1 寄附をした個人・法人の課税関係

[熊本県下や大分県下の災害対策本部等に対して義援金を支払った場合]

[Q1] 熊本県下や大分県下の災害対策本部に対して義援金を支払った場合、税務上の取扱いはどのようになりますか。

[A]

(個人の方が義援金を支払った場合)

個人の方が、熊本県下や大分県下の災害対策本部に対して支払った義援金は、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。寄附金控除額につきましてはQ12をご覧ください。

なお、当該義援金は、地方公共団体に対する寄附金として、ふるさと納税に該当するため、個人住民税の寄附金税額控除の対象になります(ワンストップ特例制度の適用ができます。)。

(法人が義援金を支払った場合)

法人が、熊本県下や大分県下の災害対策本部に対して支払った義援金は、「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金の額に算入されます。

[関係法令通達等]

所得税法第78条第1項、第2項

法人税法第37条第3項

(参考)ふるさと納税を行った場合の控除の仕組み(確定申告による場合)

個人の方が都道府県・市区町村に対する寄附(ふるさと納税)を行った場合、確定申告により、その寄附金のうち2千円を超える部分の全額が、1寄附を行った年分の所得税と2翌年の住民税のそれぞれから控除されます(ただし、住民税の所得割額の2割が上限となります。)。

ふるさと納税を行った場合の控除の仕組み【具体例】

※ 所得金額等によっては、控除額が上記より少なくなる場合があります。

控除額の計算方法は、次の【計算方法】を参考にしてください。

ふるさと納税を行った場合の控除の仕組み【計算方法】

[日本赤十字社又は社会福祉法人中央共同募金会に対して義援金を支払った場合]

[Q2] 日本赤十字社の「平成28年熊本地震災害義援金」口座や、社会福祉法人中央共同募金会の「(福)中央共同募金会熊本地震義援金」又は「(福)中央共同募金会」口座に対して義援金を支払った場合、税務上の取扱いはどのようになりますか。

[A]

(個人の方が義援金を支払った場合)

個人の方が、日本赤十字社の「平成28年熊本地震災害義援金」口座や、社会福祉法人中央共同募金会の「(福)中央共同募金会熊本地震義援金」又は「(福)中央共同募金会」口座に対して支払った義援金は、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。寄附金控除額につきましては、Q12をご覧ください。

なお、当該義援金は、地方公共団体に対する寄附金として、ふるさと納税に該当するため、個人住民税の寄附金税額控除の対象になります(ワンストップ特例制度の適用はできません。)。

(法人が義援金を支払った場合)

法人が、日本赤十字社の「平成28年熊本地震災害義援金」口座や、社会福祉法人中央共同募金会の「(福)中央共同募金会熊本地震義援金」又は「(福)中央共同募金会」口座に対して支払った義援金は、「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金の額に算入されます。

(注) 日本赤十字社又は社会福祉法人中央共同募金会に対して支払った義援金であっても、例えば、日本赤十字社又は社会福祉法人中央共同募金会の事業資金として使用されるなど、最終的に地方公共団体に拠出されるものでないもの(財務大臣が指定する寄附金に該当しないものに限ります。)につきましては、特定公益増進法人に対する寄附金に該当し、特別損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入されます。

[関係法令通達等]

所得税法第78条第1項、第2項

所得税基本通達78−5

法人税法第37条第3項、第4項

法人税法施行令第77条、第77条の2

法人税基本通達9−4−6

[被災地域の救援活動等を行っているNPO法人に対して義援金を支払った場合]

[Q3] 被災地域の救援活動や被災者への救護活動を行っているNPO法人に対して義援金を支払った場合、税務上の取扱いはどのようになりますか。

[A]

お尋ねのNPO法人が「認定NPO法人等」であり、支払った義援金がその認定NPO法人の行う特定非営利活動に係る事業に関連するものであるときには、その義援金は「認定NPO法人等に対する寄附金」に該当します。

(注) 認定NPO法人等とは、特定非営利活動促進法第2条第3項に規定する認定特定非営利活動法人及び同条第4項に規定する仮認定特定非営利活動法人をいいます。

(個人の方が義援金を支払った場合)

個人の方が、「認定NPO法人等に対する寄附金」として支払った義援金は、寄附金控除(所得控除)又は寄附金特別控除(税額控除)の対象となります(選択適用)。これらの控除の詳細につきましてはQ12をご覧ください。

(法人が義援金を支払った場合)

法人が、「認定NPO法人等に対する寄附金」として支払った義援金は、「特定公益増進法人に対する寄附金」に含めて損金算入限度額を計算し(特別損金算入限度額)、その範囲内で損金の額に算入されます。

また、認定NPO法人等以外の法人等に対して義援金を支払った場合(注)には、次に掲げるような支払先の区分に応じて、税務上の取扱いが異なります。

支払先の区分や支払った義援金の税務上の取扱いにつきましては、直接支払先の法人等に確認してください。

(注) 「国等に対する寄附金」及び「指定寄附金」に該当するものを支払った場合を除きます。

▽ 認定NPO法人等以外の法人等に対して義援金を支払った場合の税務上の取扱いの例

支払先の区分 個人の方の取扱い(所得税) 法人の取扱い(法人税)
公益社団法人・公益財団法人の場合(その法人の主たる目的である業務に関連するものに限ります。) 寄附金控除の対象となります(支払先が一定の要件を満たす公益社団法人・公益財団法人である場合には、寄附金特別控除(税額控除)との選択適用が可能です。)。 特定公益増進法人に対する寄附金として、特別損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入できます。
NPO法人(認定NPO法人等でないもの)、職場の有志で組織した団体などの人格のない社団等の場合 寄附金控除等の対象となりません。 一般の寄附金として、損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入できます。

※ 募金を取りまとめる団体(募金団体)を通じて、地方公共団体等へ義援金を支払う場合には、Q4をご覧ください。

※ 「特定公益増進法人に対する寄附金」の特別損金算入限度額など、寄附金を支払ったときの税務上の取扱いについて、詳しくは、暮らしの税情報「寄附金を支出したとき」をご覧ください。

[関係法令通達等]

所得税法第78条第1項、第2項

所得税法施行令第217条

法人税法第37条第1項、第3項、第4項

法人税法施行令第77条、第77条の2

租税特別措置法第41条の18の2、第41条の18の3、第66条の11の2第2項

特定非営利活動促進法第70条第1項

[募金団体を通じた義援金]

[Q4] 当団体は、関係する個人、法人から義援金を集め、これを取りまとめた上で、一括して地方公共団体に対して支払いたいのですが、その場合、当団体に寄附した個人、法人の税務上の取扱いはどのようになりますか。

[A]

お尋ねのように、募金を取りまとめる団体(以下「募金団体」といいます。)が個人、法人から義援金を預かる場合でも、その義援金が、最終的に地方公共団体に拠出されるものであれば、募金団体に対して義援金を支払った個人の方にあっては「特定寄附金」、法人にあっては「国等に対する寄附金」として取り扱われ、税制上の優遇措置の適用を受けることができます(税制上の優遇措置につきましてはQ2をご覧ください。)。

なお、税務署においては、募金団体に対して支払う義援金が、最終的に国、地方公共団体に拠出されるものであるかどうかの確認を行っています。

募金団体の確認手続に関するFAQを、「2 義援金を募集する募金団体の確認手続」のQ7〜Q10に掲載していますので、併せてご覧ください。

[関係法令通達等]

所得税法第78条第1項、第2項

所得税法基本通達78-5

法人税法第37条第3項

[被災された取引先に対する寄附]

[Q5] この度の地震災害で被災された得意先に対して、法人が災害見舞金を支払った場合、支払先が事業に関係のある者で、不特定又は多数の被災者に対する寄附に当たらないことから、支払った災害見舞金は損金の額に算入されないのでしょうか。

[A]

法人が、被災した取引先に対し、被災前の取引関係の維持・回復を目的として、災害を受けた取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間において支出する災害見舞金は、交際費等に該当せず損金の額に算入されます。

[関係法令通達等]

租税特別措置法通達(法人税編)61の4(1)−10の3

[法人が自社製品を被災者に提供した場合]

[Q6] 法人が、自社製品等を被災者に提供する場合、税務上の取扱いはどのようになりますか。

[A]

法人が、不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は、寄附金又は交際費等には該当せず、広告宣伝費に準ずるものとして損金の額に算入されます。

[関係法令通達等]

法人税基本通達9−4−6の4

租税特別措置法通達(法人税編)61の4(1)−10の4

2 義援金を募集する募金団体の確認手続

[募金団体が発行する預り証への記載事項]

[Q7] 当団体は、関係する個人、法人から義援金を預かり、これを取りまとめた上で、一括して地方公共団体に対して支払います。預かった義援金が、「国等に対する寄附金」に該当することについて税務署の確認を受けた場合、当団体に寄附をした個人、法人に対して発行する預り証には何を記載すべきでしょうか。

[A]

預り証は、個人、法人が募金団体に対して支払った義援金が、最終的に国又は地方公共団体に拠出されるものであることが税務署で確認された場合に、その義援金が個人にあっては「特定寄附金」、法人にあっては「国等に対する寄附金」として取り扱われ、税制上の優遇措置の適用を受けることができる旨を、寄附をした個人、法人にお知らせするものになります。

したがって、預り証には、記載例のような内容を付記して、寄附をした方に税務上の取扱いを具体的に示すことがよいと考えられます。

(預り証の記載例)

上記金額をお預かりしました。お預かりした義援金は、○○(例えば、「熊本県」と記載します。)に拠出いたします。

(注) この預り証をもって、所得税法第78条第2項第1号及び法人税法第37条第3項第1号の「国又は地方公共団体に対する寄附金」に該当することの証明としてお使いいただけますので、大切に保管してください。

[関係法令通達等]

所得税法第78条第1項、第2項

法人税法第37条第3項

[募金団体が募金を受け付ける専用口座]

[Q8] 募金団体の確認手続を定めた事務運営指針によれば、税務署では、「募集した義援金等の受付の専用口座等」を確認することになっていますが、専用口座は必ず設置しなければいけませんか。

[A]

寄附者から預かった義援金が、最終的に国、地方公共団体へ拠出されることが明らかであるかどうかを判断する一つの手段として、義援金の受付専用口座を確認することとしています。受付専用口座で預かった義援金の総額をそのまま国、地方公共団体へ拠出することとしている場合には、募金団体が保有する固有の現預金と混同することがありませんから、最終的に国、地方公共団体へ拠出されることが確認されることになります。

もっとも、義援金の受付専用口座を設置しない場合であっても、募金団体が保有する固有の現預金と寄附者から預かった義援金が経理上明確に区分され、寄附者から預かった義援金が最終的に国、地方公共団体へ拠出されることが明らかにされれば、税務署の確認を受けることができます。

[関係法令通達等]

所得税法第78条第1項、第2項

法人税法第37条第3項

[専用口座を設置している場合の預り証の発行の省略]

[Q9] 義援金の募集を行うに当たり、受付専用口座を開設し、寄附者に対してはその口座に振り込んでもらうようにお願いしました。受付専用口座への振込の場合、寄附者には振込票の控えが残ることになりますが、寄附者が税制上の優遇措置を受けるに当たり、別途預り証を発行する必要はありますか。

[A]

義援金の受付専用口座を設けない場合には、寄附者が義援金を募金団体の口座に振り込んだというだけでは、その義援金が国、地方公共団体へ拠出されることが明らかではありません。したがって、この場合には、寄附者から預かった義援金を国、地方公共団体へ拠出することを明記した預り証を寄附者に対して発行することが必要となります。

他方、義援金の受付専用口座が設けられている場合には、その口座に振り込まれたということをもって、その義援金が、最終的に国、地方公共団体に拠出されることが明らかです。したがって、この場合には、預り証を発行しなくても、郵便振替で支払った場合の半券(受領証)や銀行振込で支払った場合の振込票の控えをもって、税制上の優遇措置の適用を受けるための証明書類として差し支えありません。

なお、その半券や振込票の控えに印字された口座番号等が、募金団体の受付専用口座であることが確認できるよう、募金要綱、募金趣意書、新聞報道、募金団体のホームページの写しなど、義援金を振り込んだ口座が義援金の受付専用口座であることが分かる資料を用意していただき、個人の寄附者が確定申告をする際には、その資料を、郵便振替で支払った場合の半券(受領証)や銀行振込で支払った場合の振込票の控えと併せて、確定申告書に添付又は確定申告書提出の際に提示してください。法人の寄附者につきましては、書類として保存しておいてください。

[関係法令通達等]

所得税法第78条第1項、第2項

所得税法施行令第262条第1項

所得税法施行規則第47条の2

法人税法第37条第3項、第9項

[税務署への確認前の寄附]

[Q10] 当団体は、関係する個人、法人から義援金を集め、これを取りまとめた上で、一括して地方公共団体に拠出する予定です。また、被災地のことを考え、少しでも早く義援金を拠出したいと考えています。
 募金団体として募集する義援金が「国等に対する寄附金」に該当するかどうかについて、税務署で確認を受けようと思っていますが、この確認は、集めた義援金を地方公共団体に拠出した後でもよいでしょうか。

[A]

お尋ねのように、先に義援金を集めて地方公共団体に拠出し、その後に税務署への確認を行ったとしても問題はありませんが、その場合には、実際に義援金を拠出した先が発行した受領証についても持参し、最終的な拠出先が地方公共団体であることの確認を受けるようにしてください。

また、税務署の確認を受ける前に募金団体に義援金を支払った寄附者に対しては、税務署の確認が得られ次第、預かった義援金が「国等に対する寄附金」に該当して税制上の優遇措置の適用を受けられる旨を連絡するとともに、必要に応じて預り証を発行することになりますのでご注意ください。

[関係法令通達等]

所得税法第78条第1項、第2項

所得税基本通達78−5

法人税法第37条第3項

法人税基本通達9−4−6

3 義援金を受け取った場合の課税関係

[Q11] 地方自治体から義援金を受け取りました。この受け取った義援金の課税関係はどうなりますか。〔平成28年6月6日追加〕

[A]

個人(被災者)の方が、地方自治体(都道府県や市町村など)から受け取った義援金は、所得税法上、非課税となります。

なお、この配分を受けた義援金は、資産の損害の補てんを目的とするものではないことから、雑損控除における損失額の計算上、その金額を控除する必要はありません。

[関係法令通達等]

所得税法施行令第30条

4 その他

[寄附したことを証する書類]

[Q12] 確定申告を行うに当たり、寄附したことを証する書類が必要になると思いますが、どのような書類を用意しておけばよいですか。

[A]

例えば、次の書類が寄附したことを証する書類に該当します。

1 熊本県下や大分県下の災害対策本部が発行する受領証

2 募金団体の預り証

3 郵便振替で支払った場合の半券(受領証)(その振込口座が義援金の受付専用口座である場合に限ります。)

4 銀行振込みで支払った場合の振込票の控え(その振込口座が義援金の受付専用口座である場合に限ります。)

※ 34の場合、個人の寄附者が確定申告をする際には、募金要綱、募金趣意書、新聞報道、募金団体のホームページの写しなど、義援金を振り込んだ口座が義援金の受付専用口座であることが分かる資料を、郵便振替で支払った場合の半券(受領証)や銀行振込で支払った場合の振込票の控えと併せて、確定申告書に添付又は確定申告書提出の際に提示してください。法人の寄附者につきましては、書類として保存しておいてください。

[関係法令通達等]

所得税法施行令第262条第1項

所得税法施行規則第47条の2第3項

法人税法第37条第9項

[寄附金控除の額について]

[Q13] Q1〜Q4のように、個人が寄附金を支払った場合の寄附金控除等の額は、どのように計算するのでしょうか。

[A]

(1) 寄附金控除(所得控除)

個人の方が義援金を寄附した場合には、その義援金が「特定寄附金」に該当するものであれば寄附金控除の対象となります。

寄附金控除の額は、次の算式によって計算します。

その年中に支出した特定寄附金の額の合計額マイナス2千円イコール寄附金控除額

(注) 特定寄附金の額の合計額は所得金額の40%相当額が限度です。

(2) 寄附金特別控除(税額控除)

個人の方が、認定NPO法人等又は一定の要件を満たす公益社団法人・公益財団法人に対する寄附金を支出した場合には、上記(1)の寄附金控除に代えて、寄附金特別控除の適用を受けることができます。

寄附金特別控除の額は、次の算式によって計算します。

(その年中に支出した認定NPO法人等に対する寄附金の額の合計額マイナス2千円)カケル40パーセントイコール認定NPO法人等寄附金特別控除
(その年中に支出した公益社団法人等に対する寄附金の額の合計額マイナス2千円)カケル40パーセントイコール公益社団法人等寄附金特別控除

(注) 上記寄附金の額及びその他の特定寄附金の額の合計金額は所得金額の40%相当額が限度です。
 また、上記寄附金特別控除の合計額はその年分の所得税額の25%相当額が限度です。

※ 寄附金を支払った場合の税務上の取扱いについて、詳しくは、暮らしの税情報「寄附金を支出したとき」をご覧ください。

[関係法令通達等]

所得税法第78条第1項、第2項

租税特別措置法第41条の18の2、第41条の18の3

[募金団体が発行する預り証への収入印紙の貼付の要否]

[Q14] 当社は、義援金を広く一般から募集するためにホームページで義援金を募り、集めた義援金を取りまとめた上で、地方公共団体に対して支払う予定ですが、当社が、義援金を寄附した者に対して発行する預り証(受取書)には、収入印紙を貼付する必要はありますか。

[A]

新聞社、放送局等が災害援助を目的として一般から広く義援金を募集する場合、義援金の受領事実を証明するために作成する受取書は、印紙税を課税しないこととして取り扱われます。

また、新聞社、放送局に該当しない者であっても、災害援助を目的として一般から広く義援金を募集する場合には、同様に取り扱われます。

なお、金融機関が義援金の振込依頼を窓口等で受け付けた際に作成する受取書で次のいずれにも該当するものにつきましても同様に取り扱われます。

1 振込手数料が無料であること。

2 振込先が広く一般に義援金を募っている団体等であること。

3 義援金の振込金受取書であることがその文書上明らかにされていること。

[関係法令通達等]

印紙税法別表第1第17号文書

印紙税法基本通達別表第1第17号文書33