平成21年12月
熊本国税局

平成20事務年度(平成20年7月1日〜平成21年6月30日)における熊本国税局管内(熊本、大分、宮崎及び鹿児島の南九州4県)の相続税の調査は、平成18年中に発生した相続を中心に、国税局及び税務署で収集した資料情報を基に申告額が過少であると想定されるものや、申告義務があるにもかかわらず無申告となっていることが想定されるものなどに対して実施しました。

相続税は、亡くなった人から各相続人等が相続や遺贈などにより取得した財産の価額の合計額が、基礎控除額を超える場合にかかる租税です。
 国税局(税務署)においては、相続税をはじめ、各税目に係る適正・公平な課税の実現を図るため積極的に調査に取り組んでいます。
 今般、平成20事務年度に実施した相続税の調査事績を取りまとめましたので報告します。
 なお、相続税の調査事績の概要は次のとおりです(別表参照)。

ポイント

  • ○ 実地調査を行ったもののうち、89.0%で申告漏れ等が把握されました。
  • ○ 申告漏れ課税価格は111億2,200万円、追徴税額は20億1,400万円となっています。
  • ○ 申告漏れのあった相続財産の金額の内訳は、現金・預貯金等が31億2,400万円と最も多く、金融資産(現金・預貯金等、有価証券)で全体の4割強となっています。

(注) 実地調査とは被相続人宅、相続人宅、取引金融機関及びその他相続財産等に関係のある者に対して、実地に赴いて行う調査のことです。

  • (1) 調査件数及び申告漏れ等の非違件数
     調査件数は446件(前事務年度469件)、このうち申告漏れ等の非違件数は397件(前事務年度424件)であり、非違割合は89.0%(前事務年度90.4%)です。
  • (2) 申告漏れ課税価格及び追徴税額
     申告漏れ課税価格は111億2,200万円(前事務年度112億5,700万円)で、これを申告漏れ1件当たりで見ると、2,801万5,000円(前事務年度2,655万円)となっています。
     また、追徴税額は20億1,400万円(前事務年度20億7,300万円)で、これを申告漏れ1件当たりで見ると、507万3,000円(前事務年度488万9,000円)となっています。
  • (3) 申告漏れ相続財産の金額の内訳
     調査に基づく申告漏れ相続財産の金額の内訳は、現金・預貯金等が31億2,400万円(前事務年度36億7,500万円)で最も多く、続いて土地21億4,100万円(前事務年度25億2,400万円)、有価証券17億8,400万円(前事務年度15億8,500万円)の順となっています。

    平成18事務年度から平成20事務年度の相続税の申告漏れの相続財産の金額の推移を表したグラフ

  • (4) 重加算税の賦課状況
     重加算税の賦課件数は、65件(前事務年度63件)、賦課割合は16.4%(前事務年度14.9%)となっています。
  • (5) 申告漏れの態様
     申告漏れの態様は、預貯金等の申告漏れや土地や株式等の評価誤りなど様々ですが、財産を隠ぺいするなどの悪質なケースも見受けられました。

別表 相続税の調査事績

全管分
事務年度
項目
平成
19事務年度
平成
20事務年度
 
対前事務年度比
1 調査件数
469

446

95.1
2 申告漏れ等の非違件数    件
424
   件
397

93.6
3 非違割合
(2÷1

90.4

89.0
ポイント
-1.4
4 重加算税賦課件数
63

65

103.2
5 重加算税賦課割合
4÷2

14.9

16.4
ポイント
+1.5
6 申告漏れ課税価格 百万円
11,257
百万円
11,122

98.8
7 6のうち重加算税賦課対象 百万円
1,425
百万円
1,802

126.5
8 追徴税額 本税 百万円
1,801
百万円
1,730

96.1
9 加算税 百万円
272
百万円
284

104.4
10 合計 百万円
2,073
百万円
2,014

97.2
11 申告漏れ1件当たり 申告漏れ課税価格
6÷2
千円
26,550
千円
28,015

105.5
12 追徴税額
10÷2
千円
4,889
千円
5,073

103.8

(注) 「申告漏れ課税価格」は、申告漏れ相続財産額(相続時精算課税適用財産を含む。)から、被相続人の債務・葬式費用の額(調査による増減分)を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から法定相続人等への生前贈与財産額(調査による増減分)を加えたものです。