1 所得税の調査等の状況

〇 新型コロナウイルス感染症の影響により実地調査の件数は大幅に減少したが、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を優先して調査し、1件当たりの追徴税額は増加

〇 文書等による接触を積極的に実施したことにより、簡易な接触による申告漏れ所得金額、追徴税額は増加

(1) 調査等件数及び申告漏れ等の非違があった件数の状況

  • 実地調査の件数は、特別調査・一般調査が562件(前事務年度995件)、着眼調査が188件(同544件)であり、合計750件(同1,539件)、このほか、簡易な接触の件数は10,380件(同7,659件)となっています。
  • これらの調査等の合計件数は11,130件(同9,198件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は7,133件(同6,682件)となっています。

(2) 申告漏れ所得(調査等の対象となった全ての年分の合計)金額の状況

  • 実地調査による申告漏れ所得金額は、61億48百万円(同105億80百万円)であり、そのうち特別調査・一般調査によるものは58億9百万円(同93億8百万円)、着眼調査によるものは3億39百万円(同12億71百万円)となっています。
  • また、簡易な接触による申告漏れ所得金額は78億28百万円(同74億45百万円)となっており、調査等合計では139億76百万円(同180億24百万円)となっています。

(3) 追徴税額(調査等の対象となった全ての年分の合計で加算税を含む。)の状況

  • 実地調査による追徴税額は、12億1百万円(同16億34百万円)であり、そのうち特別調査・一般調査によるものは11億82百万円(同15億65百万円)、着眼調査によるものは20百万円(同69百万円)となっています。
  • また、簡易な接触による追徴税額は4億40百万円(同3億76百万円)となっており、調査等合計では16億41百万円(同20億10百万円)となっています。

(参考)

  1. 1 実地調査(特別調査・一般調査)とは、高額・悪質な不正計算が見込まれる事案を対象に深度ある調査を行うもので、特に、特別調査は、多額な脱漏が見込まれる個人を対象に、相当の日数(1件当たり10日以上を目安)を確保して実施しているものです。
  2. 2 実地調査(着眼調査)とは、資料情報や申告内容の分析の結果、申告漏れ等が見込まれる個人を対象に実地に臨場して短期間で行う調査です。
  3. 3 簡易な接触とは、原則、納税者宅等に臨場することなく、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正するものです。

所得税の調査等の状況

区分
項目
実地調査 簡易な接触   調査等合計  
特別・一般   着眼    
対前年比 対前年比 対前年比 対前年比 対前年比
1 調査等件数 995   544   1,539   7,659   9,198  
562 56.5% 188 34.6% 750 48.7% 10,380 135.5% 11,130 121.0%
2 申告漏れ等の非違件数 926   370   1,296   5,386   6,682  
508 54.9% 119 32.2% 627 48.4% 6,506 120.8% 7,133 106.7%
3 申告漏れ所得金額 百万円 9,308   1,271   10,580   7,445   18,024  
5,809 62.4% 339 26.7% 6,148 58.1% 7,828 105.1% 13,976 77.5%
4 追徴税額 本税 百万円 1,320   63   1,383   371   1,754  
982 74.4% 18 28.6% 999 72.2% 438 118.1% 1,438 82.0%
5 加算税 百万円 245   6   251   4   255  
200 81.6% 2 33.3% 202 80.5% 2 50.0% 203 79.6%
6 百万円 1,565   69   1,634   376   2,010  
1,182 75.5% 20 29.0% 1,201 73.5% 440 117.0% 1,641 81.6%
7 一件当たり 申告漏れ所得金額 万円 936   234   687   97   196  
1,034 110.5% 180 76.9% 820 119.4% 75 77.3% 126 64.3%
8 追徴税額 本税 万円 133   12   90   5   19  
175 131.6% 9 75.0% 133 147.8% 4 80.0% 13 68.4%
9 加算税 万円 25   1   16   0.1   3  
36 144.0% 1 100.0% 27 168.8% 0.02 20.0% 2 66.7%
10 万円 157   13   106   5   22  
210 133.8% 10 76.9% 160 150.9% 4 80.0% 15 68.2%

(注)

  1. 1 令和2年7月から令和3年6月までの間の実績で、いずれも調査等の対象となった全ての年分の合計の計数である。
  2. 2 上段は、前事務年度の計数である。
  3. 3 「簡易な接触」の件数には、更正の請求等に基づく減額更正や添付書類の未提出に対する提出依頼を行った件数等を含む。
  4. 4 追徴税額(本税)には、復興特別所得税額を含む。
  5. 5 実地調査の件数は、所得税と消費税の実地調査件数である。

(参考) 譲渡所得の調査等の状況

所得税のうち譲渡所得に係る調査等の件数が、422件(前事務年度216件)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数が、339件(同188件)となっています。申告漏れ所得金額(調査等の対象となった全ての年分の合計)は、15億12百万円(同12億98百万円)となっています。

事務年度等
項目
元事務年度 2事務年度 対前年比
1
調査等件数 216 422 195.4
   土地建物等 168 384 228.6
 株式等 48 38 79.2
2  
申告漏れ等の非違件数 188 339 180.3
   土地建物等 141 303 214.9
 株式等 47 36 76.6
3 ポイント
非違割合
21
87.0 80.3 ▲ 6.7
   土地建物等 83.9 78.9 ▲ 5.0
 株式等 97.9 94.7 ▲ 3.2
4 百万円 百万円
申告漏れ所得金額 1,298 1,512 116.5
   土地建物等 838 1,224 146.0
 株式等 460 288 62.7
5 万円 万円
1件当たり申告漏れ所得金額
41
601 358 59.6
   土地建物等 499 319 63.9
 株式等 957 758 79.2

(注)

  1. 1 土地建物等は、土地建物(分離課税所得)及び金地金等(総合譲渡所得)である。
  2. 2 土地建物等は、課税年分ごとに1件としている。