令和3年11月
沖縄国税事務所

所得税及び個人事業者の消費税について、令和2事務年度(令和2年7月から令和3年6月までの間)に実施した調査等の状況をまとめましたのでお知らせします。

T 調査等の状況
  1. 1 令和2事務年度における所得税の調査等の状況
  2. 2 令和2事務年度における消費税(個人事業者)の調査等の状況
U 参考計表
  1. ◯ 事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種

T 調査等の状況

1 所得税の調査等の状況

〇 新型コロナウイルス感染症の影響により実地調査の件数は大幅に減少したが、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を優先して調査し、1件当たりの追徴税額は増加

〇 文書等による接触方法を積極的に組み合わせることにより、簡易な接触による件数は増加。

(1) 調査等件数及び申告漏れ等の非違があった件数の状況

実地調査の件数は、特別調査・一般調査が124件(前事務年度225件)、着眼調査が47件(同107件)であり、合計171件(同332件)、このほか、簡易な接触の件数は4,439件(同2,605件)となっています。
 これらの調査等の合計件数は4,610件(同2,937件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は2,713件(同1,835件)となっています。

(2) 申告漏れ所得(調査等の対象となった全ての年分の合計)金額の状況

実地調査による申告漏れ所得金額は、60億3千7百万円(同58億9千6百万円)であり、そのうち特別調査・一般調査によるものは58億3千1百万円(同52億9千1百万円)、着眼調査によるものは2億6百万円(同6億4百万円)となっています。
 また、簡易な接触による申告漏れ所得金額は24億8千3百万円(同27億1千1百万円)となっており、調査等合計では85億2千万円(同86億6百万円)となっています。

(3) 追徴税額(調査等の対象となった全ての年分の合計で加算税を含む。)の状況

実地調査による追徴税額は、13億円(同11億7千6百万円)であり、そのうち特別調査・一般調査によるものは12億8千5百万円(同11億2千6百万円)、着眼調査によるものは1千5百万円(同5千万円)となっています。
 なお、実地調査による追徴税額を1件当たりでみると、760万円(同354万円)となっており、前事務年度に比べ倍増しています。
 また、簡易な接触による追徴税額は2億4千1百万円(同2億4千2百万円)となっており、調査等合計では15億4千1百万円(同14億1千8百万円)となっています。

(参考)

  • 1 実地調査(特別調査・一般調査)とは、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を対象に深度ある調査を行うもので、特に、特別調査は、多額な脱漏が見込まれる個人を対象に、相当の日数(1件当たり10日以上を目安)を確保して実施しているものです。
  • 2 実地調査(着眼調査)とは、資料情報や申告内容の分析の結果、申告漏れ等が見込まれる個人を対象に実地に臨場して短期間で行う調査です。
  • 3 簡易な接触とは、原則、納税者宅等に臨場することなく、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正するものです。

〇 所得税の調査等の状況

区分
項目
実地調査 簡易な接触   調査等合計  
特別・一般     着眼      計    
対前年比 対前年比 対前年比 対前年比 対前年比
1 調査等件数 225   107   332   2,605   2,937  
124 55.1% 47 43.9% 171 51.5% 4,439 170.4% 4,610 157.0%
2 申告漏れ等の非違件数 212   71   283   1,552   1,835  
118 55.7% 40 56.3% 158 55.8% 2,555 164.6% 2,713 147.8%
3 申告漏れ所得金額 百万 5,291   604   5,896   2,711   8,606  
5,831 110.2% 206 34.1% 6,037 102.4% 2,483 91.6% 8,520 99.0%
4 追徴税額 本税 百万 905   43   948   235   1,183  
1,063 117.5% 13 30.2% 1,077 113.6% 238 101.3% 1,315 111.2%
5 加算税 百万 221   7   228   7   234  
221 100.0% 2 28.6% 223 97.8% 2 28.6% 226 96.6%
6 百万 1,126   50   1,176   242   1,418  
1,285 114.1% 15 30.0% 1,300 110.5% 241 99.6% 1,541 108.7%
7 一件当たり 申告漏れ所得金額 万円 2,352   565   1,776   104   293  
4,702 199.9% 437 77.3% 3,530 198.8% 56 53.8% 185 63.1%
8 追徴税額 本税 万円 402   41   286   9   40  
858 213.4% 28 68.3% 630 220.3% 5 55.6% 29 72.5%
9 加算税 万円 98   7   69   0.3   8  
178 181.6% 5 71.4% 131 189.9% 0.1 33.3% 5 62.5%
10 万円 500   47   354   9   48  
1,036 207.2% 33 70.2% 760 214.7% 5 55.6% 33 68.8%

(注)

  1. 1 令和2年7月から令和3年6月までの間の実績で、いずれも調査等の対象となった全ての年分の合計の計数である。
  2. 2 上段は、前事務年度の計数である。
  3. 3 「簡易な接触」の件数には、更正の請求等に基づく減額更正や添付書類の未提出に対する提出依頼を行った件数等を含む。
  4. 4 追徴税額(本税)には、復興特別所得税額を含む。
  5. 5 実地調査の件数は、所得税と消費税の実地調査件数である。

(参考) 譲渡所得の調査等の状況

所得税のうち譲渡所得に係る調査等の件数が、408件(前事務年度225件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数が、159件(同115件)となっています。申告漏れ所得金額(調査等の対象となった全ての年分の合計)は、43億4千4百万円(同18億6千9百万円)となっています。

〇 譲渡所得の調査等の状況

事務年度等 元事務年度 2事務年度 対前年比
項目
1
調査等件数 225 408 181.3
  土地建物等 219 371 169.4
株式等 6 37 616.7
2
申告漏れ等の非違件数 115 159 138.3
  土地建物等 110 131 119.1
株式等 5 28 560.0
3 ポイント
非違割合(2/1 51.1 39.0 ▲12.1
  土地建物等 50.2 35.3 ▲14.9
株式等 83.3 75.7 ▲7.6
4 百万円 百万円
申告漏れ所得金額 1,869 4,344 232.4
  土地建物等 1,821 1,836 100.9
株式等 48 2,507 5,199.5
5 万円 万円
1件当たり申告漏れ所得金額
4/1
831 1,065 128.2
  土地建物等 831 495 59.6
株式等 804 6,777 843.2

(注)

  1. 1 土地建物等は、土地建物(分離譲渡所得)及び金地金等(総合譲渡所得)である。
  2. 2 土地建物等は、課税年分ごとに1件としている。

2 消費税(個人事業者)の調査等の状況

〇 新型コロナウイルス感染症の影響もあり実地調査の件数は大幅に減少したが、無申告等の調査を重点的に実施することにより、1件当たりの追徴税額は増加

〇 文書等による接触方法を積極的に組み合わせることにより、簡易な接触による件数は増加。

(1) 調査等件数及び申告漏れ等の非違があった件数の状況

実地調査の件数は、特別調査・一般調査が67件(前事務年度153件)、着眼調査が10件(同50件)であり、合計77件(同203件)、このほか、簡易な接触の件数は1,157件(同882件)となっています。
 これらの調査等の合計件数は1,234件(同1,085件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は690件(同554件)となっています。

(2) 追徴税額(調査等の対象となった全ての年分の合計で加算税を含む。)の状況

実地調査による追徴税額は、2億5千6百万円(同4億1千1百万円)であり、そのうち特別調査・一般調査によるものは2億5千2百万円(同3億8千2百万円)、着眼調査によるものは4百万円(同2千9百万円)となっています。
 なお、実地調査による追徴税額を1件当たりでみると、333万円(同202万円)となっており、前事務年度に比べ増加しています。
 また、簡易な接触による追徴税額は7千8百万円(同1億1千9百万円)となっており、調査等合計では3億3千4百万円(同5億3千万円)となっています。

〇 消費税(個人事業者)の調査等の状況

区分
項目
実地調査 簡易な接触   調査等合計  
特別・一般     着眼      計    
対前年比 対前年比 対前年比 対前年比 対前年比
1 調査等件数 153   50   203   882   1,085  
67 43.8% 10 20.0% 77 37.9% 1,157 131.2% 1,234 113.7%
2 申告漏れ等の非違件数 144   45   189   365   554  
65 45.1% 10 22.2% 75 39.7% 615 168.5% 690 124.5%
3 追徴税額 本税 百万 302   25   326   116   442  
200 66.2% 2 8.0% 202 62.0% 75 64.7% 277 62.7%
4 加算税 百万 80   4   84   3   87  
52 65.0% 2 50.0% 55 65.5% 2 66.7% 57 65.5%
5 百万 382   29   411   119   530  
252 66.0% 4 13.8% 256 62.3% 78 65.5% 334 63.0%
6 一件当たり 追徴税額 本税 万円 197   49   161   13   41  
298 151.3% 19 38.8% 262 162.7% 7 53.8% 23 56.1%
7 加算税 万円 52   9   42   0.4   8  
78 150.0% 22 244.4% 71 169.0% 0.2 50.0% 5 62.5%
8 万円 250   58   202   14   49  
376 150.4% 42 72.4% 333 164.9% 7 50.0% 27 55.1%

(注)

  1. 1 令和2年7月から令和3年6月までの間の実績で、いずれも調査等の対象となった全ての年分の合計の計数である。
  2. 2 上段は、前事務年度の計数である。
  3. 3 「簡易な接触」の件数には、更正の請求等に基づく減額更正や添付書類の未提出に対する提出依頼を行った件数等を含む。
  4. 4 消費税の追徴税額には、地方消費税(譲渡割額)を含む。

U 参考計表

事業所得を有する個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10業種

順位 業種目 1件当たりの申告漏れ所得金額 1件当たりの追徴税額(含加算税) 前年の順位
  万円 万円
1 製造小売業・持ち帰り弁当 5,299 1,377 -
2 とび工事 5,066 1,419 4
3 内装工事 4,468 1,221 -
4 海面養殖業 3,629 966 -
5 一般土木建築工事 3,422 645 9
6 電気通信工事 3,386 1,196 -
7 一般自動車整備 2,797 421 -
8 電気配線工事 2,713 529 -
9 建築工事 2,706 484 6
10 小売業・自動車 2,384 422 -

(注)

  1. 1 上記調査事績は、特別調査及び一般調査に基づく実施結果である。
  2. 2 「前年の順位」は、事業所得を有する個人の前年の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位10位に該当するものについて、その順位を記載している。

(付表)事業所得を有する者の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な業種

  平成23事務年度 平成24事務年度 平成25事務年度 平成26事務年度 平成27事務年度
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
    万円   万円   万円   万円   万円
1 くず金卸売業 4,150 一般貨物自動車運送 4,239 とび工事 4,923 コーヒー喫茶店等
(ゲーム喫茶を含む)
7,787 土木工事 2,925
2 酒場 2,814 一般自動車整備 3,673 一般貨物自動車運送 2,284 製造小売業・そう菜 4,449 施設園芸農業 2,033
3 理髪業 2,756 仕出し製造小売業 1,980 建築工事 1,232 不動産代理仲介 3,029 西洋料理 1,802
4 食堂 2,012 一般土木建築工事 1,011 冷暖房設備工事 1,134 一般自動車整備 1,896 水産養殖業 1,535
5 塗装工事 2,000 型枠工事 834 衣料洋品小売業 1,104 建築工事 1,813 一般土木建築工事 1,525
 
  平成28事務年度 平成29事務年度 平成30事務年度 令和元事務年度 令和2事務年度
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
業種目 1件当たり
申告漏れ所得金額
    万円   万円   万円   万円   万円
1 理髪業 2,079 土木工事 2,329 キャバクラ 5,489 一般海面漁業 3,845 製造小売業・持ち帰り弁当 5,299
2 水道衛生工事 1,978 酒場 2,319 とび工事 3,951 土木工事 2,763 とび工事 5,066
3 酒場 1,630 とび工事 1,875 民宿 3,192 民宿 2,114 内装工事 4,468
4 一般土木建築工事 1,584 解体工事 1,797 電気配線工事 2,628 とび工事 1,799 海面養殖業 3,629
5 型枠工事 1,403 建築工事 1,613 内装工事 2,551 水道衛生工事 1,742 一般土木建築工事 3,422

(注) 1件当たりの申告漏れ所得金額は、調査全年分に係るものである。