令和3年12月
金沢国税局
  1. Ⅰ 調査事績の概要
    1. 1 法人税・法人消費税等の調査事績の概要
    2. 2 源泉所得税等の調査事績の概要
  2. Ⅱ 主要な取組
    1. 1 消費税還付申告法人に対する取組
    2. 2 海外取引法人等に対する取組

T 調査事績の概要

1 法人税・法人消費税等の調査事績の概要

(1) 法人税の調査事績の概要

令和2事務年度においては、資料情報等の分析・検討を行った結果、大口・悪質な不正計算が想定される法人など調査必要度が高い法人817件(前年対比43.8%)について実地調査を実施しました。
 このうち、法人税の非違があった法人は635件(同46.1%)、その申告漏れ所得金額は80億25百万円(同71.5%)、追徴税額は18億63百万円(同76.4%)となっています。

  1. (注1) 令和2事務年度の調査事績は、令和2年2月1日から令和3年1月31日までの間に事業年度が終了した法人を対象に、令和2年7月から令和3年6月までの間に実施した調査に係るものを集計しています。
  2. (注2) 追徴税額には、地方法人税及び加算税を含みます。

○ 法人税の実地調査の状況

事務年度等 令和元 令和2
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1
1,865 85.0 817 43.8
非違があった件数 2
1,376 82.8 635 46.1
  うち不正計算があった件数 3
411 90.1 204 49.6
申告漏れ所得金額 4 百万円 百万円
11,222 78.7 8,025 71.5
  うち不正所得金額 5 百万円 百万円
3,896 73.0 2,140 54.9
調査による追徴税額 6 百万円 百万円
2,439 71.9 1,863 76.4
  うち加算税額 7 百万円 百万円
401 72.2 261 65.1
不正発見割合(3/1) 8 ポイント ポイント
22.0 1.2 25.0 3.0
調査1件当たりの申告漏れ所得金額(4/1) 9 千円 千円
6,017 92.6 9,823 163.2
不正1件当たりの不正所得金額(5/3) 10 千円 千円
9,478 81.0 10,489 110.7
調査1件当たりの追徴税額(6/1) 11 千円 千円
1,308 84.6 2,280 174.3

(注) 調査による追徴税額には地方法人税が含まれています。

(2) 法人消費税の調査事績の概要

令和2事務年度においては、法人消費税について、799件(前年対比43.3%)の実地調査を実施しました。
 このうち、消費税の非違があった法人は522件(同49.8%)、その追徴税額は7億24百万円(同73.2%)となっています。

○ 法人消費税の実地調査の状況

事務年度等 令和元 令和2
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1
1,844 86.5 799 43.3
非違があった件数 2
1,049 84.3 522 49.8
  うち不正計算があった件数 3
331 91.2 164 49.5
調査による追徴税額 4 百万円 百万円
989 64.4 724 73.2
  うち不正計算に係る追徴税額 5 百万円 百万円
412 86.3 163 39.6
調査1件当たりの追徴税額(4/1) 6 千円 千円
536 74.4 906 169.0
不正1件当たりの追徴税額(5/3) 7 千円 千円
1,246 94.6 995 79.9

(注) 調査による追徴税額には加算税及び地方消費税(譲渡割額)が含まれています。

(3) 簡易な接触事績の概要

申告内容に誤り等が想定される納税者等に対して、簡易な接触(注)により、自発的な申告内容等の見直し要請を2,417件(前年対比147.3%)実施しました。
 その結果、申告漏れ所得金額は4億75百万円(同240.1%)、追徴税額は1億14百万円(同271.5%)となっています。

(注) 簡易な接触とは、税務署において書面や電話による連絡や来署依頼による面接により、納税者に対して自発的な申告内容の見直しなどを要請するものです。

○ 簡易な接触の状況

事務年度等 令和元 令和2
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
簡易な接触件数 1
1,641 97.7 2,417 147.3
申告漏れ所得金額 2 百万円 百万円
198 76.0 475 240.1
追徴税額 3 百万円 百万円
42 39.0 114 271.5

(注) 令和2事務年度の簡易な接触事績は、令和2年2月1日から令和3年1月31日までの間に事業年度が終了した法人を対象に、令和2年7月から令和3年6月までの間に税務署において実施した簡易な接触に係るものを集計しています。

2 源泉所得税等の調査事績の概要

令和2事務年度においては、1,062件(前年対比43.2%)の源泉徴収義務者について実地調査を実施しました。
 このうち、源泉所得税等の非違があった源泉徴収義務者は365件(同57.5%)で、その追徴税額は2億15百万円(同55.1%)となっています。

○ 源泉所得税等の実地調査の状況

事務年度等 令和元 令和2
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
源泉徴収義務者数(給与所得) 1
85,107 99.6 84,152 98.9
実地調査件数 2
2,459 84.8 1,062 43.2
非違があった件数 3
635 80.9 365 57.5
  うち重加算税適用件数 4
46 85.2 36 78.3
調査による追徴税額 5 百万円 百万円
390 89.8 215 55.1
調査1件当たりの追徴税額 6 千円 千円
159 106.0 203 127.7
  1. (注1) 令和2年7月から令和3年6月までの間に処理を終了した調査に係るものを集計しています。
  2. (注2) 調査による追徴税額には加算税及び復興特別所得税が含まれています。

U 主要な取組

1 消費税還付申告法人に対する取組
 〜 不正に還付申告を行っていた法人から17百万円を追徴 〜

  •  虚偽の申告により不正に消費税の還付金を得るケースが見受けられます。こうした不正還付等を行っていると認められる法人については、的確に選定し、厳正な調査を実施しています。
  •  令和2事務年度においては、消費税還付申告法人のうち、83件(前年対比75.5%)に対し実地調査を実施し、消費税1億98百万円(同319.5%)を追徴課税しました。また、そのうち11件(同73.3%)は不正に還付金額の水増しなどを行っており、17百万円(同95.8%)を追徴課税しました。

○ 消費税還付申告法人に対する消費税の実地調査の状況

事務年度等 令和元 令和2
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1
110 86.6 83 75.5
非違があった件数 2
62 79.5 60 96.8
  うち不正計算があった件数 3
15 100.0 11 73.3
調査による追徴税額 4 百万円 百万円
62 9.1 198 319.5
  うち不正計算に係る追徴税額 5 百万円 百万円
17 34.0 17 95.8
調査1件当たりの追徴税額(4/1) 6 千円 千円
563 10.5 2,385 423.6
不正1件当たりの追徴税額(5/3) 7 千円 千円
1,159 34.0 1,514 130.6

(注) 調査による追徴税額には加算税及び地方消費税(譲渡割額)が含まれています。

消費税不正還付防止のための取組

2-1 海外取引法人等に対する取組(法人税)
 〜 海外取引等に係る調査で6億42百万円の申告漏れを把握 〜

  •  企業等の事業、投資活動のグローバル化が進展する中で、海外取引を行っている法人の中には、海外の取引先への手数料を水増し計上するなどの不正計算を行うものが見受けられます。このような海外取引法人等に対しては、国外送金等調書や租税条約等に基づく情報交換制度を積極的に活用するなど、深度ある調査に取り組んでいます。
  •  令和2事務年度においては、海外取引法人等に対する実地調査を125件(前年対比55.8%)実施し、このうち、海外取引等に係る非違があったものを、52件(同62.7%)、海外取引等に係る申告漏れ所得金額を6億42百万円(同36.9%)把握しました。

○ 海外取引法人等に対する実地調査の状況

事務年度等 令和元 令和2
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
実地調査件数 1
224 79.7 125 55.8
海外取引等に係る非違があった件数 2
83 62.4 52 62.7
  うち不正計算があった件数 3
9 47.4 5 55.6
海外取引等に係る申告漏れ所得金額 4 百万円 百万円
1,740 135.8 642 36.9
  うち不正所得金額 5 百万円 百万円
142 70.3 174 122.5

2-2 海外取引法人等に対する取組(源泉所得税等)
 〜 海外取引等に係る源泉所得税等で27百万円を追徴 〜

  •  経済の国際化に伴い、企業や個人による国境を越えた経済活動が複雑・多様化する中、国税庁では、非居住者や外国法人に対する支払(非居住者等所得)について、国外送金等調書をはじめとした資料情報等を活用し、源泉所得税等の観点から、重点的かつ深度ある調査を実施しています。
  •  令和2事務年度においては、非居住者や外国法人に対する給与等の人的役務の提供に対する報酬等や工業所有権等の使用料等などの支払について源泉所得税等の課税漏れを13件(前年対比61.9%)把握し、27百万円(同52.2%)を追徴課税しました。

○ 海外取引等に係る源泉所得税等の実地調査の状況

事務年度等 令和元 令和2
項目 件数等 前年対比 件数等 前年対比
非違があった件数 1
21 61.8 13 61.9
調査による追徴本税額 2 百万円 百万円
52 84.4 27 52.2