 施設・物品を提供するために支出する費用(搬入及び据付けに要する費用を含みます。)については、次のいずれかのとおりで差し支えないと考えます。

(イ)  協賛期間を基礎として期間配分し、協賛企業等の損金の額又は必要経費に算入する。

(ロ)  その施設・物品を提供した日から本博覧会の閉会日までの期間を基礎として期間配分し、協賛企業等の損金の額又は必要経費に算入する。

ホ 無償貸与による協賛

 協賛企業等が協会に施設や物品等を無償貸与するために支出する費用については、次のとおりで差し支えないと考えます。

(イ)  貸与する施設・物品等は、貸与期間中も(新規に建設、製作又は調達してそのまま協会に貸与する場合は、貸与日以降)事業の用に供する資産として減価償却を行う等一般の例による。

(ロ)  貸与する施設・物品等の搬入及び据付けのために要する費用(新規に建設、製作又は調達してそのまま協会に貸与する場合を除きます。)については、上記ハと同様に、協賛期間を基礎として期間配分し、損金の額又は必要経費に算入する。

(ハ)  貸与する施設・物品等の撤去費用(廃材等の処分見込額を除きます。)については、その撤去の日の属する事業年度の損金の額又は年の必要経費に算入する。

ヘ 役務提供による協賛

 協賛企業等が協会に役務を提供するために支出する費用については、上記ハと同様、協賛期間を基礎として期間配分し、損金の額又は必要経費に算入して差し支えないと考えます。
 ただし、次の(イ)ないし(ハ)の場合は、それぞれ次のとおりになると考えます。

(イ)  自社の従業員を技術・運営等のスタッフとして派遣する場合、その役務提供に要する費用は、協賛企業等の従業員である派遣者に対する給与であることから、通常の給与と同様にその支出の都度損金の額又は必要経費に算入する。

(ロ)  役務を提供するために取得する資産であって、役務の提供以降も引き続き事業の用に供することが明らかな資産については、減価償却を行う等一般の例による。

(ハ)  本博覧会閉会後に役務を提供するために支出する費用については、役務の提供の都度損金の額又は必要経費に算入する。

(2) 消費税関係

イ 出展・出店に係る支出、バーチャル会場での展示等に係る支出及び施設・物品提供、無償貸与若しくは役務提供による協賛に係る支出については、給与等を対価とする役務の提供に該当するもの又は消費税が非課税、免税若しくは不課税となる資産の譲渡等に係るものを除き、課税仕入れに係る支払対価の額に該当すると考えます。

ロ 協賛企業等が広告宣伝の内容に応じて協会へ提供する金銭については、課税仕入れに係る支払対価の額に該当すると考えます。  

 なお、控除対象仕入税額の計算及び上記に係る支出のうち「電気通信利用役務の提供」に係る対価に該当するものがある場合の取扱いについては、消費税法の規定によることになると考えます。

※ 消費税法第2条第1項第八号の三に規定する「電気通信利用役務の提供」をいいます。