ICTを活用した事務処理の効率化等の推進

 行政分野へのICTの活用と業務や制度の見直しにより、国民の利便性の向上と行政運営の簡素化、効率化、信頼性及び透明性の向上を図るため、平成15年7月に「電子政府構築計画」が決定され、また、世界最高水準のIT利活用社会の実現を図るため、平成25年6月に「世界最先端IT国家創造宣言」が決定され、政府全体として様々な取組が推進されています。
 なお、各種施策の実施に当たっては、全体最適化を目指した業務・システムの最適化のための中期的計画を策定し、この計画に沿って取り組んでいます。

業務・システムの最適化を推進

 国税庁では、まる1業務を的確に実施するための事務処理の簡素化・効率化、まる2IT活用による納税者利便性の向上等、まる3IT活用による調査・滞納整理に関するシステムの高度化、まる4システムの安定性・信頼性及び情報セキュリティの確保、まる5システム関係経費の削減及び調達の透明性の確保を図ることを基本理念として、平成18年3月に「国税関係業務の業務・システム最適化計画」を策定(平成24年2月改定)し、この計画に沿って、業務・システムの最適化に取り組んでいます。
 これまで、内部事務の一元化やKSKシステムのオープンシステム化1、機器の統合などを実施し、平成24年度は、地方公共団体との税務情報のデータ連携範囲を拡大するなど、電子データの活用による事務処理の効率化を推進しました。
 なお、最適化計画に掲げた全ての施策が完了することにより、年間約173億円の経費削減と年間延べ約137,000人日分の業務処理時間の短縮を見込んでいます。

 注釈

  • 1 オープンシステム化とは、特定のメーカーに依存することなく、広く複数のメーカーの製品を取り込める互換性の高いシステムへ移行することです。

「国税関係業務の業務・システム最適化計画」の実施内容(イメージ図)

システムの安定性・信頼性と情報セキュリティの確保

 国税関係業務は、国民の権利義務と密接にかかわっているため、そのシステムに障害が発生した場合には、国民に多大な影響を与え、税務行政に対する信頼を損なうことにもなりかねません。このため、システム機器の定期的な更新を実施するなど、国税関係システムの安定的な運用を図っています。
 また、国税関係システムは、大量の納税者情報を保有・蓄積することから、不正利用や漏えいの防止には細心の注意を払っています。このため、職員は職務上必要な情報しか利用できない仕組みにするほか、情報セキュリティに関する訓令を定めてその徹底を図り、さらには、セキュリティ監査を定期的に実施し必要な対策を講ずるなど、情報セキュリティの確保に努めています。
 なお、e-Tax及びKSKシステムのデータを保有するコンピュータセンターについては、国際的標準規格に準拠した、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)1を構築し、平成19年にISMS適合性評価制度に基づく認証(ISO/IEC27001:2005・JISQ27001:20062に基づく認証)を取得しました。認証を取得したことにより、国税組織全体の情報セキュリティ管理体制の整備や強化につながっただけでなく、職員は情報セキュリティに対する意識が向上し、自覚と使命を持って、システムの運用に努めています。

 注釈

  • 1 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)とは、保護すべき情報資産が機密性、完全性及び可用性において適切に管理された状態であることを維持するために必要な計画、運用、見直し及び改善を実施するための組織的取組のことです。
  • 2 ISO/IEC27001:2005とは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)の策定する標準化規格の1つです。情報セキュリティマネジメントシステムのグローバルスタンダードであり、2005年10月に国際規格として標準化されました。また、JISQ27001:2006とは、ISO/IEC 27001に対応して、2006年5月に発行された国内規格です。

国税総合管理(KSK)システム

 KSKシステムは、全国の国税局と税務署をネットワークで結び、申告・納税の事績や各種の情報を入力することにより、国税債権などを一元的に管理するとともに、これらを分析して税務調査や滞納整理に活用するなど、地域や税目を越えた情報の一元的な管理により、税務行政の根幹となる各種事務処理の高度化・効率化を図るために導入したコンピュータシステムです。
 平成2年から本格的な開発を開始し、平成7年以降、順次導入を進め、平成13年からは全国での運用を開始しています。

KSKシステム