居波 邦泰
税務大学校
研究部教育官
国際的事業再編で、課税上問題になりやすいのは、重要な無形資産が国外関連者に移転される場合である。無形資産については、ユニークで高価値な無形資産が一括移転される場合には比較対象取引が存在しておらず、独立企業間価格の算定が困難であることが指摘されているところである。また、国際的事業再編に対する移転価格税制の適用については、次の2時点について考慮すべきであることが指摘されている。
事業再編時における国外関連者への機能等の移転に係る「無形資産」への適用
事業再編後における機能等の移転後の「新たな関連者間取引」への適用
「アドビ事案」では、の事業再編後における検討のみを行い、移転価格に係る当局の初めての敗訴事案になった。
しかし、の事業再編時に移転された「無形資産」の独立企業間価格の算定を行うためには、「移転された無形資産の範囲の特定」、「所有者の特定」、「移転事実の認定」及び「評価価額の算定」を行うことが必要であるが、実際にこれらを行うことは困難であり、国際的にも統一的な取扱いが確立しているわけではない。
(1)OECD移転価格ガイドライン第9章の新設
OECDは、2010年7月に移転価格ガイドラインの第9章として「事業再編に係る移転価格の側面(Transfer Pricing Aspects of Business Restructurings)」を公表した。
第1部「リスクに関する特別の考慮」では、事業再編に関してはそのリスク配分が重要であることが述べられている。
第2部「事業再編自体に対する独立企業間対価」では、事業再編自体が移転価格税制の対象となるかどうかについて、対象となることもあり得るとのスタンスが示された上で、比較可能な非関連者間取引が見つからない場合への言及がなされているが、その場合の独立企業間価格の算定方法等にはまったく触れていない。
無形資産の移転に関しては、その評価は複雑で不確実な場合があり得るとの指摘をした上で、そのうちの契約上の権利の移転について、「価値ある契約上の権利が関連者間で移転(又は放棄)される場合、移転された権利の価値を譲渡人及び譲受人の双方の観点から考慮して、独立企業間報酬が与えられるべきである」として、非関連の第3者間において代償的な支払があり得るのであれば、契約の放棄等による喪失利益から独立企業間価格の算定が可能であることを示している。
第3部「事業再編後の関連者間取引」では、事業再編後の取引と当初からそのような形で構築されていた取引とでは、異なって独立企業原則が適用されるものではなく、また、異なって適用されるべきではないとした上で、これらの間に「差異」は存在し得るとしている。そのうえで、比較対象取引が存在しない場合の存在を認めているものの、その場合の独立企業間価格の算定方法にはまったく触れていない。
第4部「実際に行われた取引への認識」では、納税者の事業再編取引を税務当局が否認できるかについて、「取引の経済的実質と整合性がない場合」又は「契約条件が当事者の行動と一致していない場合」には、例外的にあり得ることが述べられているが、納税者の取引を否認するには極めて慎重に行わなければならないということを繰り返し強調しているものになっている。
結果として、この移転価格ガイドライン第9章では、比較対象取引が把握されない場合の独立企業間価格の算定方法又はその対応策は示されていない。
現時点でのOECD移転価格ガイドラインでは、比較対象取引が把握されない無形資産等の独立企業間価格の具体的算定方法等について、2013年以降に予定されている第6章及び第8章の改訂に委ねており、今後、その改訂を待つことになる。
(2)国際的事業再編に係る各国における対応状況
2011年にパリで開催されたIFA総会では、その議題1で「国境を越えたビジネス・リストラクチャリング」が取り上げられ、各国のブランチレポーターからは国際的事業再編に係る各国の対応状況として、以下のような報告がなされている。
● 米国
米国でのビジネス・リストラクチャリングに係る規則の発展は、米国が多くの場に「入口国(entry country)」より「出口国(exit country)」であったという事実に基づいているとし、加えて、米国では、「契約上の権利のような無形財産(IP)を含む既存の資産の移転」と、「期待される機会及びリスクの割当」とが区別される。
したがって、米国では「契約上の権利のような無形財産(IP)を含む既存の資産」の国外移転については、移転価格税制上で独立企業原則に基づき課税がなされる。
また、IRSには、「所得相応性基準(Commensurate With Income Standard)」に基づき、譲受人が移転後の無形資産から実際に稼得した収益をベースとして無形資産の対価を決定できる権限が与えられている。
● ドイツ
ドイツは、2008年1月1日から国境を越える機能移転について、新たな移転価格制度を導入した。この新しい制度では、機能移転について、それに関わる有形資産及び無形資産に加えて機会やリスクを含んだ「移転パッケージ」を納税者が決定し、独立企業間価格を決定するために、これの現在価値を算定することになる。比較対象取引が存在しないのであれば、2人の堅実かつ誠実な経営者が策定する機能の譲渡企業の最低価格と譲受企業の最高価格を想定し、この価格の中央値を「仮想的独立企業間価格」とすることができることとされた。
ドイツでは、この新しい制度の実施のために、2010年10月13日に事業再編調査通達を発遣し、2008年に遡及して施行している。
● 英国、フランス、カナダ
英国、フランス、カナダでは、現状において、ビジネス・リストラクチャリングを取り扱う立法規則及び判例はなく、また、通達もない状況であり、これには移転価格税制や関連性のある国内の制定法並びに判例法理を適用することで対応するしかないとの見解が示されている。
● オーストラリア
オーストラリアは2011年2月に、ビジネス・リストラクチャリングに係る課税通達であるTR 2011/1「Income tax : application of the transfer pricing provisions to business restructuring by multinational enterprises」を発遣しており、オーストラリアでの移転価格規則のビジネス・リストラクチャリングへの適用に関する見解を公表している。
(3)ドイツ及びオーストラリアでの事業再編通達の発遣
このようなOECDでの対応に対し、国内での国際的事業再編に係る移転価格課税の執行のために、ドイツでは2010年10月に、オーストラリアでは2011年2月に、事業再編通達が発遣されている。以下に、これらの通達の内容についてみてみる。
イ ドイツの事業再編調査通達
ドイツの事業再編調査通達は、第1章「総則」、第2章「国際取引課税法§1パラ3の9文から12文及び機能移転政令についての説明」、第3章「補足的指示と個別問題」、第4章「特定の機能移転の特別な様相」の4つの章から構成されている。
第2章では、事業再編への移転価格税制の適用のために、「機能」、「移転パッケージ」、「潜在的利益」、「機能複製」等の概念について明確化がなされ、比較対象取引のない場合の独立企業間価格の算定のために、原則として、「2人の堅実かつ誠実な経営者」による「仮想的比較対象取引」において、会計学上のインカム・メソッド(DCF法等)を用いて、買い手の「最高価格」と売り手の「最低価格」を算定し、それらで構成される「合致領域」の「中央値」が独立企業間価格とする具体的な手続が示されている。加えて、3つの「適用除外規定」の説明もなされている。
第3章では、「経営者の自由裁量」、「情報の透明性」、「協力及び文書化義務」、「税務当局の調査可能性」等に係る留意点が述べられ、第4章では、「製造の移転」、「販売の移転」、「研究開発の移転」、「役務の移転」及び「購入の移転」についての特徴等の説明がなされている。さらに添付資料として、「機能移転のための価値算定の計算事例」及び「推計のケースでの機能移転のための価値決定事例」が付されている。
なお、この通達では、事業再編のための2008年の新しい制度(情報の透明性、合致領域の中央値、通常の移転パッケージの算定、価格調整条項の法的擬制)部分以外の取扱いについては、独立企業原則からの「発露」として、2007年以前の機能移転についても適用可能であると明確に述べられている。2008年の新しい制度の導入は、機能移転に移転価格税制が適用されることの確認規定的なものであったとの認識が示されており、ドイツの税務当局は、2007年以前の機能移転についても調査対象とすることとしている。
ロ オーストラリアの事業再編通達
この事業再編通達は、事業再編時における独立企業間価格の決定のために、次の3つのステップを示している。
・ 第1ステップ − 国際的事業再編の分析が必要であるとして、当該国際取引の範囲、タイプ及び価値の識別、並びに事業再編のための契約の内容、影響を受けた事業活動との照合、事業再編の真実の性質、条件及び効果の分析等を行う。
・ 第2ステップ − 比較対象取引から利用可能なデータを取得し、最も適切な移転価格の算定方法の選択を行う。
・ 第3ステップ − 比較可能な状況において独立した第3者間の契約の下で合理的に期待される対価を決定することとし、これが信頼できない場合には、その他の適切な利用可能なデータを使用して、商業的合理性がある価格に決定することとしている。
オーストラリアの事業再編通達では、国際的事業再編における比較可能性は、ほとんどの場合で達成されるとしており、それが実現可能でないのは例外的なケースであるとの前提が置かれている。この点では、ドイツと対称的なスタンスが見受けられるところであり、果たして本当にそのように容易に独立企業間価格が決定できるのかについて、オーストラリアのスタンスには疑問を感じるところである
(4)事業再編取引に係る独立企業間価格の算定のための検討事項
事業再編取引への移転価格税制の適用については、機能の移転について独立企業間価格の算定ができなければならない。しかし、機能移転に係る独立企業間価格の算定については、以下のような課税上の問題があるものと考える。
(5)国際的事業再編に対する我が国での対応策への考察
国際的事業再編で重要な無形資産等が国外に移転される場合には、独立企業間価格の算定のための重要な要因としては、無形資産等の「範囲」、
無形資産等の「所有者」、
無形資産等の「評価」を、明らかにすべきことである。
〔APA上の対応策〕
APAの場合、通常は、納税者からは協力的対応が期待できることが予想され、その協力的対応の存在を前提として、以下のような慫慂的対応策を執ってはどうか。
● 無形資産の「範囲」、「所有者」及び「評価」の自主的開示の慫慂
無形資産等の独立企業間価格の算定のためには、当該無形資産について「範囲」、「所有者」及び「評価」について明らかにしなければならないが、現状において法令上及び事務運営指針等で具体的な取扱いが示されておらず、また、必要な情報は納税者側に存在していることから、APAにおいては、これらについて考え方の指導をしつつ、納税者から税務当局に意思表示をしてもらうようにしてはどうか。
● 開示された「範囲」、「所有者」及び「評価」に基づいての納税者との協議
納税者から提出された書類等に基づいて、当該無形資産の「範囲」、「所有者」及び「評価」が課税上容認できるかの検討を行い、問題がある場合には協議を行う。
このとき、「評価」については、過小評価がなされていると認められる場合など、将来的な実数値による評価の調整について納税者に了承してもらうことも考えられる(実態としての所得相応性基準(定期的調整)の受入れ指導)。APAは、もともと当初予定値から乖離がある場合には、実数値による調整を前提としている制度であることから、この受入れは可能ではないかと思慮する。
これにより、無形資産等の「評価」の算定は非常に困難なものであるが、この対応であれば、当初において納税者が意図的な過小評価をしてもその課税上の弊害を防止することが可能になる。
● APAの合意期間における「評価」についての継続的な報告
APAは、合意内容の妥当性について継続的に確認を行っていく制度であり、国際的事業再編に係る無形資産等の「評価」については、納税者にはAPAの合意期間での継続的な報告をしてもらうこととする(実態としての文書化義務の指導)。
〔移転価格調査上の対応策〕
移転価格調査の場合、納税者が協力的とは限らない上に、課税処分についてはその判断及び理由付記を法令の根拠に基づいて行う必要がある。そのため、移転価格調査において国際的事業再編に対し的確な対処をするためには、以下のような通達改正及び法令改正による対応策が必要になるものと考える。
● 移転価格要領(通達)の改正事項
・ 対象となる「機能の範囲」と無形資産の「定義」の明確化
・ 無形資産の「所有者」の明確化
事業再編における「経済的所有者」としての「無形資産の形成・維持・発展への貢献」を勘案することを明記する。
● 租税特別措置法令等の改正事項
・ 比較対象取引の存在しない無形資産の一括移転取引に係る評価方法の法定
会計上の評価手法であるインカム・メソッド(DCF法等)を、独立企業原則に基づいて適用することを措置法令に規定し、耐用年数や現在割引率などの手続きを移転価格要領や事例集に明記する。
・ 事業再編取引に係る文書作成義務を伴う「文書化」の導入等
・ 「所得相応性基準」の導入
インカム・メソッドを導入するのであれば、これが予測数値による算定方法であることに鑑み、ドイツと同様に「所得相応性基準」を導入する。
事業再編取引に移転価格税制を適用するためには、比較対象取引の存在しない無形資産の一括移転取引に係る独立企業間価格の算定方法を確立する必要がある。現在、OECDでも議論が進められているところであり、その結果を踏まえて、我が国においても、できるだけ早く的確な対応ができるよう制度等の改正がなされるべきである。
項目 | ページ |
---|---|
はじめに | 270 |
第1章 国際的事業再編に係る移転価格税制上の問題点 | 272 |
1 国際的事業再編取引の類型 | 272 |
2 国際的事業再編取引への移転価格税制の適用に係る基本的な考え方 | 274 |
3 国際的事業再編取引に係る移転価格税制の適用に係る問題点 | 274 |
第2章 アドビ事案とOECD移転価格ガイドライン第9章 | 276 |
第1節 アドビ事案と国際的事業再編 | 276 |
1 アドビ事案 | 276 |
(1)事案の概要 | 276 |
(2)訴訟結果 | 278 |
2 国際的事業再編の観点からの対応の検討 | 279 |
第2節 OECD移転価格ガイドライン第9章の新設とその実行性 | 281 |
1 ガイドライン第9章の概要 | 281 |
(1)ガイドライン第9章における事業再編の定義及び構成等 | 281 |
(2)第1部 リスクに関する特別の考慮 | 282 |
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283 |
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284 |
(3)第2部 事業再編自体に対する独立企業間対価 | 284 |
(4)第3部 事業再編後の関連者間取引の報酬 | 287 |
(5)第4部 実際に行われた取引への認識(recognition) | 289 |
2 ガイドライン第9章における「比較対象取引が把握されない場合」の取扱い | 292 |
3 ガイドライン第9章による事業再編取引への移転価格税制の適用に係る実行性 | 294 |
第3章 最近の諸外国における国際的事業再編に係る取組状況等 | 296 |
第1節 IFAパリ大会での検討状況 | 296 |
1 議題1「国境を越える事業再編」の討議内容 | 296 |
(1)背景 | 296 |
(2)ジェネラル・レポート | 297 |
(3)2つの事例研究 | 297 |
イ 事例研究1:コミッショネア | 297 |
ロ 事例研究2:工場の閉鎖 | 298 |
(4)事例研究に係る討議 | 299 |
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299 |
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299 |
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299 |
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300 |
(5)将来的な対応 | 300 |
(6)結論 | 301 |
2 主要国のブランチレポーターによる国際的事業再編に係る報告要旨 | 301 |
(1)米国 | 301 |
(2)ドイツ | 304 |
(3)オーストラリア | 306 |
(4)英国 | 308 |
(5)フランス | 310 |
(6)カナダ | 313 |
(7)デンマーク | 315 |
(8)オランダ | 316 |
3 主要国における国際的事業再編への認識 | 319 |
(1)米国 | 320 |
(2)ドイツ | 320 |
(3)オーストラリア | 320 |
(4)英国、フランス、カナダ | 321 |
(5)デンマーク | 321 |
第2節 米国及びドイツにおける国際的事業再編への制度的対応 | 322 |
1 米国における制度的対応 | 322 |
(1)所得相応性基準による対応 | 322 |
(2)インカム・アプローチによる無形資産評価 | 324 |
(3)CFC税制による無形資産の超過所得への課税制度の導入 | 326 |
(4)無形資産の定義の拡張と新たな評価方法の導入 | 328 |
2 ドイツにおける制度的対応 | 330 |
(1)事業再編に対する移転価格税制の強化策の概要 | 330 |
イ 「機能」の定義及び「移転パッケージ」の概念の導入 | 330 |
ロ 「堅実かつ誠実な経営者の原則」の国際取引課税法への規定 | 331 |
ハ 「仮想的比較対象取引」による「仮想的独立企業間テスト」の導入 | 332 |
ニ 独立企業間価格の算定方法の適用の手順の法定 | 333 |
ホ 「所得相応性基準」の導入 | 334 |
(2)ドイツにおける文書化 | 336 |
イ ドイツにおける文書化における例外的取引 | 336 |
ロ 文書化が必要な文書等の範囲 | 336 |
ハ 罰則規定 | 338 |
第4章 ドイツ及びオーストラリアの事業再編通達の内容 | 339 |
第1節 ドイツの事業再編調査通達 | 339 |
1 事業再編調査通達の構成及び各章の概要 | 340 |
2 「第1章 総則」 | 341 |
(1)通達の目的 | 341 |
(2)OECDモデル条約9条とドイツの租税条約 | 342 |
(3)機能移転への独立企業原則の適用に係る一般原則 | 343 |
3 「第2章 国際取引課税法§1パラ3の9文から12文及び機能移転政令の注釈」 | 344 |
(1)主要な用語の定義 | 344 |
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344 |
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349 |
(2)移転価格決定に係る一般規定 | 350 |
イ 移転価格の決定に係る標準的方法 | 350 |
ロ 仮想的比較対象取引 | 350 |
ハ 移転パッケージに係る適用除外規定(国際取引課税法§1パラ3の10文) | 351 |
(3)移転パッケージのための価値算定 | 352 |
イ 現在価値の算定 | 352 |
ロ 潜在的利益の算定 | 353 |
ハ 評価方法 | 354 |
ニ ロケーション・セービング及びシナジー効果 | 355 |
ホ 行動の選択肢 | 355 |
(4)現在割引率 | 356 |
イ 基礎利率 | 356 |
ロ 期間 | 356 |
ハ 機能及びリスクに相応した割増利率 | 356 |
ニ 税額の考慮 | 357 |
(5)資本化期間 | 357 |
イ 双方の企業のための統一的な資本化期間 | 358 |
ロ 有限の資本化期間による特徴 | 358 |
(6)合致領域の算定 | 358 |
イ 収益が計上されるケースでの最低価格 | 358 |
ロ 最低価格と処分価格 | 359 |
ハ 最高価格 | 359 |
ニ 合致領域での価値、中央値 | 359 |
ホ 損失補填、代償及び補償の要求 | 360 |
へ 調整規定−「所得相応性基準」 | 360 |
ト 譲渡のケースにおける収益展開からの著しい乖離 | 361 |
4 「第3章 補足的指示と個別問題」 | 362 |
(1)経営者の自由裁量 | 362 |
(2)情報の透明性 | 363 |
(3)協力及び文書化義務 | 364 |
イ 機能移転の文書化の範囲 | 364 |
ロ 機能移転の文書化の項目 | 365 |
(4)税務当局の調査の可能性(推計による仮想的独立企業間価格の算定) | 365 |
イ 機能移転の理由 | 365 |
ロ 協力及び文書化義務における不履行の効果 | 366 |
ハ 推計のケースでの移転パッケージのための価値決定 | 366 |
(5)パートナーシップ、本支店間の機能移転のための指示 | 369 |
(6)2007課税年度までの機能移転の取扱い | 369 |
5 「第4章 特定の機能移転の特別な様相」 | 370 |
(1)製造の移転 | 370 |
イ 本格的製造業者及び限定的製造業者の特徴 | 370 |
ロ 本格的製造業者から限定的製造業者への転換 | 371 |
ハ 限定的製造業者から本格的製造会社への転換 | 371 |
(2)販売の移転 | 372 |
(3)研究開発の移転 | 373 |
(4)役務の移転 | 373 |
(5)購入の移転 | 373 |
6 「添付資料」としての計算事例 | 374 |
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374 |
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380 |
第2節 オーストラリアの事業再編通達 | 384 |
1 事業再編通達の構成 | 384 |
2 「通達の対象」 | 385 |
3 「指示事項」 | 386 |
(1)事業再編取引に対する移転価格法令(Division13)の適用等 | 386 |
(2)比較対象取引が十分に把握されない場合の対応 | 386 |
(3)合理的に期待されるものとの比較による独立企業間対価の達成 | 387 |
4 「移転価格を設定又は調査するプロセス」 | 388 |
(1)事業再編取引に係る独立企業間対価を算定するプロセス | 388 |
(2)OECD移転価格ガイドラインとの関係 | 390 |
第3節 ドイツ及びオーストラリアの事業再編通達に係る考察 | 391 |
1 ドイツの事業再編調査通達に係る考察 | 391 |
(1)仮想的独立企業間価格の算定のための法的擬制 | 391 |
(2)「機能」に関する概念の明確化 | 392 |
イ 「機能」と「移転パッケージ」の概念 | 392 |
ロ 「機能」と「無形資産」との関係 | 393 |
ハ 「利点」の概念 | 394 |
(3)仮想的独立企業間価格の算定 | 395 |
イ 「移転パッケージ」の評価方法 | 395 |
ロ 損失補填、代償及び補償の要求 | 396 |
ハ 「所得相応性基準」の導入 | 397 |
(4)納税者の協力及び文書化義務 | 397 |
2 オーストラリアの事業再編通達に係る考察 | 398 |
(1)比較対象取引が十分に把握されない場合の対応について | 398 |
(2)合理的に期待されるものとの比較による独立企業間対価の達成について | 398 |
(3)「移転価格を設定又は調査するプロセス」について | 400 |
第5章 我が国における国際的事業再編への対応策の検討 | 401 |
第1節 事業再編取引に係る独立企業間価格の算定のための検討 | 401 |
1 事業再編取引に係る独立企業間価格の算定の問題点 | 401 |
2 事業再編時に移転価格税制の対象となる「機能の範囲」 | 402 |
(1)米国及びドイツにおける対象となる「機能の範囲」に係る認識の相違 | 402 |
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403 |
(2)我が国における対象とすべき「機能の範囲」と「移転パッケージ」 | 404 |
(3)我が国に「移転パッケージ」の概念を取り入れられるか | 406 |
3 無形資産の「定義」 | 407 |
(1)これまでの無形資産の「定義」 | 407 |
● OECDにおけるこれまでの無形資産の「定義」 | 407 |
● 米国におけるこれまでの無形資産の「定義」 | 408 |
● 日本における無形資産の「定義」 | 408 |
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411 |
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411 |
(2)米国で議論されている「営業権」等は無形資産として認定されるのか | 411 |
(3)移転価格税制における無形資産の一般的定義の試案等 | 412 |
● 移転価格税制での無形資産の一般的定義 | 412 |
● 移転価格税制上の無形資産のカテゴリー別での例示列挙 | 413 |
4 無形資産の「所有者」の認定 | 415 |
● OECDにおける無形資産の「所有者」の取扱い | 415 |
● 米国における無形資産の「所有者」の取扱い | 416 |
● 日本における無形資産の「所有者」の取扱い | 417 |
5 無形資産の「評価」 | 418 |
(1)無形資産の一括移転に係る独立企業間価格の算定方法 | 418 |
● OECDにおける無形資産の一括移転に係る独立企業間価格の算定方法 | 418 |
● 米国における無形資産の一括移転に係る独立企業間価格の算定方法 | 419 |
● 日本における無形資産の一括移転に係る独立企業間価格の算定方法 | 420 |
(2)我が国における比較対象取引が存在しない無形資産の一括移転への対応 | 420 |
6 「所得相応性基準」の導入の必要性 | 421 |
7 事業再編取引に係る文書作成義務を伴う「文書化」の導入の必要性 | 422 |
○ 事業再編の概要及び「機能」の特定に関する文書 | 423 |
○ 事業再編自体への移転価格税制の適用に関して要求される文書 | 423 |
○ 事業再編後の取引への移転価格税制の適用に関して要求される文書 | 423 |
○ 所得相応性基準の適用のために必要な文書 | 424 |
第2節 我が国における国際的事業再編への対応策 | 424 |
1 APAにおける国際的事業再編への対応策 | 425 |
(1)無形資産の「範囲」、「所有者」及び「評価」の自主的開示の慫慂 | 425 |
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425 |
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425 |
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425 |
(2)開示させた「範囲」、「所有者」及び「評価」に基づいての納税者との協議 | 426 |
(3)APAの合意期間における「評価」についての継続的な報告 | 426 |
2 移転価格調査における国際的事業再編への対応策 | 426 |
(1)対象となる「機能の範囲」と無形資産の「定義」の明確化 | 426 |
(2)無形資産の「所有者」の明確化 | 427 |
(3)比較対象取引の存在しない無形資産の一括移転に係る評価 | 427 |
(4)事業再編取引に係る文書作成義務を伴う「文書化」の導入等 | 428 |
(5)「所得相応性基準」の導入 | 428 |
3 「OECD無形資産ドラフト」における検討との対比 | 428 |
結びに代えて | 430 |
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