平成24年10月
沖縄国税事務所

 所得税及び個人事業者の消費税について、平成23事務年度(平成23年7月から平成24年6月までの間)に実施した調査等の状況をまとめましたのでお知らせします。

1 所得税

(1) 調査等件数及び申告漏れ等の非違があった件数の状況

 所得税の調査については、高額・悪質な不正計算が見込まれるものを対象に深度ある調査(特別調査・一般調査)を優先して実施する一方、申告漏れ所得等の把握を実地により短期間で行う着眼調査を実施しています(以下「実地調査」という。)。
 このほか、文書又は来署依頼による面接等により、計算誤りや所得(税額)控除の適用誤りがあるものを是正するなどの接触(以下「簡易な接触」という。)を実施しています。
 このように事案に応じた的確な調査等(「実地調査」及び「簡易な接触」)を実施し、適正・公平な課税に努めています。
 実地調査の件数については、特別調査・一般調査が315件(前事務年度330件)、着眼調査が366件(前事務年度314件)であり、簡易な接触の件数については、4,156件(前事務年度5,167件)となっています。
 また、これらの調査等の合計件数は、4,837件(前事務年度5,811件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は、2,633件(前事務年度3,646件)となっています。

(2) 申告漏れ所得金額の状況

 実地調査による申告漏れ所得金額(調査等の対象となったすべての年分の合計)は、全体で54億5千8百万円(前事務年度68億6千9百万円)であり、このうち特別調査・一般調査によるものは48億3千7百万円(前事務年度61億8千2百万円)、着眼調査によるものは6億2千1百万円(前事務年度6億8千7百万円)となっています。
 また、簡易な接触によるものは41億5千2百万円(前事務年度56億4千6百万円)となっており、調査等合計では、96億1千万円(前事務年度125億1千5百万円)となっています。

(3) 追徴税額の状況

 実地調査による追徴税額(調査等の対象となったすべての年分の合計で加算税を含む。)は、全体で11億1千8百万円(前事務年度13億6千2百万円)であり、このうち特別調査・一般調査によるものは10億5千7百万円(前事務年度13億1百万円)、着眼調査によるものは6千1百万円(前事務年度6千1百万円)となっています。
 また、簡易な接触によるものは3億9千3百万円(前事務年度4億3千9百万円)となっており、調査等合計では、15億1千1百万円(前事務年度18億1百万円)となっています。

(4) 譲渡所得

 所得税のうち譲渡所得については、あらゆる機会を利用して収集した各種資料情報を活用し、申告のないもの又は申告額が過少であると認められるものを対象に、高額あるいは悪質と見込まれるものを優先して調査等を実施しています。
 譲渡所得に係る調査等の件数は、598件(前事務年度904件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は、253件(前事務年度418件)となっています。申告漏れ所得金額(調査等の対象となったすべての年分の合計)は、23億3千6百万円(前事務年度26億5千5百万円)となっています。

2 消費税(個人事業者)

(1) 調査等件数及び申告漏れ等の非違があった件数の状況

 消費税(個人事業者)の調査等については、課税事業者又は課税事業者と認められる者を対象に、原則として所得税の調査等と同時に実施することとしておりますが、消費税のみが無申告である納税者に対しては、着眼調査や簡易な接触により適正な課税に努めています。
 実地調査の件数は、特別調査・一般調査は172件(前事務年度155件)、着眼調査は353件(前事務年度378件)であり、簡易な接触の件数は、533件(前事務年度599件)となっています。
 これらの調査等の合計件数は、1,058件(前事務年度1,132件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は775件(前事務年度808件)となっています。

(2) 追徴税額の状況

 実地調査による追徴税額(調査等の対象となったすべての年分の合計で加算税を含む。)は、全体で3億1千2百万円(前事務年度3億3千3百万円)であり、このうち特別調査・一般調査によるものは2億3千8百万円(前事務年度2億5千3百万円)、着眼調査によるものは7千4百万円(前事務年度8千万円)となっています。
 また、簡易な接触によるものは7千2百万円(前事務年度8千4百万円)となっており、調査等合計では、3億8千4百万円(前事務年度4億1千7百万円)となっています。

(参考1) 平成23事務年度 所得税及び消費税調査等の状況

1 所得税
区分
項目
実地調査 簡易な接触 調査等合計
特別・一般 着眼
1 調査等件数 330 314 644 5,167 5,811
315 366 681 4,156 4,837
2 申告漏れ等の非違件数 305 221 526 3,120 3,646
267 240 507 2,126 2,633
3 申告漏れ所得金額 百万 6,182 687 6,869 5,646 12,515
4,837 621 5,458 4,152 9,610
4 追徴税額 本税 百万 1,027 56 1,083 415 1,498
845 53 898 371 1,269
5 加算税 百万 274 5 279 24 304
211 8 219 22 241
6 百万 1,301 61 1,362 439 1,801
1,057 61 1,118 393 1,511
7 一件当たり 申告漏れ所得金額 万円 1,873 219 1,067 109 215
1,536 170 802 100 199
8 追徴税額 本税 万円 311 18 168 8 26
268 15 132 9 26
9 加算税 万円 83 2 43 1 5
67 2 32 1 5
10 万円 394 19 212 9 31
335 17 164 10 31

(注)

  • 1 平成23年7月から平成24年6月までの間の実績で、いずれも調査等の対象となったすべての年分の合計の計数である。
  • 2 上段は、前事務年度の計数である。(上段・下段どちらも、資産課税部門職員の行った調査等の計数を含む。)
  • 3 「簡易な接触」の件数には、添付書類の未提出者に対する提出依頼を行った件数等を含む。

【参考1】特別調査・一般調査とは、高額・悪質な不正計算が見込まれるものを対象に深度ある調査を行うものであり、特に、特別調査は、多額な脱漏が見込まれる者等を対象に、相当の日数(1件当たり10日以上を目安)を確保して実施しているものである。

【参考2】着眼調査とは、資料情報や事業実態の解明を通じて申告漏れ所得等の把握を実地に臨場して短期間で行う調査である。

【参考3】簡易な接触とは、納税者宅等に臨場することなく、文書や電話又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正するものである。

2 消費税(個人事業者)
区分
項目
実地調査 簡易な接触 調査等合計
特別・一般 着眼
1 調査等件数 155 378 533 599 1,132
172 353 525 533 1,058
2 申告漏れ等の非違件数 144 270 414 394 808
153 275 428 347 775
3 追徴税額 本税 百万 195 72 267 79 346
190 66 256 68 324
4 加算税 百万 58 8 66 5 72
49 8 56 4 61
5 百万 253 80 333 84 417
238 74 312 72 384
6 一件当たり 追徴税額 本税 万円 126 19 50 13 31
110 19 49 13 31
7 加算税 万円 37 2 12 1 6
28 2 11 1 6
8 万円 164 21 63 14 37
138 21 59 14 36

(注)

  • 1 平成23年7月から平成24年6月までの間の実績で、いずれも調査等の対象となったすべての年分の合計の計数である。
  • 2 消費税の追徴税額には、地方消費税(譲渡割額)を含む。
  • 3 上段は、前事務年度の計数である。

(参考2) 事業所得を有する者の1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な上位5業種

順位 業種目 1件当たりの申告漏れ所得金額 1件当たりの追徴税額(含加算税) 直近の年分に係る申告漏れ割合
  万円 万円
1 くず金卸売業 4,150 1,089 53.2
2 酒場 2,814 578 87.0
3 理髪 2,756 578 76.3
4 食堂 2,012 269 71.0
5 塗装工事 2,000 860 47.8

(注)

  • 1 上記調査事績は、特別調査及び一般調査に基づく実施結果である。
  • 2 「直近の年分に係る申告漏れ割合」は、(申告漏れ所得)/((調査前所得)+(申告漏れ所得) ) で算出している。

(付表) 事業所得を有する者の最近10年間の1件当たりの申告漏れ所得が高額な業種

  14事務年度 15事務年度 16事務年度 17事務年度 18事務年度
業種目 1件当たり申告漏れ所得 業種目 1件当たり申告漏れ所得 業種目 1件当たり申告漏れ所得 業種目 1件当たり申告漏れ所得 業種目 1件当たり申告漏れ所得
    万円   万円   万円   万円   万円
1 土木工事業 12,373 貸金業 3,791 ゲーム喫茶等 7,475 外国料理店 6,336 衣料洋品小売業 5,968
2 貸金業 3,692 風俗業 2,473 貸金業 5,929 酒場 3,610 一般海面漁業 5,149
3 バー 2,658 とび工事業 2,319 酒場 3,444 各種飲食料品小売業 3,458 医薬品小売業 4,854
4 食肉小売業 1,949 西洋料理 2,240 歯科医 2,957 歯科医 2,267 司法書士、行政書士 3,877
5 採卵業 1,866 酒場 2,032 医薬品小売業 2,585 バー 2,184 不動産代理仲介 3,393
  19事務年度 20事務年度 21事務年度 22事務年度 23事務年度
業種目 1件当たり申告漏れ所得 業種目 1件当たり申告漏れ所得 業種目 1件当たり申告漏れ所得 業種目 1件当たり申告漏れ所得 業種目 1件当たり申告漏れ所得
    万円   万円   万円   万円   万円
1 民宿 2,987 酒場 3,923 司法書士・行政書士 9,001 採卵業 5,779 くず金卸売業 4,150
2 一般海面漁業 2,715 民宿 3,369 施設園芸農業(果樹) 4,267 食堂 3,475 酒場 2,814
3 灯油、プロパンガス 2,151 食堂 2,084 風俗業 1,612 果樹栽培農業 3,079 理髪 2,756
4 司法書士、行政書士 1,487 建築工事 1,425 青物(小売) 1,437 建築士 2,627 食堂 2,012
5 食堂 1,458 大工工事 1,348 内装工事 1,290 内装工事 1,665 塗装工事 2,000

(注) 1件当たりの申告漏れ所得は、調査全年分に係るものである。

(参考3) 平成23事務年度 譲渡所得の調査等事績

事務年度
項目
平成22事務年度 平成23事務年度 対前事務年度
A
調査等件数 904 598 66.2
  土地建物等 803 433 53.9
株式等 101 165 163.4
B
申告漏れ等の非違件数 418 253 60.5
  土地建物等 402 252 62.7
株式等 16 1 6.3
C ポイント
申告漏れ割合
(B/A)
46.2 42.3 マイナス3.9
  土地建物等 50.1 58.2 8.1
株式等 15.8 0.0 マイナス15.8
D 百万円 百万円
申告漏れ所得金額 2,655 2,336 88.0
  土地建物等 2,420 2,330 96.3
株式等 236 6 2.5
E 万円 万円
1件当たり申告漏れ所得金額
(D/A)
294 391 133.1
  土地建物等 301 538 178.6
株式等 233 4 1.5

(注)

  • 1 土地建物等は、総合譲渡に係るものを含む。
  • 2 土地建物等は、課税年分ごとに1件としている。