1 平成25事務年度における法人税・法人消費税の調査事績の概要

(1)法人税の調査事績の概要

平成25事務年度においては、大口・悪質な不正計算が想定される法人など調査必要度が高い法人433件(前年対比106.1%)について実地調査を実施しました。
 このうち、法人税の非違があった法人は306件(同100.7%)、その申告漏れ所得金額は、28億2千7百万円(同59.8%)、追徴税額は6億8千9百万円(同60.4%)となっています。

○ 法人税の実地調査の状況
事務年度等 24 25  
項目 前年対比(%)
実地調査件数 408 433 106.1
非違があった件数 304 306 100.7
  うち不正計算があった件数 74 107 144.6
申告漏れ所得金額 百万円 4,724 2,827 59.8
  うち不正所得金額 百万円 1,309 1,016 77.6
調査による追徴税額 百万円 1,142 689 60.4
調査1件当たりの申告漏れ所得金額 千円 11,578 6,528 56.4
不正1件当たりの不正所得金額 千円 17,689 9,493 53.7
調査1件当たりの追徴税額 千円 2,799 1,592 56.9

平成16事務年度から平成25務年度の申告漏れ所得金額等の推移のグラフ

(2) 法人消費税の調査事績の概要

平成25事務年度においては、法人消費税について、法人税との同時調査等として403件(前年対比103.1%)の実地調査を実施しました。
 このうち、消費税の非違があった法人は230件(同113.3%)、その追徴税額は2億9千2百万円(同132.3%)となっています。

○ 法人消費税に対する実地調査の状況
事務年度等 24 25  
項目 前年対比(%)
実地調査件数 391 403 103.1
非違があった件数 203 230 113.3
  うち不正計算があった件数 57 82 143.9
調査による追徴税額 百万円 221 292 132.3
  うち不正計算による追徴税額 百万円 55 51 91.9
調査1件あたり追徴税額 千円 565 725 128.3
不正1件あたり追徴税額 千円 965 616 63.8

(注)調査による追徴税額には地方消費税(譲渡割額)が含まれています。

平成21年度から平成25年度までの消費税の追徴税額の推移グラフ

◆ 無所得申告法人に対し、法人税1億6千2百万円、消費税7千4百万円を追徴

本来、黒字でありながら赤字を装って申告することにより納税を免れている法人を放置しておくことは、納税者の公平感を著しく損なうものです。無所得申告法人に対しては、このような赤字の仮装や消費税の観点から、重点的に調査に取り組んでいます。
 平成25事務年度においては、170件(前年対比106.9%)の無所得申告法人に対して調査を実施し、申告漏れ件数117件(同109.3%)及び申告漏れ所得金額12億2千8百万円(同49.3%)を把握しました。
 なお、調査を実施した無所得申告法人のうち26件(同104.0%)は、本来有所得で申告すべき法人であり、1億6千2百万円(同39.0%)の法人税を追徴課税しました。
 また、消費税については7千4百万円(同107.3%)を追徴課税しました。

○ 無所得申告法人に対する実地調査の状況(法人税・消費税)等
事務年度等 24 25  
項目 前年対比(%)
実地調査件数 159 170 106.9
非違があった件数 107 117 109.3
  うち不正計算があった件数 36 44 122.2
非違があった割合 67.3 68.8 1.5P
  うち不正計算があった割合 22.6 25.9 3.3P
黒字申告に転換した件数 25 26 104.0
申告漏れ所得金額 百万円 2,489 1,228 49.3
  うち不正所得金額 百万円 750 605 80.7
法人税の追徴税額 百万円 415 162 39.0
消費税の追徴税額 百万円 69 74 107.3

平成21年度から平成25年度までの無所得申告法人に対する実地調査の状況グラフ

◆ 不正発見割合の高い業種は、「職別土木建築工事」、「一般土木建築工事」、「医療保健」、「その他の小売」

平成25事務年度の調査において、法人税の不正発見割合の高い業種は、「職別土木建築工事(47.1%)」、「一般土木建築工事(35.7%)」、「医療保健(33.3%)」、「その他の小売(33.3%)」の順となっています。
また、不正1件当たりの不正所得金額の大きな業種は、「その他の不動産(1,857万円)」、「医療保健(1,845万円)」、「建築工事(1,554万円)」の順となっています。

○ 不正発見割合の高い10業種(中分類)

(平成25事務年度)

順位 業種目 不正発見割合 不正1件あたり
不正所得金額
(%) 前年度順位 (千円)
1 職別土木建築工事 47.1 2 13,271
2 一般土木建築工事 35.7 7 1,954
3 医療保健 33.3 5 18,453
3 その他の小売 33.3 - 4,423
5 その他の対事業所サービス 30.8 - 13,016
6 土木建築サービス 25.0 8 2,014
7 建築工事 15.4 - 15,546
8 その他の不動産 12.5 - 18,576
9 農業 10.0 - 6,017
10 情報サービス、興信所 9.1 - 12,300
(参考)「その他の●●●」の具体的な業種の内容は、次のとおりである。
順位 業種目 具体的な業種の内容
3 その他の小売 他に分類されないその他の小売業(例:生花小売業、インテリア用品小売業等)
5 その他の対事業所サービス 事業所に対しサービスを行う事業(例:ビルメンテナンス、警備、人材派遣・職業紹介等)
8 その他の不動産 不動産賃貸、不動産の管理、コンサルタントなどを行う事業

○ 不正1件当たりの不正所得金額の大きな10業種(中分類)

(平成25事務年度)

順位 業種目 不正1件あたり不正所得金額 不正発見割合
(千円) 前年度順位 (%)
1 その他の不動産 18,576 - 12.5
2 医療保健 18,453 6 33.3
3 建築工事 15,546 - 15.4
4 職別土木建築工事 13,271 2 47.1
5 その他の対事業所サービス 13,016 - 30.8
6 情報サービス、興信所 12,300 - 9.1
7 その他のサービス 10,462 1 8.0
8 農業 6,017 - 10.0
9 その他の小売 4,423 - 33.3
10 建売、土地売買 4,250 4 9.1
(参考)「その他の●●●」の具体的な業種の内容は、次のとおりである。
順位 業種目 具体的な業種の内容
1 その他の不動産 不動産賃貸、不動産の管理、コンサルタントなどを行う事業
5 その他の対事業所サービス 事業所に対しサービスを行う事業(例:ビルメンテナンス、警備、人材派遣・職業紹介等)
7 その他のサービス デザイン、各種教室・塾、各種コンサルタントなど技能・技術の提供を行う事業
9 その他の小売 他に分類されないその他の小売業(例:生花小売業、インテリア用品小売業等)