T 法人税等の調査事績の状況

1 法人税の実地調査の状況

(1) 申告漏れ所得金額及び不正脱漏所得金額

 申告漏れ所得金額は140億円
 不正脱漏所得金額は52億円

平成24事務年度において、申告漏れが想定されるなど調査必要度の高い法人1,952件について実地調査を行った結果、申告漏れのあったものは1,395件で、その申告漏れ所得金額は139億83百万円と前事務年度の182億95百万円に比べて43億12百万円減少(対前年比23.6%減)している。
 申告漏れのあった法人のうち、仮装又は隠蔽により所得を脱漏していたいわゆる不正計算のあった法人は445件で、その不正脱漏所得金額は51億88百万円と前事務年度の54億2百万円に比べて2億14百万円減少(対前年比4.0%減)している。

(2) 調査1件当たりの申告漏れ所得金額

1件当たりの申告漏れ所得金額は716万円、9.5%増加

調査した法人1件当たりの申告漏れ所得金額は716万3千円で、前事務年度の653万9千円に比べて62万4千円増加(対前年比9.5%増)している。

(3) 1件当たりの不正脱漏所得金額

1件当たりの不正脱漏所得金額は1,166万円、27.1%増加

不正計算のあった法人1件当たりの不正脱漏所得金額は1,165万8千円で、前事務年度の917万1千円に比べて248万7千円増加(対前年比27.1%増)している。

表1 法人税の実地調査の状況
事務年度 23 24  
項目 対前年比
実地調査件数丸1 2,798件 1,952件 69.8%
申告漏れのあった件数 1,965件 1,395件 71.0%
同上のうち不正計算のあった件数丸2 589件 445件 75.6%
申告漏れ所得金額丸3 18,295百万円 13,983百万円 76.4%
同上のうち不正脱漏所得金額丸4 5,402百万円 5,188百万円 96.0%
調査1件当たりの申告漏れ所得金額(丸3/丸1) 6,539千円 7,163千円 109.5%
不正申告1件当たりの不正脱漏所得金額(丸4/丸2) 9,171千円 11,658千円 127.1%
追徴税額 本税額 3,795百万円 2,682百万円 70.7%
加算税額 681百万円 557百万円 81.8%
追徴税額合計 4,476百万円 3,239百万円 72.4%

「事務年度」とは
 法人税、消費税及び源泉所得税の事務を実施するために設けた年度のことであり、その期間は毎年7月1日から翌年6月30日までである。

「仮装又は隠蔽」とは
 故意に帳簿の改ざんを行ったり、帳簿書類の作成をせずに売上げその他の収入を除外するなど、課税所得金額の計算の基礎となるべき真の事実や法律関係と異なる経理処理を意図的に行うことである。

2 法人消費税の実地調査の状況

消費税調査1件当たりの追徴税額は35万円、9.1%増加

平成24事務年度に行った法人事業者に対する消費税の調査件数は1,863件で、このうち1,070件に計算誤りがあり、その追徴税額は6億48百万円で、前事務年度の8億41百万円に比べて1億93百万円減少(対前年比22.9%減)している。
 調査した法人1件当たりの追徴税額は348千円で、前事務年度の319千円に比べて29千円増加(対前年比9.1%増)している。

表2 法人事業者に対する消費税の調査状況
事務年度 23 24  
項目 対前年比
調査件数1 2,637件 1,863件 70.6%
同上のうち誤りのあった件数 1,428件 1,070件 74.9%
調査による追徴税額2 841百万円 648百万円 77.1%
調査1件当たりの追徴税額(2/1 319千円 348千円 109.1%

(注) 調査による追徴税額には地方消費税(譲渡割額)を含む。

U 不正発見割合及び不正計算の手口の状況

1 不正発見割合の状況

不正発見割合の高い業種、建設業がトップ

平成24事務年度において実地調査した法人のうち、仮装又は隠蔽により所得を脱漏していた法人の割合は22.8%で、これを業種別でみると、建設業が30.1%と最も高く、次いで料理・旅館・飲食業27.8%、製造業23.9%の順となっている。
 また、不正計算のあった法人のうち1件当たりの脱漏所得金額をみると、最も多いものは卸売業の2,554万4千円で、次いでサービス業の1,533万9千円、製造業の1,354万7千円の順となっている。

表3 業種別の不正発見の状況
項目 不正発見割合 1件当たり不正脱漏所得金額
業種別   順位 前年順位   順位 前年順位
      千円    
建設業 30.1 1 1 6,094 8 7
料理・旅館・飲食業 27.8 2 2 7,733 7 8
製造業 23.9 3 6 13,547 3 2
サービス業 22.5 4 4 15,339 2 6
運送業 21.3 5 5 9,512 4 5
小売業 20.0 6 3 8,086 6 4
卸売業 17.5 7 7 25,544 1 3
その他の業 12.6 8 8 9,071 5 1
全業種計 22.8     11,658    

2 不正計算の手口の状況

売上(収入)除外による不正計算がトップ

平成24事務年度において、不正脱漏所得金額が1千万円以上あった109法人について、不正脱漏所得金額を不正計算の形態別で見ると、売上げ(収入)を除外していたものが11億86百万円(26.5%)と最も多く、次いで架空の外注費を計上していたものが6億64百万円(14.8%)、架空の経費を計上していたものが6億7百万円(13.6%)の順となっている。

表4 不正の形態
項目 不正脱漏所得金額 延べ法人数
不正計算の形態   構成割合   構成割合
  百万円
売上(収入)除外 1,186 26.5 26 14.6
架空外注費 664 14.8 14 7.9
架空経費 607 13.6 25 14.0
雑収入除外等 604 13.5 51 28.7
棚卸除外 571 12.7 17 9.5
架空仕入 402 9.0 13 7.3
架空労務費 237 5.3 13 7.3
その他 206 4.6 19 10.7
4,477 100.0 178 100.0
(実法人数は109件)

V 源泉所得税の調査事績の状況

源泉所得税調査の追徴税額 3億2千万円

平成24事務年度に実地調査を行った件数は3,439件で、そのうち誤りのあったものは748件、追徴税額は3億20百万円で前事務年度の6億81百万円に比べて3億61百万円減少(対前年比53.0%減)している。

表5 実地調査の状況
事務年度 23 24  
項目 対前年比
実地調査件数
4,253 3,439 80.9
誤りのあった件数 1,099 748 68.1
追徴税額 百万円 百万円  
681 320 47.0

(注)

  • 1 追徴税額には加算税額を含む。
  • 2 平成25年1月1日以後に生ずる所得に係る追徴税額から、復興特別所得税を含む。

W 調査の取組状況

消費税還付申告法人に対する取組
〜還付申告を行っていた法人から47百万円を追徴〜

消費税は、主要な税目の一つであり、預り金的性格を有するため、一層の適正な税務執行が求められています。こうした中、消費税について虚偽の申告により不正に還付金を得るケースも見受けられることから、国税当局は還付申告を行う法人に対する指導や調査に重点的に取り組んでいます。
 平成24事務年度は、消費税還付申告法人150社に対する調査をした結果、77社から47百万円の消費税額を追徴しました。また、そのうち14社は不正に還付金額の水増しなどを行っており、8百万円を追徴しました。

稼働無申告法人に対する実地調査の件数

○ 消費税還付申告法人に対する消費税の実地調査の状況
事務年度 22 23 24
項目
実地調査件数 157 153 150
消費税 非違があった件数 84 92 77
  うち不正計算を行っていた件数1 9 14 14
調査による追徴税額 百万円 27 139 47
  うち1に係る追徴税額 百万円 1 6 8

海外取引法人に対する取組
海外取引調査で17億39百万円の申告漏れを把握

経済の国際化の進展により、企業や個人の国境を越えた事業、投資活動が活発化しています。こうした中、国税当局は海外取引を有する法人(以下「海外取引法人」という。)に対する指導や調査に重点的に取り組んでいます。
 平成24事務年度は、海外取引法人232社に対する調査をした結果、72社から海外取引に係る申告漏れ所得金額17億39百万円、うち不正脱漏所得金額1億82百万円を把握しました。

海外取引法人に対する実地調査の件数

○ 海外取引法人に対する実地調査の状況
事務年度 22 23 24
項目
実地調査件数 237 260 232
法人税 海外取引に係る非違があった件数 54 78 72
  同上のうち、不正発見件数 5 13 10
海外取引に係る申告漏れ所得金額 百万円 2,770 2,302 1,739
  同上のうち、不正所得金額 百万円 8 590 182