1 平成28事務年度における法人税・法人消費税の調査事績の概要

(1) 法人税の調査事績の概要

平成28事務年度においては、大口・悪質な不正計算が想定される法人など調査必要度が高い法人429件(前年対比114.4%)について実地調査を実施しました。
 このうち、法人税の非違があった法人は333件(同119.8%)、その申告漏れ所得金額は、39億6百万円(同83.3%)、そのうち不正所得金額は7億7千1百万円(同45.6%)、追徴税額は12億4千9百万円(同108.7%)となっています。

○ 法人税の実地調査の状況
  平成27事務年度 平成28年度  
前年対比(%)
実地調査件数 375 429 114.4
非違があった件数 278 333 119.8
  うち不正計算があった件数 103 125 121.4
申告漏れ所得金額 百万円 4,687 3,906 83.3
  うち不正所得金額 百万円 1,693 771 45.6
調査による追徴税額 百万円 1,149 1,249 108.7
調査1件当たりの申告漏れ所得金額 千円 12,499 9,105 72.8
不正1件当たりの不正所得金額 千円 16,437 6,168 37.5
調査1件当たりの追徴税額 千円 3,061 2,912 95.1

平成19事務年度から平成28事務年度の申告漏れ所得金額等の推移

(2) 法人消費税の調査事績の概要

平成28事務年度においては、法人消費税について、法人税との同時調査等として410件(前年対比113.6%)の実地調査を実施しました。
 このうち、消費税の非違があった法人は261件(同124.3%)、その追徴税額は3億5千4百万円(同177.9%)となっています。

○ 法人消費税の実地調査の状況
  平成27事務年度 平成28事務年度  
前年対比(%)
実地調査件数 361 410 113.6
非違があった件数 210 261 124.3
  うち不正計算があった件数 80 106 132.5
調査による追徴税額 百万円 199 354 177.9
  うち不正計算に係る追徴税額 百万円 106 81 76.4
調査1件当たりの追徴税額 千円 551 865 157.0
不正1件当たりの追徴税額 千円 1,325 765 57.7

(注) 調査による追徴税額には地方消費税(譲渡割額)が含まれています。

平成24事務年度から平成28事務年度の消費税の追徴税額の推移

消費税還付申告法人のうち、不正に還付申告を行っていた法人から1千5百万円を追徴課税

平成28事務年度においては、消費税還付申告法人32件(前年対比78.0%)の実地調査を実施しました。このうち、消費税の非違があった法人は20件(同80.0%)、その追徴税額は9千7百万円(同301.1%)となっています。また、そのうち7件(同87.5%)は、不正に還付金額の水増しなどを行っており、1千5百万円を追徴しました。

○ 消費税還付申告法人に対する消費税の実地調査の状況
  平成27事務年度 平成28事務年度  
前年対比(%)
実地調査件数 41 32 78.0
非違があった件数 25 20 80.0
  うち不正計算があった件数 8 7 87.5
調査による追徴税額 百万円 32 97 301.1
  うち不正計算に係る追徴税額 百万円 10 15 158.5
調査1件当たりの追徴税額 千円 788 3,041 385.7
不正1件当たりの追徴税額 千円 1,192 2,160 181.2

(注) 調査による追徴税額には加算税及び地方消費税(譲渡割額)が含まれています。

平成24事務年度から平成28事務年度の消費税還付申告法人に対する消費税の追徴税額の推移

無申告法人に対し、法人税4千5百万円、消費税5千1百万円を追徴課税

平成28事務年度においては、事業を行っていると見込まれる無申告法人に対し、実地調査を実施し、法人税4千5百万円(前年対比97.6%)、消費税5千1百万円(同289.7%)、合わせて9千7百万円(同150.0%)を追徴しました。

○ 無申告法人に対する実地調査の状況
  平成26事務年度 平成27事務年度 平成28事務年度  
前年対比(%)
法人税 実地調査件数 10 9 16 177.8%
追徴税額 千件 10,854 47,041 45,896 97.6%
消費税 実地調査件数 11 11 16 145.5%
追徴税額 千円 48,314 17,646 51,119 289.7%
追徴税額合計 千円 59,168 64,687 97,015 150.0%

平成26事務年度から平成28事務年度の無申告法人に対する法人税及び消費税の追徴税額の推移

無所得申告法人に対し、法人税1億3千3百万円、消費税3千7百万円を追徴課税

本来、黒字でありながら赤字を装って申告することにより納税を免れている法人を放置しておくことは、納税者の公平感を著しく損なうものです。無所得申告法人に対しては、このような赤字の仮装や消費税の観点から、重点的に調査に取り組んでいます。
 平成28事務年度においては、125件(前年対比89.3%)の無所得申告法人に対して調査を実施し、89件の申告漏れが把握されました。
 なお、調査を実施した無所得申告法人のうち22件(同68.8%)については、本来有所得で申告すべき法人であり、1億3千3百万円(同40.9%)の法人税を追徴課税しました。
 また、消費税については3千7百万円(同49.3%)を追徴課税しました。

○ 無所得申告法人に対する実地調査の状況(法人税・消費税)等
  平成27事務年度 平成28事務年度  
前年対比(%)
実地調査件数 140 125 89.3
非違があった件数 111 89 80.2
  うち不正計算があった件数 45 41 91.1
非違があった割合 79.3 71.2 ▲8.1P
  うち不正計算があった割合 32.1 32.8 0.7P
黒字申告に転換した件数 32 22 68.8
法人税の追徴税額 百万円 325 133 40.9
消費税の追徴税額 百万円 75 37 49.3
黒字申告に転換した割合 22.9 17.6 ▲5.3P

平成23事務年度から平成28事務年度の無所得法人に対する法人税及び消費税の追徴税額の推移

不正発見割合の高い業種は、「建売、土地売買」、「その他の不動産業」、「電気・通信工事業」、「管工事業」

平成28事務年度の調査において、法人税の不正発見割合の高い業種は、「建売、土地売買 (62.5%)」、「その他の不動産業(50.0%)」、「電気・通信工事(43.5%)」、「管工事業(42.9%)」の順となっています。
 また、不正1件当たりの不正所得金額の大きな業種は、「建売、土地売買(5,227万円)」、「運輸付帯サービス(3,993万円)」の順となっています。

○ 不正発見割合の高い業種(中分類)

(平成28事務年度)

順位 業種目 不正発見割合 不正1件当たり
不正所得金額
(%) 前年度順位 (千円)
1 建売、土地売買業 62.5 - 52,271
2 その他の不動産業 50.0 - 6,743
3 電気・通信工事業 43.5 4 25,266
4 管工事業 42.9 - 13,671
5 職別土木建築工事業 42.1 7 12,298
6 一般土木建築業 41.5 - 8,973
7 土木工事業 37.5 5 12,068
8 その他小売 36.4 - 7,728
(参考)「その他の●●●」の具体的な業種の内容は、次のとおりである。
順位 業種目 具体的な業種の内容
2 その他の不動産業 不動産賃貸など不動産売買及び不動産代理仲介に属さない事業
8 その他の小売 他に分類されないその他の小売(例:園芸用品等)

○ 不正1件当たりの不正所得金額の大きな業種(中分類)

(平成28事務年度)

順位 業種目 不正1件当たり
不正所得金額
不正発見割合
(千円) 前年度順位 (%)
1 建売、土地売買業 52,271 - 62.5
2 運輸付帯サービス 39,928 - 33.3
3 電気・通信工事業 25,266 - 43.5
4 その他の対個人サービス 23,668 1 30.0
(参考)「その他の●●●」の具体的な業種の内容は、次のとおりである。
順位 業種目 具体的な業種の内容
4 その他の対個人サービス 他に分類されない対個人サービスを行う事業(例:レンタカー、葬式、結婚式場等)